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Aランクになりました

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 ロイス「そういや、ナリア変な本持ってたよな」

 ナリア「チェドリアで何かないかと思って手に取ったのが異世界から人を呼ぶ方法が書かれたあの本だったのよ。今思えば、あの本を変な男に渡したから、カズヤたちはこちに来ちゃったのかしら」

 俺たちは酒を飲みながら適当に話しているとロイスが思い出したように言った
 みんな酒が入ってきて顔が赤い
 その本が変な男に渡ったから俺たちが異世界に呼び出されたか
 可能性は0じゃないかもな
 
 
 ナリア「顔はフードで見えなかったけど、金髪だった気がするのよね」

 ロイス「でも、仕方ねぇんじゃねぇか?あの時、流れるように持ってかれたし」

 俺の脳内の記憶に金髪の男がいたか思い出してみる
 なんか心当たりあるぞ……マラ王国の城に入った時に俺を殺そうとしてきたやつか?
 まさかそいつじゃないよな……?
 確証が無いからわからないけど
 

 ナリア「何で売ろうなんて思ったんだろう……」

 カズヤ「しょうがないよ。でも、そのおかげで俺たちは仲間になれたんだから」

 ロイス「お、カズヤ良い事言うじゃねぇか!!」

 ロイスはそう言うと俺の空いたグラスに酒を注いでくる
 殺す気か?わざと空けたんだけど……
 酒弱いから飲み過ぎると支障出るから空けてたのに
 これ以上飲んだら俺、吐くんだけど


 カズヤ「あぁー!!わざと空けてたのに!!俺が酒弱いの知ってるでしょ!!」

 ロイス「お、おう……すまん。つい」

 俺が大声で言うとロイスは申し訳なさそうに言った
 つい、酒を注ぐな!!
 
 
 ナリア「それくらい飲めるでしょ。まだ一杯しか飲んでないじゃない」

 カズヤ「一杯で限界なんだ……」

 ナリア「さすがに弱すぎるわよ」

 ロイス「注いじゃったものは仕方ねぇ。それくらいグビッといけ」

 俺が何言っても相手にされなかったので仕方なく飲むことになった
 これ以上はマジでキツイ……
 グラス逆さまにしておいておこう
 そうすれば注がれること無いだろ


 ナリア「新しいグラスください」

 店員「わかりました。少々お待ち下さい」

 ナリアが店員を呼ぶとグラスを頼んだ
 新しい酒でも飲むのだろうか


 店員「お待たせしました」

 ナリア「ありがとうございます」

 ロイス「新しく頼むのか?」

 ナリア「ほら。カズヤ。飲みなさいよ」

 この人鬼畜か???
 一杯で限界って言わなかった?
 俺グラスを逆さまにしておいてたの気づいてない?

 
 カズヤ「いや……もう限界なんで大丈夫です」

 ナリア「限界は超えるもんでしょ?」

 この人酒が入っておかしくなってる
 違うって限界超えたらその先で待ってるのReverseリバースだから
 誰か、止めてくれ!!


 ロイス「もう少し飲もうぜ」

 ケール「まだいけるよ」

 ダメだ……終わった
 酒が入ってみんな鬼畜になってる
 アルコールに脳細胞破壊されてるって!!
 

 カズヤ「あぁーもうダメだ」

 俺の前に置かれたグラスに酒が注がれていく
 絶望だ。もう二度と二日酔いはしたくないって誓ったのに
 ダメだ。もう


 ナリア・ロイス・ケール「「「乾杯!!」」」

 カズヤ「…………」

 三人は持っているグラスを高々と掲げて乾杯した
 俺はカチンとグラスの鳴る音がアポカリプティックサウンドにしか聞こえなかった
 (※アポカリプティックサウンドとは終焉の音のこと。気になった人は調べてみてね)

 
 


 ――――――


 ケール「そういえばさ、ナリアとカズヤってこの前の夜二人っきりで何してたの?」

 カズヤ「ブー……べ、別に何もしてないよ……」

 ナリア「そうねぇ、何も無かったわね」

 ケールが顔を赤くした状態で爆弾を投げてきた
 唐突過ぎて吹いたんだけど
 それを聞かれるとは……!!バレてるじゃん!!
 酒が入ってデリカシー無いケールが暴走しかけてる


 ケール「本当?絶対何かあったと思うんだけど」

 カズヤ「本当に何も無かったって!!ね?ナリア?」

 ナリア「そうね。少しは期待したけど」

 俺がナリアに同調してもらうように言うとナリアは残念そうな顔をして言った
 この人も暴走してる!!余計なことを言うな!!
 (作者的にも暴走されるのは困る。一線を超えられると作品が変わる)


 ロイス「そういって、一線こえ……」カン
 
 カンちゃん「酔い過ぎ。酒臭い」

 ロイスがさらなる爆弾を投下する前にカンちゃんが頭をつついてロイスを気絶させた
 カンちゃんナイス!!暴走してるやつには寝てもらった方がいいな
 さらなる爆弾が落ちてきそうだ


 カズヤ「カンちゃん、ナイス」

 カンちゃん「お前はうるさい」カン

 俺はカンちゃんに頭をつつかれた。その瞬間意識を刈り取られた
 なんでだよー!!!なんで頭削られないといけないんだよー!!!
 俺何も悪くないだろ!!
 俺は心の中で叫びながら意識を失った


 「やぁ。大変そうだね」

 「まぁそうですね」

 俺が目を開けると目の前に神が立っていた
 俺はびっくりして寝ていた体を即座に起こす
 また呼ばれたよ。そうだ、世界に干渉出来てるのに何で俺に任せるのか聞いてやろ


 「なんで俺が王様殺さないといけないんですか?チェドリアの時はやってたじゃないですか!?」

 「あー知っちゃったか……なら……」

 神がそう言うと片手で頭をかき、俺に刺すような視線を向けてくる
 あれ?俺殺される?立ったちゃった?死亡フラグ
 何か死にそうな雰囲気が漂ってるんだけど
 こんなところで死にたくないよー!!


 「ぐすっ……聞いてくれる?」
 
 神は一変して泣きそうな(もう泣いてる)顔をして言ってきた
 死亡フラグは折れたみたいだ。良かった
 聞くしか無いみたいだし、聞いてあげよう


 「どうしたんですか?」

 「チェドリアの王が勝手に異世界から人を呼んだから裁きを下したんだけど……そしたら国無くなっちゃって、人も大勢亡くなちゃったし、幸せを壊しちゃったからさぁ……」

 神はそう言うと留めていた涙を滝のように流す
 この神、神に向いてないんじゃない?
 裁きを下してチェドリアに住む人たちが亡くなり、住む場所も失って幸せを壊してしまったと
 なるほど。神にしかわからない悩みだな。でも、つまりやり過ぎちゃったってことだよな?
 俺、相談相手になる?


 「それは……大変でしたね」

 「でしょ、もうどうしたらいいか分かんなくなっちゃってさ。だから、世界に干渉出来ないようにしたんだよ。また幸せを壊すのが怖くて……」

 チェドリアでの一件があったから、自分が世界に干渉出来ないようにしたのか
 それで俺に頼んだわけか。なるほど理解出来た
 でも、それって大元はチェドリアの王が悪いけど、やり過ぎたのは神にも責任がある気が……


 「ついやり過ぎちゃったんですか?」

 「うん。つい、やり過ぎちゃったんだ。でも、自分の中ではめちゃくちゃ加減したつもりだったのに……」

 神は涙を拭い泣き止んだと思ったら、また大粒の涙を滝のように流す
 罪悪感で泣いてる。神って気まぐれかと思ったら意外と責任感あるんだな
 加減でやり過ぎになるって…………怖っ
 その気になったら世界消せるじゃん。絶対喧嘩売らないようにしよう
 

 「頑張ってますね。たまには休んで下さい」

 「うん。ありがとう」

 神はそう言うと笑顔を見せる
 良かった。泣き止んでくれた
 俺の意識は神の笑顔を見ると途絶えた
 あれ?これだけ?俺を慰めるためだけに呼んだ?
 気まぐれは認めるんだ


 ナリア「あ、やっと起きたわね。もう行くわよ」

 カズヤ「え?もうそんな時間?」

 ナリア「そうよ。いつまで寝てんのよ」

 俺が目を覚ますといつも通りの三人が目の前にいた
 みんな顔赤くない。酔いが冷めたのか
 ロイスも起きてるし、俺どんだけ寝てたんだ
 神を慰めてたら時間溶けた


 カズヤ「もう大丈夫。行こう」

 ナリア「ギルドに行って本を返すのとカードを返してもらわないとね」

 ロイス「じゃあ行く場所はギルドだな」

 本は借りたままだ。返さないと
 それにカードも預けたままだ
 返してももらわないと。もう昇格されているだろう
 次のランクなんだろう?
 多分、無難にBだよな


 カンちゃん「髭面のお世話。よくやった」

 カズヤ「え?」

 カンちゃん「髭面、メンタル豆腐。よく泣く。泣き止ませるの大変」

 ギルドに向かっている最中にカンちゃんが労いの言葉をかけてきた
 髭面って神のことだよな?
 カンちゃん主のこと髭面って呼ぶのか……辛辣だなぁ
 まぁ確かに髭面だけど(こんなこと死んでも言えない)


 受付嬢「お待ちしておりました」

 カズヤ「カードを返して頂けますか?」

 受付嬢「はい。少々お待ち下さい」

 俺たちはギルドに入って、まず本を返してからカードの受け取りにいった
 インフォメーションセンターに本を返したら、驚いた顔をされた
 こんな分厚い本が一日で返ってくるとは思ってなかったんだろう
 カードを返してもらうよう頼むと受付嬢は奥に入っていった
 

 一同「「「Aランク!!?」」」

 受付嬢「はい。Aランクが妥当だと協議で決定致しました」

 カードを返され、ランクを確認するとAと書かれていた
 嘘だろ!!Aランク!?俺たちCだったよな
 ってことは飛び級だ
 Aランクか。そういえばウルトルさん、災いの騎士カタストロフィナイトの幹部を倒すのはAランク以上じゃないといけないって言ってたな
 俺たちは幹部だけでなく、拠点まで潰した。Aランクになるのも納得か


 ロイス「信じられねぇな……」

 ナリア「まさかAランクになるとはね……」

 ケール「ほんとだね……」

 三人は信じられないという表情を浮かべている
 俺も最初はしてたけど、冷静に振り返ってみれば確かに妥当かもしれない
 CからSはやり過ぎと感じるが、Aなら納得いく
 この調子ならS、いやSSまで行けるんじゃないか


 カズヤ「S以上行けるかもね」

 ケール「あと1つ上だもんね」

 ロイス「まさかそんな次元になるとはな。Sなんか化け物しかなれないと思ってたがこうも近づけるんだな」

 受付嬢「Sへ行かれる人はごくわずかです。AからSへの道のりは長く過酷なものになると思います」

 そりゃそうだよねー
 そんなトントン拍子にランク上がるわけないよね
 受付嬢が現実に戻してくれた
 浮ついてたら絶対無理だ


 ナリア「浮つかないで努力しないとね」

 カズヤ「そうだね。浮ついた状態じゃ到底無理だ」

 ロイス「確かにな。ここから気合入れ直さないとな」

 ケール「これからも努力は続けないとだね」

 みんなの言う通りだ。上を目指すならひたむきに頑張らないと
 ……って大事なことを忘れてた。チェドリアに行かないとダメじゃん
 ランクも上を目指したいけど、まずはやるべきことをやらないと


 カズヤ「チェドリアに行こう!」

 ナリア「チェドリアには災いの騎士カタストロフィナイトが多くいるんだから、準備はちゃんとしないとね」

 ロイス「じゃあ、ある程度のアイテムや装備を整えてまたギルドに集合だな」

 ナリア「でも、もう今日は遅いわね。今日準備を整えて、明日の6時集合にしましょう」

 俺とロイスとケールはナリアの言う事に首を縦に振った
 夜に出発するのは危険だしな。今日、準備を完璧に終わらせよう
 それに飲んだせいか頭痛い。少し休みたいとも思っていた
 ちゃんと休んで明日に備えよう
 俺たちは一度解散して、各々で準備を整えるため街に繰り出た
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