ちょっとした伝説

おしゅれい

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第2話 幽霊騒動

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「おばあさん、おれ達しばらく出かけてくるね」
「どうしたの? モンスターの駆除してきてくれた?」
「あ、うん。それもしたんだけど、昔の友達を探しに行きたいんだ」
「そーそー、ついでにモンスター大量発生の原因探してくるよ!」
 おれらがそう言うと、おばあさんは「まぁ!」と感激した様は声を上げた。
「偉いわねぇ! 村の外にはここらのモンスターより強いモンスターがたくさんいるみたいだからね、気をつけて行くんだよ」
「ボクがいるから大丈夫だよ!」
「じゃあ、おばさん行ってくるねー!」
 ホノカ達の旅はそうして始まった。
 村の外を出てホノカがシュリの方をちらりと見ると、シュリは目をキラキラさせていた。
 そして、突然勢い良くホノカの手を握ると、高ぶったように言った。
「ね、ね! モンスターの大量発生の原因をつきとめたら、ボクらも伝説になるかな?」
「伝説作るってそんな簡単なことじゃないと思うよ? ……おれらのやつだって、自分たちからしたら伝説でも何でもないし、作りたくて作った伝説じゃないし。モンスターだってただ大量発生してるだけかもしれないし……ってか、そっちの方が可能性が高い」
「別にそれでもいーよ」
 シュリはそう言って少しいたずらっぽく笑った。
 それから、人差し指を唇に当てて、「本当はね……」と切り出す。
「単純に、ちょっと村を飛び出してみたいって思ったの。村はちょっと平和すぎて退屈だもん」
「そんな事思ってたの!?」
「秘密だよっ」
 シュリが可愛らしく微笑み、ホノカの肩を軽く叩く。
 ホノカは小さく息を呑み、それからまた、「はあぁ……」と息を吐いた。
(なんでだろ、シュリさんがどんどん可愛く見えなくなってく……)
 ちらりとシュリの方を見ると、シュリは「なぁに?」と言って小首を傾げた。
 その様子を見てホノカは残念そうに再び溜息を吐くのだ。

「あ、ホノカ君! 町が見えたよ!」
「おぉ~、こんな行き当たりばったりでもちゃんと町につけるんだね! ってか、割と村から近いね !」
「本当にねー」
 そう言う二人の目の前には、大きな町の入り口がそびえ立っていた。
 それは今まで暮らしていた村よりも全然大きく、二人は感嘆の息を漏らした。
「外から見ただけでも賑やかなのが伝わる……」
「凄いねー、ボクらの村とは比べ物にならないなぁ」
 中へ入ってみると、人も多く道も広くで迷ってしまいそうだ。
 でも、住んでいた村からもそう離れていないこの町(しかも人がたくさんいる)に仲間がいるとはなんとなく思えなかった。
(まあ、手がかりがあるかもしれないし、一応調べてみるか……)
 なんて考えていると、いきなりシュリがホノカの手をギュッと握った。
「何してるんですか……!」
「えへへー、ホノカ君とデート~」
「絶対嫌です、気持ち悪い」
 ホノカが手を解こうとすると、今度は腕を組み始めた。
 何これ、マジで気持ち悪い。勘弁して。
 ホノカは必死に振り払おうとしたが、シュリの力が強くてビクともしない。
(本当、何やってんのこの人……!!)
 抵抗を諦めてシュリを見てみたが、その表情からは何も読み取れなかった。

「ひゅー! お二人さん、仲いいねぇ~」
 突然、背後から声をかけられる。
 振り返るとそこには武器屋があり、そこの店主らしきおばあさんが微笑ましそうに二人を見ていた。
 二人は店主の方を見ると、軽くペコリと頭を下げた。
 そして、シュリがとんでもないことを口走る。
「はい、そうなんです! この人、最近出来た私の彼なんです!」
「はぁっ!? えっ、ちょ……えっむぐっ」
 ホノカが反論しようとすると、瞬時にシュリが口を塞ぐ。
 シュリはホノカの混乱を無視してペラペラとお店の人と話し始めた。
「いいねぇ~、青春だね~」
「はいーありがとうございます~」
「どこから来たの? 旅の人でしょ?」
「ノール村ってところわかります? えっと、この町の少し上を行ったところ……そこから来ました」
「ノール村ね! あそこって自然豊かで良いわよねぇ~」
 それから二人はワイワイと盛り上がってしまう。
(あ……あれ? これ何、おれどうすれば良いの?)
 置いてけぼりをくらったホノカが寂しそうに二人を見つめるも、会話は一向に終わる気配をみせない。
 
 しばらくしてホノカは近くのベンチに座って二人を見ていた。
「……って、ずいぶん長く引き止めちゃったね。ごめんね~彼氏さん拗ねちゃったね」
「ほらー、ホノカ君おいで」
 かなり経った後にホノカは呼ばれて、ちょっとムスッとした顔で二人に近寄る。
 するとおばあさんは元気に笑い、二人に言った。
「おばさんの長い話に付き合ってくれたお礼に、これあげるよ」
「えっと……良いんですか?」
「いいのいいの! 男の子は強くなって女の子を守らなくちゃね!」
 おばあさんのその言葉に、ホノカはギクリと肩を震わせた。
(……シュリさん笑ってるし)
 シュリはホノカの隣で、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべていた。
「ほら~、女の子はしっかり守ってよね!」
「ううー、シュリさん強いから守る必要ないじゃん」
「男の子はしっかりしなさいね?」
「が……頑張ります」
 おばあさんとシュリが顔を見合わせてクスクスと笑った。
 ホノカは顔を真っ赤にして俯いてしまう。
「ふふ、頑張ってね、彼氏さん。二人のこと、応援してるわ!」
 おばあさんはそう言うと手を振ってくれた。
 二人は手を振り返してその場を去る。
「若い出来たてのカップルはね、ああいうおばあさんに応援されやすいんだよ」
 その後にボソリと呟かれたシュリの言葉に、ホノカが密かに震え上がったのは言うまでもない。

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