BLUE~性奴隷になった没落貴族、大貴族に買われました~

うめこ

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第二章:安寧決壊

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 その瞳を持つ彼から発せられるには、あまりにも違和感がある言葉。しかし、ハルの頭に浮かんだ言葉は一つ。その違和感に対する罵倒でも批判でも嫌悪でもなく。


「……わかった」


 ラズワードに引きずられるように、承諾の言葉を発することしかできなかった。 


「それでは、契約は成立ということで、よろしいですか?」


 ノワールがすい、とラズワードの脇に立った。ハルはノワールを完全に意識の外に追いやっていたため、びくりと反応してしまう。


「……はい、彼を……買い、ます」

「ありがとうございます」


 恭しくノワールは頭を下げる。ハルは彼のその仕草にすらもイラッとしてしまった。


(こいつ本当にラズワードのこと商品としか思っていないんだな)


 きっと、こんな奴に調教なんてされたから、ラズワードはおかしな考えを持つようになってしまったんだ。自ら奴隷にして欲しいなどと言うくらいに。

 次々と浮かぶ憤怒に近い感情。不快だ。余計な感情を抱くことは不快なはずなのに、とまらない。


「じゃあ、俺、こいつ買うんで。もういいでしょう。会計は外ですか?」


 これ以上ここにいたら、どうにかなってしまう。溢れる感情をどう処理したらよいのかわからない。焦りに近いものを感じたハルは、ラズワードの手を掴み、早足で牢を出ようとした。
  

「ああ、待ってください。送っていきますよ」

「……結構です」

「そうですか? では先ほどのスタッフに会計をしてもらってくださいね」

「……はい、今日はありがとうございました」


 何かイヤミでも吐き捨てていこうかと思ったが、流石にそれは理性で押さえつけた。ひきつる口元をどうにか笑顔に変えて、ノワールを顧みる。


「……!」


 とその時、ハルは視界にはいったラズワードを見て、息を飲んだ。

 ラズワードが、何か言いたげにノワールのことを見ていたのだ。じっとみつめるわけでもなく、チラリと遠慮しがちに。その目に映る感情を、ハルは読み取ることができなかった。

 憎悪?いや違う。解放される喜び?いや違う。

 わからない。

 しかし、なぜかそんな彼を見ていると、チリ、と何かが焦げ付くような錯覚を覚える。 


「ラズワード」

「……っ」


 ノワールが、彼の名を呼ぶ。そうすると、ラズワードがピクリと反応したのが、掴んだ手から伝わってくる。

 ラズワードは今度はしっかりとノワールを見た。その唇は震え、瞳は揺れている。ノワールの言葉を待っている。


「……ハル様に、精一杯尽くすんだよ」

「……はい……」


 ノワールの言葉に応えた声は、かすれていた。きゅ、と眉をひそめ、唇を噛んでいる。

 どういうことだ。これじゃあまるで……


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