誰の目にも輝きを

ヨージー

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「南洞さんは恭子と仲がいいの?」
弥伊子は獅童宰都とともにウィンドウショッピングをテーマに歩道で須藤綾の指示のもと撮影されている。
「仲がっていっても、最近知り合ったばかりで」
弥伊子は獅童宰都と話をしている、その事実に胸の鼓動がおさまらなかった。
「仲良くしてあげてね」
「え?」
獅童宰都が少しだけ寂しいような、慈しむような小声を発した。
「表情か、た、い」
須藤綾から激がとんだ。
「は、はい」
弥伊子は慌てて獅童宰都から視線を反らした。
「いいぞ、弥伊子。面白いぞ」
芦屋恭子は自分にもうすることがない、と冷やかしに興じている。「人の気持ちも知らないで」弥伊子は心のうちで毒づいた。

次に弥伊子と獅童宰都はカフェでの撮影に移った。二人で同じテーブルを囲い、向かい合って座った。獅童宰都はブレンドコーヒー、弥伊子はラテを配膳してもらった。
「外野不自然」
須藤綾が田代啓司に激しく注意する。田代啓司は弥伊子たちの席の後方に風景のひとつということで座らさせられている。
「てめぇ、調子にのりやがって」
「こっち向くなバカ」
「なんだと」
「まあまあ」
たまらず獅童宰都が間に入る。
「獅童くんがいうなら、田代ちゃんとしなよ」
「まったくもう」
田代は頬杖をついてそっぽを向いた。
「南洞さんは部活は何にはいっているの?」
獅童宰都は自然な撮影となるように雑談を持ちかける。
「あ、私は部活にははいってない、です」
「そうなんだ。僕はなかなか時間がとれなくてあこがれているんだよね」
「いいですよね、部活。わ、私にも運動神経があれば、」
「いいんだよ、別にうまくなれなくたって」
「え、と。どういう」
「別に義務はないしさ。楽しくやることの方が重要でしょう」
「でも、少なくともスポーツは勝てないと面白くないし、飽きてしまいます」
「それも考え方としてはわかるよ。でも意味を持って一緒にいることは別な意味があるんだと思うな」
獅童宰都は別に悲しくもなさそうに自然とそんなことをいう。弥伊子は加藤真澄との会話を思い出す。獅童宰都は自分の時間を削って通学している。限られた時間の中の学校生活とはどんな気分なんだろう。獅童宰都は悲しい日々を送っているのではないかと、弥伊子は頭を巡らせた。
「今日は楽しみましょう」
弥伊子は自然とそう伝えていた。獅童宰都の考える意味での部活動であれば、今日の出来事だって部活動ではないだろうか、と考えた。弥伊子には気を引かれることもなかった部活動生活に憧れを残している獅童宰都を思うとなんだか今日を楽しまなくてはとよりいっそう弥伊子は考えた。
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