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雨を挟んだ三日後のこと、街の警察を含めた捜索隊の活動でも見つからなかった二人のうち誠司だけが村に帰ってきた。誠司は足の骨折などの重症を負っていた。泰介はその後も捜索が続けられていたが発見には至らなかった。街の病院に入院した誠司は一週間もの間、目を覚まさなかったが、その間、香椎柚子が懸命に看病を続けたという。目を覚ました田口誠司は遭難に至った経緯の多くを語らなかった。それが原因の一端となり、田口誠司が宍戸泰介を見殺しにしたのではないか、と噂された。それでもなお、田口誠司は遭難の経緯については語らなかった。
夏の終わり、田口誠司は村に帰ったが、村では宍戸泰介の死を招いたという噂が広まりきっていた。田口誠司はそのまま村八分といえる状態に落ち込み、親元からも縁を切られた。退院から腰を落ち着ける間もなく、田口誠司は村を離れることを余儀なくされた。街にでた田口誠司は町工場で働き、生涯を終えた。
日が沈み、サークル室の明かりは、白熱灯だけとなっていた。寒さを増した部屋では重い空気が流れていた。言葉を発したのは貴音だった。
「田口誠司はどうやって村に帰りついたの?」
一瞬の沈黙のあと、幸也が返事をした。
「川を流れてきたらしい。最初は死体かと思われたそうですね」
「ああ、そうか。足を骨折していたんだもんね」
友也は幸也の話を思い出した。
「そう、足の甲を砕かれていたらしい。その傷の後遺症でひい祖父さんは足を引きずっていたらしい」
「田口誠司は何故遭難経緯の多くを語れなかったんだろうな」
慎吾が顎を片手でさすりながら発言した。
「何を言っても信じてもらえないだろうって諦めはあったかもしれませんね」
友也は自分の考えを述べた。慎吾が唸る。
「まあ、そもそも遭難で衰弱していて鮮明に覚えてなかったのかもしれない」
「そうなると、推理の進めようもないですね」
「例えば香椎柚子に知られたくない内容だったとか」
貴音が、唐突に呟いた。
「え、と。そうしたら、そうですね。香椎柚子に山でプレゼントを探していた。だから、山に入ったこと自体が香椎柚子に対して引け目になった」
「確かに佐切の話なら香椎柚子が村に置いていかれた理由にはなるね」
慎吾が頷く。
「香椎柚子が黒幕というのは?二人に何かが起こるように仕向けたわけだ」
幸也も議論に参戦し始めた。
「なんか、不謹慎な話だと思うけど大丈夫?」
「友也、そう思ってたらミス研に聞きにこないよ」
「…、ならいいけど」
「田口さん、香椎柚子に悪意があったとしたら、どういうことになるの?」
慎吾は蛍光灯を眺めながら話した。
「うーん、実は田口誠司を思っていて、宍戸泰介とくっ付けられないように、田口誠司を焚き付けたとか」
「あ、確かに香椎柚子の考えが話からは汲み取れないよね。見つかった田口誠司を看病していたけど、それも、まだ見つからない宍戸泰介の手がかり欲しさとも言えるし」
友也は思いつきのあまり、手で机を叩いた。
夏の終わり、田口誠司は村に帰ったが、村では宍戸泰介の死を招いたという噂が広まりきっていた。田口誠司はそのまま村八分といえる状態に落ち込み、親元からも縁を切られた。退院から腰を落ち着ける間もなく、田口誠司は村を離れることを余儀なくされた。街にでた田口誠司は町工場で働き、生涯を終えた。
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