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第1話 こうして旅へ2
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「おばあさんー、モンスター退治行ってくるね」
「気をつけて行ってらっしゃい」
村の外に出ると、シュリは「うわぁ」と声を漏らした。
ホノカは辺りをぐるりと見渡してから、思わずと言ったように呟いた。
「思った以上に多いね……この量は流石に……」
「おかしいねー、何か 起こってんのかなぁ?」
シュリもホノカと同じことを思ったらしい。
不思議そうにモンスター達を眺めている。「と、とりあえずモンスター倒してっ!!」
「ホノカ君は頼りないなぁ~、男の子失格だよ?」
「失格でも何でも良いからぁっ!」
呑気にモンスターを見ていたらどんどん距離を詰められていた。
モフモフの毛並みに小さい羽。ちょっと猫みたいな三角の耳に、シュッとした尻尾……モンスターの見た目はとても愛らしいのだが、その爪と牙は鋭く、敵意を示すかのようにむき出しにされている。
ホノカはビクビクとしていたが、逆にシュリはやる気満々だ。
「なんか、こういうの久しぶりだねー! ちょっと燃えるー!」
「おれは全然だよっ!」
シュリは武器を振り回して、次々に敵を倒した。
その素速い動きや身軽さ、もちろん一撃一撃の力強さも、シュリは普通の人より秀でているようだ。
それに加えて回し蹴りや飛び蹴りなど、華麗な動きで繰り出し、辺りの敵はあっという間に消え去ってしまった。
それに対し、ホノカといえば……、
「おーい、一通り倒したけど」
少し離れた所の木の裏でひたすら震えていた。
こちらは少し、いや、かなり人より劣っているようだ。
「ほら、しっかりしなよー、ここまだ村の近くだよ?」
「むっ……無理無理! モンスター怖いっ!」
「えー、可愛いじゃん。それに、ここらへんのやつは弱いよ?」
ホノカはそれでも頑なに嫌がった。
シュリはそれを「しょうがないなぁ」と言い、無理矢理引っ張って進んだ。
「どこだっけ? ここを右?」
「そうだけど……わわっ、めちゃくちゃいるじゃん」
「この量……流石にやばいんじゃない?」
そんな事を言いながらも、シュリは機嫌が良さそうにしてる。きっと余裕なのだろう。
それを証明するかのように、モンスターの攻撃を受けることなくシュリは技を決め込んでいた。
「……って、シュリさん! 親玉みたいなのこっち来ましたぁぁ!!」
「わかってる、そりゃ……とぅっ!」
一際大きく凶暴そうなモンスターが現れた時、シュリがそのお腹めがけて力強い蹴りを繰り出した。
親玉は攻撃をする標的をホノカからシュリへと変え、怒ったように乱暴な攻撃を連発させる。
しかしそんな攻撃がシュリに当たるはずもなく、シュリはモンスターの前で挑発的な動きを取った。
「シュリさん何やってるんですか! 余計なことしないで、真面目に戦って下さい!」
「はーい、しょうがないなぁー」
シュリは少し物足りなそうな顔をして、親玉にトドメをさす。
ホノカはその様子を見て、今日何度目かの溜息をまた吐いた。
(モンスターよりシュリさんの方が怖いと思うのはおれだけかなぁ……?)
「あ、モンスター引いたね~。さっきの親玉がモンスター達を率いてたみたい」
「よ、良かったぁぁ……」
モンスター達が一気に引いていくのを見て、ホノカは明らかに安心したような声を上げた。
その様子を見て、シュリがクスクスと笑う。
「ホノカ君全く役に立たなかったね~」
「知ってるよーわかってるよー」
ホノカはちょっと拗ねたようにそっぽを向く。
もとより、非力なのは村の誰もが知っていることなのに……。ホノカはモンスター駆除を頼んできたおばあさんを恨めしく思うように呟いた。
「それにしても、あんな大量のモンスターどこから来たんだろうね?」
「本当に……。たった最近までモンスターと人間が一緒に暮らせるくらいだったのにね」
シュリが口元に人差し指を当てて、うーんと小さく唸る。
そうしてしばらく考えた後、少し落ち着いたトーンでホノカに言った。
「もしかして、昔みたいにまた魔王が現れたとか……?」
「ま、魔王……?」
「知らない? 伝説の勇者が魔王倒したって話。友情で魔王に打ち勝ったってことで有名なんだけど、どうやって倒したんだろうね……?」
シュリがそんな話をしていると、突然ホノカが足を止めた。
不思議に思ったシュリが振り返り、顔を覗いてギョッとしたように言い直した。
「じょ、冗談だよ! 魔王なんているわけないじゃん! だから、そんな……真剣な顔しないでよ」
「その話……おれらだ」
「…………ん?」
「ああ、確かにあいつ、魔王とか呼ばれちゃってたっけ。そんな大それたものじゃないのに、似合ってたっけな。あ、そういえばあの人はもう解決した後におれらの前に来たっけな……遅いって皆で馬鹿にしたっけ……なっつかしいなぁ」
ホノカの表情が、みるみるうちに明るくなっていく。
その嬉々とした表情に、シュリは眩しさと驚きを覚えた。
それでもホノカは続ける。
「……そうだ、皆を探さなくちゃ!」
「だから、何の話!?」
シュリが慌ててホノカを呼び止めると、ホノカはハッと我に返ったようにシュリを見た。
そして、信じられないほど明るい笑顔でシュリに言い放った。
「その伝説、多分おれらの事だと思う」
「気をつけて行ってらっしゃい」
村の外に出ると、シュリは「うわぁ」と声を漏らした。
ホノカは辺りをぐるりと見渡してから、思わずと言ったように呟いた。
「思った以上に多いね……この量は流石に……」
「おかしいねー、何か 起こってんのかなぁ?」
シュリもホノカと同じことを思ったらしい。
不思議そうにモンスター達を眺めている。「と、とりあえずモンスター倒してっ!!」
「ホノカ君は頼りないなぁ~、男の子失格だよ?」
「失格でも何でも良いからぁっ!」
呑気にモンスターを見ていたらどんどん距離を詰められていた。
モフモフの毛並みに小さい羽。ちょっと猫みたいな三角の耳に、シュッとした尻尾……モンスターの見た目はとても愛らしいのだが、その爪と牙は鋭く、敵意を示すかのようにむき出しにされている。
ホノカはビクビクとしていたが、逆にシュリはやる気満々だ。
「なんか、こういうの久しぶりだねー! ちょっと燃えるー!」
「おれは全然だよっ!」
シュリは武器を振り回して、次々に敵を倒した。
その素速い動きや身軽さ、もちろん一撃一撃の力強さも、シュリは普通の人より秀でているようだ。
それに加えて回し蹴りや飛び蹴りなど、華麗な動きで繰り出し、辺りの敵はあっという間に消え去ってしまった。
それに対し、ホノカといえば……、
「おーい、一通り倒したけど」
少し離れた所の木の裏でひたすら震えていた。
こちらは少し、いや、かなり人より劣っているようだ。
「ほら、しっかりしなよー、ここまだ村の近くだよ?」
「むっ……無理無理! モンスター怖いっ!」
「えー、可愛いじゃん。それに、ここらへんのやつは弱いよ?」
ホノカはそれでも頑なに嫌がった。
シュリはそれを「しょうがないなぁ」と言い、無理矢理引っ張って進んだ。
「どこだっけ? ここを右?」
「そうだけど……わわっ、めちゃくちゃいるじゃん」
「この量……流石にやばいんじゃない?」
そんな事を言いながらも、シュリは機嫌が良さそうにしてる。きっと余裕なのだろう。
それを証明するかのように、モンスターの攻撃を受けることなくシュリは技を決め込んでいた。
「……って、シュリさん! 親玉みたいなのこっち来ましたぁぁ!!」
「わかってる、そりゃ……とぅっ!」
一際大きく凶暴そうなモンスターが現れた時、シュリがそのお腹めがけて力強い蹴りを繰り出した。
親玉は攻撃をする標的をホノカからシュリへと変え、怒ったように乱暴な攻撃を連発させる。
しかしそんな攻撃がシュリに当たるはずもなく、シュリはモンスターの前で挑発的な動きを取った。
「シュリさん何やってるんですか! 余計なことしないで、真面目に戦って下さい!」
「はーい、しょうがないなぁー」
シュリは少し物足りなそうな顔をして、親玉にトドメをさす。
ホノカはその様子を見て、今日何度目かの溜息をまた吐いた。
(モンスターよりシュリさんの方が怖いと思うのはおれだけかなぁ……?)
「あ、モンスター引いたね~。さっきの親玉がモンスター達を率いてたみたい」
「よ、良かったぁぁ……」
モンスター達が一気に引いていくのを見て、ホノカは明らかに安心したような声を上げた。
その様子を見て、シュリがクスクスと笑う。
「ホノカ君全く役に立たなかったね~」
「知ってるよーわかってるよー」
ホノカはちょっと拗ねたようにそっぽを向く。
もとより、非力なのは村の誰もが知っていることなのに……。ホノカはモンスター駆除を頼んできたおばあさんを恨めしく思うように呟いた。
「それにしても、あんな大量のモンスターどこから来たんだろうね?」
「本当に……。たった最近までモンスターと人間が一緒に暮らせるくらいだったのにね」
シュリが口元に人差し指を当てて、うーんと小さく唸る。
そうしてしばらく考えた後、少し落ち着いたトーンでホノカに言った。
「もしかして、昔みたいにまた魔王が現れたとか……?」
「ま、魔王……?」
「知らない? 伝説の勇者が魔王倒したって話。友情で魔王に打ち勝ったってことで有名なんだけど、どうやって倒したんだろうね……?」
シュリがそんな話をしていると、突然ホノカが足を止めた。
不思議に思ったシュリが振り返り、顔を覗いてギョッとしたように言い直した。
「じょ、冗談だよ! 魔王なんているわけないじゃん! だから、そんな……真剣な顔しないでよ」
「その話……おれらだ」
「…………ん?」
「ああ、確かにあいつ、魔王とか呼ばれちゃってたっけ。そんな大それたものじゃないのに、似合ってたっけな。あ、そういえばあの人はもう解決した後におれらの前に来たっけな……遅いって皆で馬鹿にしたっけ……なっつかしいなぁ」
ホノカの表情が、みるみるうちに明るくなっていく。
その嬉々とした表情に、シュリは眩しさと驚きを覚えた。
それでもホノカは続ける。
「……そうだ、皆を探さなくちゃ!」
「だから、何の話!?」
シュリが慌ててホノカを呼び止めると、ホノカはハッと我に返ったようにシュリを見た。
そして、信じられないほど明るい笑顔でシュリに言い放った。
「その伝説、多分おれらの事だと思う」
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