2 / 9
第1話 こうして旅へ
しおりを挟む
ーーコンコン。
温かな日差しの中でまどろんでいた少年、ホノカはノックの音で目を覚ました。
なんだか不思議な夢を見た気がする。
……覚えてないのだけれど。
まだ半分寝ぼけたままにドアを開けると、そこには隣の家のおばあさんが立っていた。
「あら、ホノカ君……今まで寝てたの?」
「あー、はい。眠くって……」
「そんな場合じゃないわよ! ちょっと……最近モンスター妙に多いじゃない?」
「そうなんですか?」
「引きこもってないで外見なさい! すごい量よ」
ホノカは言われるがままに外へ出て、モンスターの様子を見に行った。
そして、確かにこの量は異常だと納得する。
パッと見ただけでもいつもの数倍はいる。しかも、なんだか気性が荒そうなやつらばかりだ。あの可愛かったペットのような、穏やかなモンスターはどこへやら……。
ホノカは他人事のように呟いた。
「物騒な世の中ですねぇ……」
「そうなのよ……ちょっとホノカ君、モンスター駆除してきてくれないかしら」
「えっ! おれですか、嫌です!」
「ほら、村出てちょっと右に曲がったところ、あそこからたくさん来てるみたいなのよ。一人が不安なら、シュリちゃん連れて行きなさい。よろしくね。」
「だから、何でおれなんですか!!」
ホノカが必死に抗議をすると、おばあさんは一つ大きな溜息を吐いた。
それからジッとホノカを見ると、ビシッと指さして言う。
「いい? この村の若い子って、ホノカ君とシュリちゃんしかいないのよ。私達おばちゃんが戦えると思うのかしら?」
「思い……ません」
ホノカはおばあさんのあまりの迫力に思わず後ずさる。
おばあさんはホノカの様子をまじまじと見ると、ニコッと笑ってもう一度言った。
「モンスター駆除、お願いするね」
「は、はいぃ……」
正直ここのおばあさん達なら戦えるような気がする……。
ホノカはそんな言葉を飲み込んで、ふぅっと一つ溜息を吐いた。
「よりによってシュリさんかぁ……」
正直、あの人は苦手だ。ホノカは密かにそう呟いた。
何考えてるかわからないし、それに何より……、
「なぁに? ボクのこと呼んだ?」
「わぁぁ! シュリさんこんにちは!」
そんな事を考えていると、背後から突然可憐な少女……シュリがひらりと現れた。
そして、太陽のように可愛らしい笑顔を浮かべてホノカを見つめる。
しかし、そんなシュリを見るたび、ホノカの心中は複雑なものとなった。
(だって、こんな可愛らしい見た目なのに、この人男なんだよ!? しかも、25歳のいい年した人だよ!?)
この村はとても小さい。しかも若い人なんてこの二人しかいないのだ。
その上、 家が隣同士であるホノカとシュリは、昔から関わることが多かった。
そして、そんな日々を長く過ごしているものだから、ホノカはシュリが男だということを知っている。
そう、シュリは女装癖のある変わった男なのだ。
それを知っているのはなぜかホノカだけだった。
(できることなら、知らないでいたかった……)
ホノカはシュリを見て重い溜息を吐いた。
「あのね、最近この村にいるモンスターの量が異常らしくて」
「確かにねぇ」
「それでね、村のちょっと出たところのモンスターの駆除を頼まれたの。一緒に来てくてる?」
「うん、別に良いよ」
ちょっと待ってねと言うと、シュリは家に戻った。
しばらく待っていると、シュリは自分の武器を手に、「おまたせ」と言って戻ってきた。
明らかに打撃系のそれは、やはりシュリの見た目にそぐわず、妙な違和感を放っている。
ホノカが武器を見ていると、シュリは視線に気づいたのか、少し恥ずかしそうに「あまり使わないんだけどね」と言った。
(いや、別にガンガン使ってても女の子として見てないので大丈夫です)
やる気満々なシュリに、ホノカは再び重い溜息を吐いた。
「ごめん、おれ全然戦えないよ」
「知ってるから大丈夫」
ホノカは戦闘を大の苦手としていた
温かな日差しの中でまどろんでいた少年、ホノカはノックの音で目を覚ました。
なんだか不思議な夢を見た気がする。
……覚えてないのだけれど。
まだ半分寝ぼけたままにドアを開けると、そこには隣の家のおばあさんが立っていた。
「あら、ホノカ君……今まで寝てたの?」
「あー、はい。眠くって……」
「そんな場合じゃないわよ! ちょっと……最近モンスター妙に多いじゃない?」
「そうなんですか?」
「引きこもってないで外見なさい! すごい量よ」
ホノカは言われるがままに外へ出て、モンスターの様子を見に行った。
そして、確かにこの量は異常だと納得する。
パッと見ただけでもいつもの数倍はいる。しかも、なんだか気性が荒そうなやつらばかりだ。あの可愛かったペットのような、穏やかなモンスターはどこへやら……。
ホノカは他人事のように呟いた。
「物騒な世の中ですねぇ……」
「そうなのよ……ちょっとホノカ君、モンスター駆除してきてくれないかしら」
「えっ! おれですか、嫌です!」
「ほら、村出てちょっと右に曲がったところ、あそこからたくさん来てるみたいなのよ。一人が不安なら、シュリちゃん連れて行きなさい。よろしくね。」
「だから、何でおれなんですか!!」
ホノカが必死に抗議をすると、おばあさんは一つ大きな溜息を吐いた。
それからジッとホノカを見ると、ビシッと指さして言う。
「いい? この村の若い子って、ホノカ君とシュリちゃんしかいないのよ。私達おばちゃんが戦えると思うのかしら?」
「思い……ません」
ホノカはおばあさんのあまりの迫力に思わず後ずさる。
おばあさんはホノカの様子をまじまじと見ると、ニコッと笑ってもう一度言った。
「モンスター駆除、お願いするね」
「は、はいぃ……」
正直ここのおばあさん達なら戦えるような気がする……。
ホノカはそんな言葉を飲み込んで、ふぅっと一つ溜息を吐いた。
「よりによってシュリさんかぁ……」
正直、あの人は苦手だ。ホノカは密かにそう呟いた。
何考えてるかわからないし、それに何より……、
「なぁに? ボクのこと呼んだ?」
「わぁぁ! シュリさんこんにちは!」
そんな事を考えていると、背後から突然可憐な少女……シュリがひらりと現れた。
そして、太陽のように可愛らしい笑顔を浮かべてホノカを見つめる。
しかし、そんなシュリを見るたび、ホノカの心中は複雑なものとなった。
(だって、こんな可愛らしい見た目なのに、この人男なんだよ!? しかも、25歳のいい年した人だよ!?)
この村はとても小さい。しかも若い人なんてこの二人しかいないのだ。
その上、 家が隣同士であるホノカとシュリは、昔から関わることが多かった。
そして、そんな日々を長く過ごしているものだから、ホノカはシュリが男だということを知っている。
そう、シュリは女装癖のある変わった男なのだ。
それを知っているのはなぜかホノカだけだった。
(できることなら、知らないでいたかった……)
ホノカはシュリを見て重い溜息を吐いた。
「あのね、最近この村にいるモンスターの量が異常らしくて」
「確かにねぇ」
「それでね、村のちょっと出たところのモンスターの駆除を頼まれたの。一緒に来てくてる?」
「うん、別に良いよ」
ちょっと待ってねと言うと、シュリは家に戻った。
しばらく待っていると、シュリは自分の武器を手に、「おまたせ」と言って戻ってきた。
明らかに打撃系のそれは、やはりシュリの見た目にそぐわず、妙な違和感を放っている。
ホノカが武器を見ていると、シュリは視線に気づいたのか、少し恥ずかしそうに「あまり使わないんだけどね」と言った。
(いや、別にガンガン使ってても女の子として見てないので大丈夫です)
やる気満々なシュリに、ホノカは再び重い溜息を吐いた。
「ごめん、おれ全然戦えないよ」
「知ってるから大丈夫」
ホノカは戦闘を大の苦手としていた
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる