37 / 297
第四章:夢の漣
6(1)
戦闘訓練を行う部屋まで移動する。そこは牢と違って、扉を閉めてしまえば誰からも覗くことはできない場所だ。
だからこそ、ノワールは仮面とローブを外せるのかもしれない。彼は扉を閉めるなり、それらを外した。
「……っ」
仮面が外された瞬間、ラズワードはノワールから目を背けた。昨日の痴態を思い出して恥ずかしくなったのだ。
ノワールはローブの下は他の調教師と同じ黒いスーツを着ている。彼はローブに続いてその上着を脱ぎ、白いシャツ一枚になる。そして、黒いネクタイを外し、首元を緩めた。はだけた首元から、くっきりとした鎖骨が覗いている。
「……どうした?」
「――っ、い、いや……」
いつの間にかノワールのことを見つめていたことに気付き、ラズワードは血の気が引いたのを感じた。何を思って今自分は彼を見ていたのだろう。そんなことを考えて。
「……ラズワード」
「……っ」
「まず、戦いの前は敵の観察から始めろと言ったと思うけれど……どこを見ているんだ。どうした、ちゃんと俺を見ろ」
ラズワードはそう言われて、なんとかその瞳にノワールを映す。その顔、その瞳。彼の素顔が、昨夜の記憶を呼び起こす。細い指、耳障りの良い声、冷たい瞳。自分を犯したその全て。それが、今再び目の前にある。
「……」
体が熱くなってゆく。これ以上見ていられなくなって、ラズワードはまた目を逸らしてしまった。
「……ラズワード」
「……」
「おまえ、まだ昨日の熱が抜けていないのか」
「――ち、違うっ……!」
思わず大声で叫んでしまう。本人に見抜かれてしまって、あまりの恥ずかしさにラズワードはノワールを睨みつけた。
「……う」
目が合って、ラズワードはびくりと体を揺らした。
「ふうん、そうか」
「……だから、違うって言って……」
「まあ、仕方ないな。昨夜の君の乱れ方は今までで一番だったからな」
「――っ」
淡々と昨日の痴態のことをあざ笑われて、ラズワードはカッと頭に血が昇ったのを自分でも感じた。ノワールはふ、と笑い、さらにラズワードに追い討ちをかけてくる。
「そんなに俺の前での自慰はよかったか? その俺を目の前にして……また、我慢できなくなったんだろう?」
「うるさい、だまれ……違うって言ってんだろ……!」
「は、どうだか」
ノワールがラズワードに歩み寄ってくる。ラズワードはなぜか逃げることもできずに、それを傍観していた。気付けば彼はもう目の前に来ていて、その瞳に見つめられて腰が抜けそうになってしまう。
だからこそ、ノワールは仮面とローブを外せるのかもしれない。彼は扉を閉めるなり、それらを外した。
「……っ」
仮面が外された瞬間、ラズワードはノワールから目を背けた。昨日の痴態を思い出して恥ずかしくなったのだ。
ノワールはローブの下は他の調教師と同じ黒いスーツを着ている。彼はローブに続いてその上着を脱ぎ、白いシャツ一枚になる。そして、黒いネクタイを外し、首元を緩めた。はだけた首元から、くっきりとした鎖骨が覗いている。
「……どうした?」
「――っ、い、いや……」
いつの間にかノワールのことを見つめていたことに気付き、ラズワードは血の気が引いたのを感じた。何を思って今自分は彼を見ていたのだろう。そんなことを考えて。
「……ラズワード」
「……っ」
「まず、戦いの前は敵の観察から始めろと言ったと思うけれど……どこを見ているんだ。どうした、ちゃんと俺を見ろ」
ラズワードはそう言われて、なんとかその瞳にノワールを映す。その顔、その瞳。彼の素顔が、昨夜の記憶を呼び起こす。細い指、耳障りの良い声、冷たい瞳。自分を犯したその全て。それが、今再び目の前にある。
「……」
体が熱くなってゆく。これ以上見ていられなくなって、ラズワードはまた目を逸らしてしまった。
「……ラズワード」
「……」
「おまえ、まだ昨日の熱が抜けていないのか」
「――ち、違うっ……!」
思わず大声で叫んでしまう。本人に見抜かれてしまって、あまりの恥ずかしさにラズワードはノワールを睨みつけた。
「……う」
目が合って、ラズワードはびくりと体を揺らした。
「ふうん、そうか」
「……だから、違うって言って……」
「まあ、仕方ないな。昨夜の君の乱れ方は今までで一番だったからな」
「――っ」
淡々と昨日の痴態のことをあざ笑われて、ラズワードはカッと頭に血が昇ったのを自分でも感じた。ノワールはふ、と笑い、さらにラズワードに追い討ちをかけてくる。
「そんなに俺の前での自慰はよかったか? その俺を目の前にして……また、我慢できなくなったんだろう?」
「うるさい、だまれ……違うって言ってんだろ……!」
「は、どうだか」
ノワールがラズワードに歩み寄ってくる。ラズワードはなぜか逃げることもできずに、それを傍観していた。気付けば彼はもう目の前に来ていて、その瞳に見つめられて腰が抜けそうになってしまう。
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー