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清みわたる空は、秋晴れというにふさわしい様子だった。友也は上空に目を凝らす。明日は貴音との約束がある。貴音の怪しげな笑みを思い出した。あっ。友也の顔面を野球ボールが直撃した。
「おい、外野なにやってんの?」
「佐切、顔面エラー!」
友也は芝生を転がるボールを急いで捕らえ、ホームめがけて遠投した。今日は学科の友人数人と空き地で草野球に挑んでいる。発端は、スポーツの秋という話を誰かが金曜に学食で発したことだった。するともと野球部だった越前が、バットとボール、グローブも二つあるといい出した。足らないグローブは当日購入、という形であれよあれよという間に野球が始まってしまった。最初こそ懐かしさもあってキャッチボールを楽しめたが、そこは素人の集まり越前を除いてピッチャーらしく投球できるものがおらず、越前の全力投球を打てる者も少なかった。結果として、越前に両陣営でピッチャーを託し、ほどほどの投球をしてもらっている。しかし、防御が手薄でどちらも得点合戦になっている。スポーツマンの凄さを実感していた。
「お前また例の彼女のことでも考えてたんだろ?」
野球に飽きて鬼ごっこを挟んだ休憩時間に幸也が話しかけてきた。
「ち、違うわ」
「うわ、ガチかよ」
「違うって、その、サークル入るかもしれなくて」
幸也が目を輝かせた。
「マジかよ。あんな頑なに俺の誘い断ってたのに!どこにはいんだよ?」
「そうまくしたてるなよ。まだ決めたわけじゃない」
「で、なんてとこなのさ?」
「…、ミス研…」
「え、は?なんで?」
「いや、勧誘させられて…。明日活動に参加することになってる」
幸也は首をかしげて笑い出した。
「佐切って、ほんとわかんない奴だな。予想の斜め上」
「なんだよ」
「よりにもよってミス研か。あそこって歴史あるだけで実態のない幽霊団体だと思ってた」
「いや、人は居たよ。二人しかまだしらないけど」
「あやしいな。変な宗教とかじゃなきゃいいけど」
「脅すなよ」
友也は明日宗教の団体に連れていかれることを想像してしまった。考えを振り切るために話を変える。
「その、こないだの事件の目撃者っていうことで話が進んじゃって」
「へえ、なるほど」
「それでさ、いま、死んだ人がどうして骨折してたのか調べてる」
「わお、ほんとに、らしいことしてるんだ」
「ん、ああ。そうみたい」
「んでんで、どういう考えなの?」
「いや、それが中々まとまらなくて。でも、部長?かな。部長は何か考えがあるらしい。教えてくれなかったけど」
「へえ、骨折ねぇ。逆転の発想。犯人が、死体の包帯をはいでいった」
「え、なんでさ?」
「あれだよ、その人刺されて死んでたんだろ?返り血を拭うのに使ったんだな、きっと」
「ああ、おお。なるほど」
感心する友也をよそに、幸也は頬をかく。
「いや、冗談だよ。真に受けるなよ。なんで返り血浴びる前提なのに、拭う手段が現地調達なんだよ」
「…なるほど」
「しっかりしろよ。ミス研部員」
「おい、外野なにやってんの?」
「佐切、顔面エラー!」
友也は芝生を転がるボールを急いで捕らえ、ホームめがけて遠投した。今日は学科の友人数人と空き地で草野球に挑んでいる。発端は、スポーツの秋という話を誰かが金曜に学食で発したことだった。するともと野球部だった越前が、バットとボール、グローブも二つあるといい出した。足らないグローブは当日購入、という形であれよあれよという間に野球が始まってしまった。最初こそ懐かしさもあってキャッチボールを楽しめたが、そこは素人の集まり越前を除いてピッチャーらしく投球できるものがおらず、越前の全力投球を打てる者も少なかった。結果として、越前に両陣営でピッチャーを託し、ほどほどの投球をしてもらっている。しかし、防御が手薄でどちらも得点合戦になっている。スポーツマンの凄さを実感していた。
「お前また例の彼女のことでも考えてたんだろ?」
野球に飽きて鬼ごっこを挟んだ休憩時間に幸也が話しかけてきた。
「ち、違うわ」
「うわ、ガチかよ」
「違うって、その、サークル入るかもしれなくて」
幸也が目を輝かせた。
「マジかよ。あんな頑なに俺の誘い断ってたのに!どこにはいんだよ?」
「そうまくしたてるなよ。まだ決めたわけじゃない」
「で、なんてとこなのさ?」
「…、ミス研…」
「え、は?なんで?」
「いや、勧誘させられて…。明日活動に参加することになってる」
幸也は首をかしげて笑い出した。
「佐切って、ほんとわかんない奴だな。予想の斜め上」
「なんだよ」
「よりにもよってミス研か。あそこって歴史あるだけで実態のない幽霊団体だと思ってた」
「いや、人は居たよ。二人しかまだしらないけど」
「あやしいな。変な宗教とかじゃなきゃいいけど」
「脅すなよ」
友也は明日宗教の団体に連れていかれることを想像してしまった。考えを振り切るために話を変える。
「その、こないだの事件の目撃者っていうことで話が進んじゃって」
「へえ、なるほど」
「それでさ、いま、死んだ人がどうして骨折してたのか調べてる」
「わお、ほんとに、らしいことしてるんだ」
「ん、ああ。そうみたい」
「んでんで、どういう考えなの?」
「いや、それが中々まとまらなくて。でも、部長?かな。部長は何か考えがあるらしい。教えてくれなかったけど」
「へえ、骨折ねぇ。逆転の発想。犯人が、死体の包帯をはいでいった」
「え、なんでさ?」
「あれだよ、その人刺されて死んでたんだろ?返り血を拭うのに使ったんだな、きっと」
「ああ、おお。なるほど」
感心する友也をよそに、幸也は頬をかく。
「いや、冗談だよ。真に受けるなよ。なんで返り血浴びる前提なのに、拭う手段が現地調達なんだよ」
「…なるほど」
「しっかりしろよ。ミス研部員」
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