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その日の撮影は日の傾く頃まで続いた。運動する文化のない弥伊子にはヘビーな一日だったが、獅童宰都のためにも、と奮起した。須藤綾の呼び掛けでその日の打ち上げにカラオケへ向かうことになった。弥伊子は普段なら帰りたいと抜け出ていたが、今日はなんといっても獅童宰都が一緒にいるのだ。二つ返事で承諾した。
「悪い、今日は帰るわ」
そう言い出したのは意外にも芦屋恭子だった。
「え、お母さんに連絡しとく?」
弥伊子は思わず返してしまう。
「ああ、いや。今日は自分の家に帰るよ」
「うん、わかった」
「え、なにそれ、どうゆう」
須藤綾と田代啓司は目を白黒させる。
「わかった、じゃあね恭子。みんな早くいこいこ」
獅童宰都の呼び掛けで芦屋恭子を一人残して、みんなで駅前のカラオケ店へむかった。
「獅童くん、芦屋さんどうしたんだろう?」
弥伊子は須藤綾と田代啓司に聞こえないよう小声で聞いた。
「なんだろ、わからないけど恭子には恭子の考えがあるんだよ」
獅童宰都は弥伊子に笑いかけた。弥伊子はその表情に思わず視線を逸らしてしまうが、同時に獅童宰都の芦屋恭子への理解に対しても気づいていた。
カラオケでは弥伊子は少し前のアイドルソングに努めた。最新のことはわからないし、人に伝わらない曲を入力する勇気もなかった。田代啓司はイメージ通りというか、バンドやダンサブルな男性グループの曲をさらさらと入力していて、次の順番の弥伊子としては順番が来る度に思案するため困ってしまう。もう少し考える時間が欲しかった。羨むべくは須藤綾で、彼女は洋楽を歌い、時に獅童宰都とデュエットしていた。田代啓司も弥伊子も洋楽に疎く、二人の時間を集団のなかで上手く作られてしまった。獅童宰都はあまり唄わず順番を飛ばしてもらうことも多かったがやはり洋楽を中心に歌い、そしてうまかった。彼は親の仕事を継ぐという話だが、ルックスと合わせて歌手としてもやっていけるのではないか、と弥伊子は思った。
田代啓司が夕飯にはでないといけないという言葉で解散の流れとなった。最後はネタ切れの弥伊子と疲れたといって聞き役に専念した獅童宰都を除いて田代啓司と須藤綾が有名な応援ソングを肩を組ながら一緒に歌っていた。弥伊子はケンカの多い須藤綾と田代啓司の仲を居心地悪く見ていたが、案外仲がいいらしい。
駅の改札で別れた四人だったが、なんと獅童宰都と最後に向かい合わせのプラットホームで再開できた。彼はこちらに気づくと控えめに手を振ってくれた。弥伊子も小さく、けれど伝わるように手を振り返した。弥伊子はそれだけで一日の疲労が消し飛んだように明るく帰ることができた。家につくとそこに芦屋恭子はいなかった。
「悪い、今日は帰るわ」
そう言い出したのは意外にも芦屋恭子だった。
「え、お母さんに連絡しとく?」
弥伊子は思わず返してしまう。
「ああ、いや。今日は自分の家に帰るよ」
「うん、わかった」
「え、なにそれ、どうゆう」
須藤綾と田代啓司は目を白黒させる。
「わかった、じゃあね恭子。みんな早くいこいこ」
獅童宰都の呼び掛けで芦屋恭子を一人残して、みんなで駅前のカラオケ店へむかった。
「獅童くん、芦屋さんどうしたんだろう?」
弥伊子は須藤綾と田代啓司に聞こえないよう小声で聞いた。
「なんだろ、わからないけど恭子には恭子の考えがあるんだよ」
獅童宰都は弥伊子に笑いかけた。弥伊子はその表情に思わず視線を逸らしてしまうが、同時に獅童宰都の芦屋恭子への理解に対しても気づいていた。
カラオケでは弥伊子は少し前のアイドルソングに努めた。最新のことはわからないし、人に伝わらない曲を入力する勇気もなかった。田代啓司はイメージ通りというか、バンドやダンサブルな男性グループの曲をさらさらと入力していて、次の順番の弥伊子としては順番が来る度に思案するため困ってしまう。もう少し考える時間が欲しかった。羨むべくは須藤綾で、彼女は洋楽を歌い、時に獅童宰都とデュエットしていた。田代啓司も弥伊子も洋楽に疎く、二人の時間を集団のなかで上手く作られてしまった。獅童宰都はあまり唄わず順番を飛ばしてもらうことも多かったがやはり洋楽を中心に歌い、そしてうまかった。彼は親の仕事を継ぐという話だが、ルックスと合わせて歌手としてもやっていけるのではないか、と弥伊子は思った。
田代啓司が夕飯にはでないといけないという言葉で解散の流れとなった。最後はネタ切れの弥伊子と疲れたといって聞き役に専念した獅童宰都を除いて田代啓司と須藤綾が有名な応援ソングを肩を組ながら一緒に歌っていた。弥伊子はケンカの多い須藤綾と田代啓司の仲を居心地悪く見ていたが、案外仲がいいらしい。
駅の改札で別れた四人だったが、なんと獅童宰都と最後に向かい合わせのプラットホームで再開できた。彼はこちらに気づくと控えめに手を振ってくれた。弥伊子も小さく、けれど伝わるように手を振り返した。弥伊子はそれだけで一日の疲労が消し飛んだように明るく帰ることができた。家につくとそこに芦屋恭子はいなかった。
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初回公開日時 2019.01.25 22:29
初回完結日時 2019.08.16 21:21
再連載 2024.6.26~2024.7.31 完結
❦イラストは有償画像になります。
2024.7 加筆修正(eb)したものを再掲載
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