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第十二章:スイートアンドビター
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「――沙良くんと一緒に生徒会をやっている冬廣波折です」
「へえ、波折くん! 役職は?」
「生徒会長です」
「えっ生徒会長!? ……えっ!? 会長!? じゃあ学園のトップってこと!?」
洋之は突如家に現れた「王子様」に興味深々のようだった。沙良の起きている時間に帰宅することがほとんどなく、沙良と会話する機会もほとんどない洋之は、沙良がどんな友人と過ごしているのかを知らない。沙良が誰かを家に連れてきたと思えば芸能人もびっくりの美少年だったのだから、興味をもつのも仕方がないだろう。洋之は沙良をそっちのけで波折にひたすらに話しかけている。
「そういえば夕紀が言っていた、沙良が連れてきたイケメンさんってもしかして波折くんのことかな?」
「夕紀ちゃんに会ったことはありますけど……そのイケメンさんが俺かどうかは」
「いや~きっと波折くんのことだろうね! 夕紀がもう目をきらきらさせて話していたもんだからさ、どんなイケメンかと思ったら……ほんとにイケメンだったな! でも夕紀はやらないぞ!」
「あれ、だめですか? 夕紀ちゃんもらっちゃ」
「やらないぞ~!」
豪快に笑いながら洋之は波折と会話を続けている。苦笑いをしながらそれを聞いている沙良をちらりとみて、波折は小さく笑った。
「……夕紀ちゃんも、お父様も素敵な方で。楽しそうな家族で沙良くんが羨ましいです」
「俺が? 素敵? そう見えるか?」
「はい」
「全然うちに帰れないのにな~父親失格だよな~。言い訳するとさ、妻が亡くなっちゃったし沙良がJSに通っているしで、俺がいっぱい稼がないといけないんだよね。だからあんまり家に帰れないんだけど……沙良と夕紀に寂しい思いさせているからさ、俺は素敵って言われるような人間じゃないよ」
「……俺は父さんのこと、好きだよ」
自虐を始めた洋之に、沙良がぼそりと言う。わずかに顔を赤らめながら、照れくさそうに洋之をみつめた。洋之がぽかんとした顔をすれば、沙良は俯いて黙々と食事を再開する。素直な息子の言葉に、洋之も照れてしまったようだ。へへへ、と頬を掻きながら笑ってスープを飲み込む。
「おいおい沙良、おまえ絶対普段そういうこと言わないじゃん!」
「……話す機会がないだけでしょ」
「そうかー? なんだよカワイイ奴だな」
にやにやと笑う洋之、そしてぶすっとしている沙良。微笑ましい二人の会話に、波折は口元をほころばせる。
「波折くんは沙良と仲良くしてくれているんだな、本当に嬉しい限りだよ」
「いえいえ……こちらこそ」
「こいつさ、変に突っ走るところあるから見張っててくれ。短絡的な奴なんだ」
「……それは存じています。でも大丈夫ですよ、沙良くんなら」
「短絡的ってなんだよ、馬鹿って言いたいのか!」
再び二人で会話を始めた波折と洋之に、沙良はきー、と怒る。洋之はそんな沙良をみて愉快そうに笑っていたが、波折はちらりと沙良を見つめただけだった。
――突っ走るところがある、ね。
洋之の言葉に、波折は今までの沙良の言動を振り返る。そして、全くその通りだな、と一人で納得した。表面の穏やかな顔の裏にある、どこか攻撃的な性格。俺と一緒にいることで、その攻撃性はより強くなっているんですよ……とは波折は言えなかった。沙良は、波折のことになると必死になりすぎて、普段潜めているはずの危なっかしさを出してしまう。
「波折先輩! 俺、馬鹿じゃないですよね!?」
「……さあどうだろう」
「えっ、ひどい」
洋之と話しているときの沙良は楽しそうだ。わーわーと騒いでいる沙良をみていた波折は、ふと浮かんだ沙良の内面の不安をすぐに振り払った。優しい家族に囲まれた沙良は、きっと大丈夫だろう、と。
「へえ、波折くん! 役職は?」
「生徒会長です」
「えっ生徒会長!? ……えっ!? 会長!? じゃあ学園のトップってこと!?」
洋之は突如家に現れた「王子様」に興味深々のようだった。沙良の起きている時間に帰宅することがほとんどなく、沙良と会話する機会もほとんどない洋之は、沙良がどんな友人と過ごしているのかを知らない。沙良が誰かを家に連れてきたと思えば芸能人もびっくりの美少年だったのだから、興味をもつのも仕方がないだろう。洋之は沙良をそっちのけで波折にひたすらに話しかけている。
「そういえば夕紀が言っていた、沙良が連れてきたイケメンさんってもしかして波折くんのことかな?」
「夕紀ちゃんに会ったことはありますけど……そのイケメンさんが俺かどうかは」
「いや~きっと波折くんのことだろうね! 夕紀がもう目をきらきらさせて話していたもんだからさ、どんなイケメンかと思ったら……ほんとにイケメンだったな! でも夕紀はやらないぞ!」
「あれ、だめですか? 夕紀ちゃんもらっちゃ」
「やらないぞ~!」
豪快に笑いながら洋之は波折と会話を続けている。苦笑いをしながらそれを聞いている沙良をちらりとみて、波折は小さく笑った。
「……夕紀ちゃんも、お父様も素敵な方で。楽しそうな家族で沙良くんが羨ましいです」
「俺が? 素敵? そう見えるか?」
「はい」
「全然うちに帰れないのにな~父親失格だよな~。言い訳するとさ、妻が亡くなっちゃったし沙良がJSに通っているしで、俺がいっぱい稼がないといけないんだよね。だからあんまり家に帰れないんだけど……沙良と夕紀に寂しい思いさせているからさ、俺は素敵って言われるような人間じゃないよ」
「……俺は父さんのこと、好きだよ」
自虐を始めた洋之に、沙良がぼそりと言う。わずかに顔を赤らめながら、照れくさそうに洋之をみつめた。洋之がぽかんとした顔をすれば、沙良は俯いて黙々と食事を再開する。素直な息子の言葉に、洋之も照れてしまったようだ。へへへ、と頬を掻きながら笑ってスープを飲み込む。
「おいおい沙良、おまえ絶対普段そういうこと言わないじゃん!」
「……話す機会がないだけでしょ」
「そうかー? なんだよカワイイ奴だな」
にやにやと笑う洋之、そしてぶすっとしている沙良。微笑ましい二人の会話に、波折は口元をほころばせる。
「波折くんは沙良と仲良くしてくれているんだな、本当に嬉しい限りだよ」
「いえいえ……こちらこそ」
「こいつさ、変に突っ走るところあるから見張っててくれ。短絡的な奴なんだ」
「……それは存じています。でも大丈夫ですよ、沙良くんなら」
「短絡的ってなんだよ、馬鹿って言いたいのか!」
再び二人で会話を始めた波折と洋之に、沙良はきー、と怒る。洋之はそんな沙良をみて愉快そうに笑っていたが、波折はちらりと沙良を見つめただけだった。
――突っ走るところがある、ね。
洋之の言葉に、波折は今までの沙良の言動を振り返る。そして、全くその通りだな、と一人で納得した。表面の穏やかな顔の裏にある、どこか攻撃的な性格。俺と一緒にいることで、その攻撃性はより強くなっているんですよ……とは波折は言えなかった。沙良は、波折のことになると必死になりすぎて、普段潜めているはずの危なっかしさを出してしまう。
「波折先輩! 俺、馬鹿じゃないですよね!?」
「……さあどうだろう」
「えっ、ひどい」
洋之と話しているときの沙良は楽しそうだ。わーわーと騒いでいる沙良をみていた波折は、ふと浮かんだ沙良の内面の不安をすぐに振り払った。優しい家族に囲まれた沙良は、きっと大丈夫だろう、と。
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