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第四章:夢の漣
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しおりを挟む「んー、いいよねぇ。俺を殺すつもりでやってきた強気なハンターちゃんを組み伏せて無理やり犯すの。すっごい興奮する」
ひょい、と悪魔はシャンデリアから飛び降りた。そしてゆっくりとラズワードに歩み寄る。
「なんかあっさりそいつ死んじゃってさ。まだ俺溜まっているんだよね。相手してよ、キミ。なんかすっごい綺麗なお顔しているけどさ、その顔、めちゃくちゃにしてやりたい」
「……」
悪魔はそのままラズワードの目の前まで詰め寄った。ニヤリと嗤い、赤い舌で唇を舐める。
「そのさ、きっちりとしたシャツをひん剥いてさ、屈辱に濡れた目で睨みつける君を押さえ付けて、犯すんだよ」
「……離れろ、悪魔」
「そんでもってさ、『許してください』って言っても突っ込み続けんの。そのうち君はアンアンみっともなく喘ぐことしかできなくなって、ヨダレ垂らしながら美味しそうに俺のモノくわえ込むんだよ」
「聞こえなかったか、離れろ!」
ビ、と剣を抜いてラズワードは悪魔の首に突きつけた。そうすれば、悪魔は嬉しそうに手を叩く。
「うん、パーフェクト! その気位高そうなところ、非常にイイです!」
ぴょん、と悪魔は飛ぶと一瞬でラズワードと距離を取った。睨みつけるラズワードのことなど気にしていないように、ケタケタと笑い続けている。
「体位は? 何がいいかな。バックも征服感溢れていいけど、ヒンヒン泣く君の顔見れなくなるの嫌だなあ」
「――っ」
思わず剣を振るった。強力な魔力が剣先からほとばしり、そのまま悪魔へ向かっていく。大理石の床を割り、氷の刃が悪魔に襲いかかる。
「……!」
そのまま氷が悪魔を貫くかと思われたが、そうはいかなかった。激しい音と共に氷は割れ、傷一つ負っていない悪魔が立っている。
「……可愛いじゃん。君、すぐイっちゃうんだね」
「おまえ、いい加減に――……っ!?」
視界に黒が広がる。
なんだ……いや、これは――!
突如として視界に飛び込んできた黒。それは黒い服をまとった悪魔、その本人であった。数メートルは離れていたと思われる距離を、一瞬で詰めてきたのである。
ラズワードはそれに気づいた瞬間、反射で剣を振った。相手がどんな風に攻撃を仕掛けてくるのかはわからなかったが、防衛本能として、勝手に腕が動いたのである。
「……へえ、いい反応」
「……っ」
「アッチの反応もいいと嬉しいんだけど」
ギ、と鋭い音を立てて、ラズワードの剣は悪魔の攻撃を阻んでいた。見れば悪魔はその手に何かを持っている。
プロフェットとは全く異質の、黒い武器。
「もしかして始めてみる? これ」
「……?」
「君たちがプロフェットって呼んでいるのと同じ。悪魔バージョンだよ。ヴァール・ザーガーって言うんだ。カッコイイでしょ」
ラズワードは自分のもつ剣と見比べて、その武器の異質さに驚いた。白を基調とし、美しさを持つ天使の武器、プロフェット。それに比べて、この悪魔のもつ武器の禍々しさは。
おそらく、この悪魔のもつ武器はダガーの一種である。しかしその刀身はグリグリと捻れ、普通のモノとは一線を画している。黒いソレには血がこびり付き、そのおぞましさに拍車をかけていた。
「ツイスト・ダガーっていうんだ。これで刺されれば、まず死ぬね。刃の先端に穴があいているでしょう? これで体を刺すと体内に空気が流れ込む。もちろんこの捻れた刃で肉を抉るダメージもすごいけど、その空気が入り込むことによって死により近づくんだ」
美しさ、使いやすさ。それを優先してつくられる、プロフェット。対して殺傷能力を優先し、醜悪な形となっているヴァール・ザーガー。
ラズワードは目の前の、初めて見る「殺すための道具」を凝視する。
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