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23 何度でも恋をする(最終話)
《side:???》
ピピピッピピピッピピピッ……
規則正しいアラームの電子音に、ゆっくりと意識が浮上する。
眠い目を擦りつつ、布団の中から手を伸ばしてスマホを掴み、停止ボタンを押した。
「……寒っっ!!
あ゛ーーーー! 起きたくないよぅ」
昨夜はエアコンのONタイマーをセットするのを忘れてしまったらしい。
部屋の空気がキンキンに冷えてやがる。屋内なのに吐く息が白いって、一体どーゆー事なの?
温かい布団の中が名残惜しいけれど、もう支度しないと遅刻しちゃうな。
エイヤッと布団を跳ね除けて、無理矢理ベッドから這い出すと、顔を洗いに洗面所へ。
(また、あの夢だったなぁ……)
子供の頃から繰り返し見ている夢があるのだが、最近はその夢を見る頻度が上がっている。
いつも目が覚めると夢の内容は殆ど忘れてしまうのだけど、一つだけ覚えているのは、毎回同じ男の子が登場するって事。
青みがかった銀髪で、新緑みたいな緑色の瞳の綺麗な男の子。
夢は記憶を整理するために見るものだってどっかで聞いた事があるけど、あの男の子は実在する人物なのだろうか?
緑色の瞳だけなら、外国人?って思うんだけど、青っぽい銀髪なんて普通は無いよね?
染めてるのかもしれないけどさ。
それとも、アニメとかゲームのキャラなのかな?
なんか、中世ヨーロッパみたいな、王子様みたいな服装だったけど……もしかして、コスプレイヤーとか?
夢なんだし、意味なんて無いのかもしれないけど、あまりに頻繁に見るから、なんだか気になってしまう。
その日はなんとか遅刻しないで済んだ。
でも、ギリギリだったから、上司からネチネチとお小言もらってしまった。
その上、仕事も超忙しくって残業決定。踏んだり蹴ったり。嫌な事って続くよね。
どうにか一日をやり過ごして、溜息を吐きながら帰路に着く。
改札を出て、駅前を歩いていると、何処からともなく黒い小さな塊が、私の足元に飛び出した。
「えっっ? ウサギ!?」
黒いウサギはピョコピョコと飛び跳ねながら、人波に突っ込んで行く。
どっかのペットが逃げ出したのだろうか?
暗いからか周囲の人達は気付いていないみたいだけど……。
誰かに踏まれでもしたら可哀想だから、早く捕まえなくちゃって思って、追いかけようとしたのだが───。
ドンっ!
足元ばっかり見ていたせいか、道行く人に勢い良くぶつかってしまった。
「大丈夫ですか? 怪我は?」
ぶつかって転びそうになった私を抱き止めてくれたのは、長身の若い男性だった。
「あ、ごめんなさいっ!! 私の不注意でご迷惑を───」
顔を上げて目が合った瞬間、ドクンッと、私の心臓が大きく跳ねた。
黒髪に黒い瞳。(日本人なんだから当たり前だけど)
それに、顔立ちだって、東洋人っぽい普通の人。
容姿は全く似ていないのに、何故か夢の中の綺麗な男の子が脳裏に浮かんだ。
赤い顔をして、驚いた様に私をジッと見つめていた彼は、やがて蕩ける様な笑みを浮かべた。
(……もしかして、人が恋に落ちる瞬間ってこんな感じなのかしら?)
まるで他人事の様に、そんな考えが頭をよぎる。
『ほらね、だから言ったろ?
結局、人間の想いってヤツが一番厄介なんだよ』
懐かしい誰かの声が、そう言って笑った気がした。
【終】
ピピピッピピピッピピピッ……
規則正しいアラームの電子音に、ゆっくりと意識が浮上する。
眠い目を擦りつつ、布団の中から手を伸ばしてスマホを掴み、停止ボタンを押した。
「……寒っっ!!
あ゛ーーーー! 起きたくないよぅ」
昨夜はエアコンのONタイマーをセットするのを忘れてしまったらしい。
部屋の空気がキンキンに冷えてやがる。屋内なのに吐く息が白いって、一体どーゆー事なの?
温かい布団の中が名残惜しいけれど、もう支度しないと遅刻しちゃうな。
エイヤッと布団を跳ね除けて、無理矢理ベッドから這い出すと、顔を洗いに洗面所へ。
(また、あの夢だったなぁ……)
子供の頃から繰り返し見ている夢があるのだが、最近はその夢を見る頻度が上がっている。
いつも目が覚めると夢の内容は殆ど忘れてしまうのだけど、一つだけ覚えているのは、毎回同じ男の子が登場するって事。
青みがかった銀髪で、新緑みたいな緑色の瞳の綺麗な男の子。
夢は記憶を整理するために見るものだってどっかで聞いた事があるけど、あの男の子は実在する人物なのだろうか?
緑色の瞳だけなら、外国人?って思うんだけど、青っぽい銀髪なんて普通は無いよね?
染めてるのかもしれないけどさ。
それとも、アニメとかゲームのキャラなのかな?
なんか、中世ヨーロッパみたいな、王子様みたいな服装だったけど……もしかして、コスプレイヤーとか?
夢なんだし、意味なんて無いのかもしれないけど、あまりに頻繁に見るから、なんだか気になってしまう。
その日はなんとか遅刻しないで済んだ。
でも、ギリギリだったから、上司からネチネチとお小言もらってしまった。
その上、仕事も超忙しくって残業決定。踏んだり蹴ったり。嫌な事って続くよね。
どうにか一日をやり過ごして、溜息を吐きながら帰路に着く。
改札を出て、駅前を歩いていると、何処からともなく黒い小さな塊が、私の足元に飛び出した。
「えっっ? ウサギ!?」
黒いウサギはピョコピョコと飛び跳ねながら、人波に突っ込んで行く。
どっかのペットが逃げ出したのだろうか?
暗いからか周囲の人達は気付いていないみたいだけど……。
誰かに踏まれでもしたら可哀想だから、早く捕まえなくちゃって思って、追いかけようとしたのだが───。
ドンっ!
足元ばっかり見ていたせいか、道行く人に勢い良くぶつかってしまった。
「大丈夫ですか? 怪我は?」
ぶつかって転びそうになった私を抱き止めてくれたのは、長身の若い男性だった。
「あ、ごめんなさいっ!! 私の不注意でご迷惑を───」
顔を上げて目が合った瞬間、ドクンッと、私の心臓が大きく跳ねた。
黒髪に黒い瞳。(日本人なんだから当たり前だけど)
それに、顔立ちだって、東洋人っぽい普通の人。
容姿は全く似ていないのに、何故か夢の中の綺麗な男の子が脳裏に浮かんだ。
赤い顔をして、驚いた様に私をジッと見つめていた彼は、やがて蕩ける様な笑みを浮かべた。
(……もしかして、人が恋に落ちる瞬間ってこんな感じなのかしら?)
まるで他人事の様に、そんな考えが頭をよぎる。
『ほらね、だから言ったろ?
結局、人間の想いってヤツが一番厄介なんだよ』
懐かしい誰かの声が、そう言って笑った気がした。
【終】
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上手に感想が伝えられなくて申し訳ないのですが、泣いてしまいました。2人は何度生まれ変わっても恋に落ちるのでしょうね。この先の2人の未来を想像して、とても幸せな気持ちで胸がいっぱいです。あたたかなお話を届けて下さりどうもありがとうございました。
感想ありがとうございます!
少しでも楽しい読書タイムをお届け出来たなら光栄です😊
実はちょっとスランプ中で、最近は筆が進んでいなかったのですが、嬉しいお言葉に励まされました。
今後も頑張ろうと思います!
拙い作品をお読み頂き、本当にありがとうございました✨✨
拝見致しました。とても綺麗なお話でした。
アルバートのヤンデレ一歩手前なのは驚いたけど相思相愛だから問題無し!!結婚=ゴールインでは終わらず2人の最後の瞬間まで書き切ったのは素晴らしいの一言。
ツンデレ魔女さんが良い味を出し、中盤から最後まで見事に締めくくってくれました!
また黒ウサギが良いポジション与えられていて羨ましい。異世界転移も可能、侮るなかれww
感想ありがとうございます✨
お褒めの言葉を頂けてとても嬉しいです!
アルバートの急激なヤンデレ化も許容してもらえて良かったww
愛する婚約者があんな形で消えたら流石に病むよね…と思いましてヽ(´o`;
ツンデレ魔女さんは私もお気に入りで、彼女のシーンは楽しんで書いていました♪
現代日本にまで出没した黒ウサギ、とっても有能ですよね(^^)b