死刑国家

めんとうふ

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2. 突然の始まり

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 都内の大学で平凡な大学生活を送っていた「新庄 薫」は、休学して実家のある鹿児島県に避難していた。
東京は電車などの交通機関・運送ルートが麻痺しているだけではなく、人口が多いため犯罪率が極端に高いためだった。

「なぁ、俊之。東京はまだ電車は動かないのか?」
「あぁ、線路を修復してもすぐに自然災害が起きてゼロからのやり直し、イタチごっこ状態らしいよ」
「大変だなぁ、東京生まれ東京育ちの俊之を羨ましいと思ってたけど、今となっては田舎に生まれて良かったって感じるよ」
「それな! 犯罪に巻き込まれるから迂闊に外出れないし、道路も半壊してて物流も止まってるから食べる物が少ないのなんのって・・・。」
「俊之、いつでも鹿児島に来ていいからな、こっちも食べる物は少ないけど東京よりは治安いいし、何より自然が多いから、こんな世の中でも癒されるはずだ」
「ありがとう、気持ちは嬉しいんだけど、そっちは桜島があるだろ? こんだけ自然災害が多いと活火山が近くにあるのが怖く感じるんだ、まぁ耐え切れなくなったらお言葉に甘えてお世話になります(笑)」

 電話口で笑いながら話す俊之は、薫の唯一無二の親友だった。
友達が少ない薫にとっては、かけがえのない存在で鹿児島に帰ってからは毎日のように電話をしている。

 「んじゃ、そろそろ電話切るな~。また明日電話しような、薫」
 「あぁ、また明日な。なんか話す話題を見つけとくわ(笑)」

 この会話が俊之と最後の会話になる事など夢にも思ってみなかった。


一日後

朝7:30に目を覚ました薫は、一階のリビングにて、いつもようにテレビをつけた。
画面右上に「前代未聞、死刑強行法案成立」とテロップが出ていた。
「なんだこれ」と小さく呟きながらテレビの内容を聞いていると速報を知らせる音が鳴った。
「死刑執行 一人目 半沢 俊之」と画面上に速報テロップが数回流れた。その瞬間、薫の脳内は混乱していた。
その名前が、昨日電話をしていた親友・俊之のフルネームだったからである。「は、何だこれ、夢か・・・?」と自然に声が出ていた。

テレビの画面から目を離す事なく凝視していると女性アナウンサーが慌て始め、原稿紙を急いでスタッフから受け取る姿が画面に映っていた。

「速報です。本日0時より施行されました死刑強行法により、半沢 俊之容疑者(20歳 男性)の死刑が執行されました。この法律による死刑者は初めてです。罪状は窃盗の容疑で、夜間帯にショッピングモールから食料品を盗もうとしたもようです。繰り返します。本日・・・」

 薫は耳を疑っていた。これは夢か、夢でないにしろ同姓同名の誰かである可能性がある。
頬を思いっきり抓った、痛い。という事は夢じゃない。薫は急いで自室に戻り、携帯電話を手にして俊之に電話を掛けた。「現在電波の届かない所にいるか、電源を切ってい・・・」電話のアナウンスを無視して何度も何度も電話を掛けると、ようやく電話が繋がった。

「よかった~!! 俊之、同姓同名のやつが犯罪起こしたらしいぞ、しかも死刑。お前じゃなくてよかったよ」
「・・・」
「俊之・・・? 俊之だよなぁ・・・?」
「俊之の母親です・・・。息子から話は聞いていました。親友の薫君ですね。俊之は今朝死刑になりました。私達のために食料を探しにいったみたいで・・・、どうしようもないバカ息子です・・・ぐすっ・・・」
「えっ・・・、、、」

 そこからの記憶はあんまり覚えていなかった。
 この悲惨な出来事は、これから起きる悪夢の単なる序章に過ぎなかった。
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