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第6章 狼はすぐそこに(6日目)
6ー5 砂時計
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アッバースたちが去った後、ナイナは椅子に座って婚約者の写真を手に取る。
この部屋を使うのはもう自分ひとり。
ニルマラの亡骸との一晩を耐え、今日は四ベッドが置かれた広く白い部屋でひとりの時間に耐える。
信じられないほど人が減り命が追い詰められる。それでも、
「私の神様ー」
ラップの上から優しく写真を撫でた。
ーーーーー
一旦ロビーに戻って反対の通路を入った手前10号室で声をかける。
出て来たアディティはまずアッバースが渡した「チップ」を返してきた。
「わかった」
「そうか」
昼食のため共に中央棟へ向かう。後ろから遠慮がちに覗くスディープに、
「メシ終わったら皆で考えよう。その時に使えるから」
と手製のチップを揺らす。
筆記用具がないここで頭を整理して考えるため、レトルトカレーのパッケージをちぎってチップを作った。ベジタリアンマークの緑が村人、MTRの赤い箇所を切ったのが人狼、他の黄色い部分をちぎり取ったものを象とみなし、あれこれ動かして考えた。
多分アディティは理解した。
現状が大変厳しいこと。もしかしたら今夜にでも「ゲーム」は終わるかもしれないこと。
これ以上犠牲を出すまい。そうあがける時間すらもう限られている。
食事を考え、作り食べるこの間にも砂時計から落ちるように残り時間が減っていく。
「冷凍庫の肉、どう?」
アディティが振ってきた。
「チキンの方が扱いやすいと思う。夕飯はあれを煮込む」
「大変じゃないの?」
スディープは心配そうだ。
「シャキーラが残してくれたマサラがある。使わないと勿体ない」
スパイスは日に日に香りが飛んでしまうからとアディティが説明した。
「トマトベースにすればニハーリーとは感じが変わるしそこまで手前もかからない」
「後で教えてくれ」
アッバースは今もシャキーラへの怒りを抑えられない。
犠牲が増えることをわかっていながら「祝福」をかけて自分だけーバーラムと一緒だがー逃げた。助けを呼ぶとアディティに伝えたそうだが、既に昨夜スレーシュとニルマラが殺されている。「祝福」がなければどちらかは今日も生きていただろうに。
あと少し。今日を生き延びたらゲームは終わったかもしれないのにー
少しでも「マシ」な終わらせ方をするためにアッバースは頭を巡らせる。
<注>
・ベジタリアンマーク インドにてベジタリアン対応の加工食品に付けられるマーク。日の丸を緑にしたのとほぼ同じデザイン。
・MTR この会社のレトルトカレーのパッケージは赤地。
この部屋を使うのはもう自分ひとり。
ニルマラの亡骸との一晩を耐え、今日は四ベッドが置かれた広く白い部屋でひとりの時間に耐える。
信じられないほど人が減り命が追い詰められる。それでも、
「私の神様ー」
ラップの上から優しく写真を撫でた。
ーーーーー
一旦ロビーに戻って反対の通路を入った手前10号室で声をかける。
出て来たアディティはまずアッバースが渡した「チップ」を返してきた。
「わかった」
「そうか」
昼食のため共に中央棟へ向かう。後ろから遠慮がちに覗くスディープに、
「メシ終わったら皆で考えよう。その時に使えるから」
と手製のチップを揺らす。
筆記用具がないここで頭を整理して考えるため、レトルトカレーのパッケージをちぎってチップを作った。ベジタリアンマークの緑が村人、MTRの赤い箇所を切ったのが人狼、他の黄色い部分をちぎり取ったものを象とみなし、あれこれ動かして考えた。
多分アディティは理解した。
現状が大変厳しいこと。もしかしたら今夜にでも「ゲーム」は終わるかもしれないこと。
これ以上犠牲を出すまい。そうあがける時間すらもう限られている。
食事を考え、作り食べるこの間にも砂時計から落ちるように残り時間が減っていく。
「冷凍庫の肉、どう?」
アディティが振ってきた。
「チキンの方が扱いやすいと思う。夕飯はあれを煮込む」
「大変じゃないの?」
スディープは心配そうだ。
「シャキーラが残してくれたマサラがある。使わないと勿体ない」
スパイスは日に日に香りが飛んでしまうからとアディティが説明した。
「トマトベースにすればニハーリーとは感じが変わるしそこまで手前もかからない」
「後で教えてくれ」
アッバースは今もシャキーラへの怒りを抑えられない。
犠牲が増えることをわかっていながら「祝福」をかけて自分だけーバーラムと一緒だがー逃げた。助けを呼ぶとアディティに伝えたそうだが、既に昨夜スレーシュとニルマラが殺されている。「祝福」がなければどちらかは今日も生きていただろうに。
あと少し。今日を生き延びたらゲームは終わったかもしれないのにー
少しでも「マシ」な終わらせ方をするためにアッバースは頭を巡らせる。
<注>
・ベジタリアンマーク インドにてベジタリアン対応の加工食品に付けられるマーク。日の丸を緑にしたのとほぼ同じデザイン。
・MTR この会社のレトルトカレーのパッケージは赤地。
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