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189 全部貴女のせい
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私に危害を加える事で、アイザックを苦しめようとしていたっていうの?
だとしたら、絶対に許さない。
「ねぇ、誰が、いつ、貴女の邪魔をしたって?
私が? アイザックが?
顔も知らない貴女の邪魔をする程、私達は暇じゃないのだけど」
ニッコリ笑って『お前なんか眼中に無い』と言ってやると、女の顔が悔しそうに歪んだ。
「邪魔したのよっ!!
だって、アンタ達がシナリオ通りに動かないせいで、プリシラが王妃になれなかったんじゃない!
折角ヴィクターを攻略して、恋人になれたのに!
どうして私の最推しが死刑になるのよ!?
全部……、全部、アンタ達のせいでしょう!?
私の幸せ、返しなさいよっっ!!」
今の言葉で、自分が『レイラ』だと認めちゃってるんだけど、気付いているのかしら?
しかも『プリシラが王妃に』なんて言ったら、簒奪の意があったって事になっちゃうんだけど、それで良いの?
そして大方の予想通り、転生者である事も確定した。
アイザックもサディアス殿下も、『シナリオ』とか『攻略』とか言い出した彼女を、痛い子を見る目で見ている。
まあ、そりゃあそうなるよね。
子供の頃も、こんな調子で前世の言葉使いまくったせいで、療養施設に入れられちゃったんだろうなと、簡単に想像出来た。
私は溜息を押し殺しながら、再び口を開く。
「ふざけた事を言わないで。
王位の簒奪を阻止するのは、臣下として当然の義務でしょう?
その行動が貴女の邪魔になったと言うのなら、どう考えても邪魔される様な事をしようとした貴女が悪いんだわ。
貴女が不幸になったのは、貴女が企てたお粗末で愚かな謀略のせいよ。
他人を犠牲にする事を何とも思わない、貴女の醜い心のせいよ」
「醜い……?」
「まさか、自分で気付いてないとか言わないわよね?
貴女、とっても醜いわよ。
見るに堪えないくらいに、根性がひん曲がってるじゃない。
今だって、身から出た錆で不幸になったくせに逆恨みして、自分を慰める為だけに私達を引き摺り下ろそうとしている。
どうしてそんな茶番に私達が付き合ってあげなきゃいけないのよ。馬鹿馬鹿しい。
他人に責任転嫁するのも良い加減になさい。
ヴィクター・リンメルだって、貴女に唆されなければ、もっと早い段階で教皇から逃げる選択肢があったかもしれないのに。
そう考えたら、彼が死罪になったのだって、全部貴女のせいだわ」
私の指摘がショックだったのか、女の顔がサッと青褪めた。
「ち、違うっっ!!
私のせいじゃない!」
「いいえ。違わないわ。
恋人だった彼を死に追いやったのは、紛れもなく貴女自身よ?
彼は本当に可哀想よね。貴女みたいなクズに引っ掛かってしまったばっかりに。
まあ、どうせ直ぐにあの世で再会出来るのではないかしら?
とっても恨まれているだろうから『恋人同士の感動の再会』とは行かないでしょうけどね」
「ちがっ……、私は、ただヴィクターを救おうと……」
「だとしたら、大失敗ね。
救うどころか命を奪ってしまうなんて」
「違う、違う」しか言わなくなってしまった彼女の琥珀の瞳からは、大粒の涙がポロポロと零れ落ちる。
それでも残念ながら、全く同情心は湧かなかった。
この女を見ていると、プリシラなんて可愛いものだったなぁと思えてくる。
彼女も大概迷惑な存在だったけど、少なくとも他人に対する悪意は無かったもの。
「勝手な事をして申し訳ありません」
少し冷静さを取り戻し、サディアス殿下に頭を下げて謝罪をすると、彼はニヤリと笑って首を横に振った。
「いや、お陰で不審者の正体も判明したし、自供も取れた。
大幅に手間が省けたよ。なぁ」
女を捕縛している騎士達に同意を求める殿下の言葉に、彼等はコクコクと大きく頷いた。
ちょっと怯えた様な視線を感じるのは、気のせいかしら?
「連れて行け」
サディアスの指示で騎士達が彼女の両腕を引っ張り、乱暴に立たせて引き摺る様に連行して行った。
これから牢に入れられるのか、それとも直ぐに取り調べが始まるのか……。
あまり賢くは無さそうなあの転生者がどんな供述をするのかはちょっと気になるけど、自ら関わるのは得策では無さそうだ。
好奇心は猫をも殺すって言うものね。
自分に関係のある部分だけ、後でアイザックに教えてもらおう。
そう思って隣のアイザックをチラリと見上げると、何故かとてもキラキラした眼差しを向けられていた。
「どうかしました?」
「怒ってる時のオフィーリアは凛としていて美しいよね。
しかも、僕の為に怒ってくれて嬉しい。
惚れ惚れしてしまった」
「はい?」
それ、どう考えても今言うべき事じゃないよね?
ちょっとは空気読んでくれないかな?
「あー……、後はコッチで片付けるから、卒業生の二人はパーティーに戻りなさい」
「ありがとうございます。失礼します」
私はサディアス殿下のお言葉に甘えて、生温かい空気から逃げ出す様に、アイザックの手を引いてスタスタと会場へ戻った。
密やかな捕縛劇は参加者達に知られる事もなく、卒業パーティーはその後も無事に続けられた。
だとしたら、絶対に許さない。
「ねぇ、誰が、いつ、貴女の邪魔をしたって?
私が? アイザックが?
顔も知らない貴女の邪魔をする程、私達は暇じゃないのだけど」
ニッコリ笑って『お前なんか眼中に無い』と言ってやると、女の顔が悔しそうに歪んだ。
「邪魔したのよっ!!
だって、アンタ達がシナリオ通りに動かないせいで、プリシラが王妃になれなかったんじゃない!
折角ヴィクターを攻略して、恋人になれたのに!
どうして私の最推しが死刑になるのよ!?
全部……、全部、アンタ達のせいでしょう!?
私の幸せ、返しなさいよっっ!!」
今の言葉で、自分が『レイラ』だと認めちゃってるんだけど、気付いているのかしら?
しかも『プリシラが王妃に』なんて言ったら、簒奪の意があったって事になっちゃうんだけど、それで良いの?
そして大方の予想通り、転生者である事も確定した。
アイザックもサディアス殿下も、『シナリオ』とか『攻略』とか言い出した彼女を、痛い子を見る目で見ている。
まあ、そりゃあそうなるよね。
子供の頃も、こんな調子で前世の言葉使いまくったせいで、療養施設に入れられちゃったんだろうなと、簡単に想像出来た。
私は溜息を押し殺しながら、再び口を開く。
「ふざけた事を言わないで。
王位の簒奪を阻止するのは、臣下として当然の義務でしょう?
その行動が貴女の邪魔になったと言うのなら、どう考えても邪魔される様な事をしようとした貴女が悪いんだわ。
貴女が不幸になったのは、貴女が企てたお粗末で愚かな謀略のせいよ。
他人を犠牲にする事を何とも思わない、貴女の醜い心のせいよ」
「醜い……?」
「まさか、自分で気付いてないとか言わないわよね?
貴女、とっても醜いわよ。
見るに堪えないくらいに、根性がひん曲がってるじゃない。
今だって、身から出た錆で不幸になったくせに逆恨みして、自分を慰める為だけに私達を引き摺り下ろそうとしている。
どうしてそんな茶番に私達が付き合ってあげなきゃいけないのよ。馬鹿馬鹿しい。
他人に責任転嫁するのも良い加減になさい。
ヴィクター・リンメルだって、貴女に唆されなければ、もっと早い段階で教皇から逃げる選択肢があったかもしれないのに。
そう考えたら、彼が死罪になったのだって、全部貴女のせいだわ」
私の指摘がショックだったのか、女の顔がサッと青褪めた。
「ち、違うっっ!!
私のせいじゃない!」
「いいえ。違わないわ。
恋人だった彼を死に追いやったのは、紛れもなく貴女自身よ?
彼は本当に可哀想よね。貴女みたいなクズに引っ掛かってしまったばっかりに。
まあ、どうせ直ぐにあの世で再会出来るのではないかしら?
とっても恨まれているだろうから『恋人同士の感動の再会』とは行かないでしょうけどね」
「ちがっ……、私は、ただヴィクターを救おうと……」
「だとしたら、大失敗ね。
救うどころか命を奪ってしまうなんて」
「違う、違う」しか言わなくなってしまった彼女の琥珀の瞳からは、大粒の涙がポロポロと零れ落ちる。
それでも残念ながら、全く同情心は湧かなかった。
この女を見ていると、プリシラなんて可愛いものだったなぁと思えてくる。
彼女も大概迷惑な存在だったけど、少なくとも他人に対する悪意は無かったもの。
「勝手な事をして申し訳ありません」
少し冷静さを取り戻し、サディアス殿下に頭を下げて謝罪をすると、彼はニヤリと笑って首を横に振った。
「いや、お陰で不審者の正体も判明したし、自供も取れた。
大幅に手間が省けたよ。なぁ」
女を捕縛している騎士達に同意を求める殿下の言葉に、彼等はコクコクと大きく頷いた。
ちょっと怯えた様な視線を感じるのは、気のせいかしら?
「連れて行け」
サディアスの指示で騎士達が彼女の両腕を引っ張り、乱暴に立たせて引き摺る様に連行して行った。
これから牢に入れられるのか、それとも直ぐに取り調べが始まるのか……。
あまり賢くは無さそうなあの転生者がどんな供述をするのかはちょっと気になるけど、自ら関わるのは得策では無さそうだ。
好奇心は猫をも殺すって言うものね。
自分に関係のある部分だけ、後でアイザックに教えてもらおう。
そう思って隣のアイザックをチラリと見上げると、何故かとてもキラキラした眼差しを向けられていた。
「どうかしました?」
「怒ってる時のオフィーリアは凛としていて美しいよね。
しかも、僕の為に怒ってくれて嬉しい。
惚れ惚れしてしまった」
「はい?」
それ、どう考えても今言うべき事じゃないよね?
ちょっとは空気読んでくれないかな?
「あー……、後はコッチで片付けるから、卒業生の二人はパーティーに戻りなさい」
「ありがとうございます。失礼します」
私はサディアス殿下のお言葉に甘えて、生温かい空気から逃げ出す様に、アイザックの手を引いてスタスタと会場へ戻った。
密やかな捕縛劇は参加者達に知られる事もなく、卒業パーティーはその後も無事に続けられた。
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