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第五章:小さな嵐、珈琲の香り
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しおりを挟む「あ、あれ……?」
目を覚ますと、そこには天井があった。モアがゆっくりと身体を起こせば、ぱさりと布団が身体からずり落ちる。いつの間にか、寝室に運び込まれていたらしい。
そのとき、ガチャリと音をたてて扉が開いた。イリスだ。イリスはぱたぱたと駆け寄ってくる。
「モア……よかった。このままずっと目を覚まさなかったらどうしようかと……」
「うーん……私はなぜここにいるのでしょうか……記憶が……」
「……な、なんでだろうね」
すい、とイリスが目をそらす。
「そういえば……フレドリカさんたちはどうされましたか?」
「ああ、フレドリカとヴィリアムなら、違う部屋で休んでいるよ。もう夜も遅いから、泊まっていくことになったんだ」
まだフレドリカたちは屋敷にいるようだ。それを知ったモアは、のそりとベッドから這い出る。「どうしたの?」とイリスが声をかけてきた。
「フレドリカ様と……お話がしたくて」
「モアがそんなことを言うなんて珍しいね。まだ寝ていないと思うから、部屋を尋ねてみたらいいよ」
フレドリカには、尋ねたいことがあった。
「好き」という気持ちのこと。イリスとの関係のこと……たくさん。
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