超能力者の異世界生活

ココてる

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人の子、決断をする

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ここはどこだろう。

真っ暗で何も見えない。

いや、1つだけ明るいものがある。

なんだろう、少ししか明るくないのに包み込まれるような温かさがある。

む、眩しくなってきた、、、

ま、、ぶ、し、、、、、
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吾輩は人間である、まだ名は無い。

何かか細くしかし温かい光に包まれているような感覚を心地よく思い始めた時、俺は初めて自分の体を見ることができた。

視界が濁っていてよく見えないけど、自分の体があるべき場所にはへその緒がついた赤ん坊の体があった。

おかしい、俺はたしかヨボヨボの年寄りになって死んだはずなのに、、、

あれ?違う。

たしか魔王の戦力を測りにダケフ山に行った時に魔王に見つかって殺されたんだっけな、、、

もしくはマシユ反応を見つけて謎の組織に誘拐されて技術を使われるくらいならと自殺したほうか、、、

よくわからないな、俺はいったいなんなんだろう。

わからない。
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どれくらい経ったんだろう。

外から聞こえる人間の声はおそらく俺の家族のものだろうなあ。

『今日の晩ご飯はなんなんだ?』

『パンなんてどうでしょうか、上にお肉を乗せたら美味しいと思いますよ。』

『パンか、それはいい。お前はお腹の子の分も食べなきゃいけないんだからいっぱい食べなきゃな。』

そうか、今日はパンか。

俺がこんなに大きくなっているんだから食べにくいだろうに、俺の分まで食べるなんて無理だろう。

それにしてもなんで話してることがわかるんだろう。

赤ちゃんの俺は話がわかるわけないのに。

もう自分が気持ち悪い。

なんでいろんなことを知っているのか、

なんで普通はできないことができるのか、

こんなことできなければいいのに、、、
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そろそろこの人のお腹の中も窮屈になってきた。

もう少しで俺が生まれる頃だろう。

俺はこのまま生まれてもいいんだろうか。

こんなできないはずのことができる化け物が、こんな普通の家庭に生まれていいんだろうか。

わからない。

俺はどうすればいいんだろう。
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『我が子よ、起きなさい。話があります。』

なんだろう。

いつもの外から聞こえる声とは違う、澄み渡るような声が聞こえる。

まるで本当に目の前にいるような、、、

そんな声が、、、

『我が子よ、まだ寝ているのですか。いつまで経っても、生まれ変わってもまだお寝坊さんですね。』

やっぱりだ。

どこか聞き覚えのある声が聞こえる。

『起きましたか。我が子よ、声が出せないのであれば聞くだけでもいいですから聞いてください。あなたは今、あの時の使命を果たし終えて人に生まれ変わりました。ここまでわかりますか?』

うーん、なんだろう。

生まれ変わりと聞いた時、今までの疑問が全て解消されたようなそんな気がした。

『あなたには2つの未来を選ぶことができます。1つは人として、私の加護を受けて普通の人の子として生きて行く未来。もう1つは前のように私の元に来て天族となり世界のバランスを保つ未来。どちらも正しい未来です。好きな方を選びなさい。』

どちらを選べば良いのか、どちらが正解なのかわからない。

自分は普通じゃない、それはわかっている。

そして、おそらく天族になる未来が正しいのもわかっている。

けれど、心の中では人として生きてみたいと思っている。

今まで体験したことのないような、そんな未来を望んでいる。

『そうですか、それならば楽しいと思う方にしなさい。先ほども言った通り、あなたは使命を果たして生まれ変わりました。使命を果たしたということはあなたは自由です。』

そうか、俺は自由か、、、

それじゃあ、、、

『わかりました、あなたの未来が楽しいことを祈っています。』
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