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第1章
第9話:嵐の前の朝
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私がこの世界に来てから1カ月が過ぎようとしてた頃。
季節は徐々に変化を見せ始め、朝日が日に日に眩しさを増してきた。
いつものように顔に差し込む朝目で目が覚めると
スミカがカウンターでガサゴソ商品を探している。
私の一日の始まりはこの音から始まる。
それがすっかり日常になりつつある。
なんの変哲もない朝。
一点気がかりなことを除いては…。
気がかりなこと
それはスミカが眠っているところを私は一度も見たことがない。
おそらく私がカシオペイアで唯一入ったことのない部屋
スミカの自室にはもちろんベットがあって、
私が眠りについてからスミカはその部屋で眠っているのだろうと
ずっと考えていたが、最近になってそうではないような気がしてきたのだ。
そんな気にさせたきっかけはいくつかあって、
1つは、このいつもの朝の風景。
私が眠る前にはきちんとカウンターの整理や掃除をしてから眠りにつくのだが、
毎朝起きると書物や薬草、そして調合器具などが散乱している。
最初は深夜に作業をしているのだと考えていたが、
ここ最近は日の出が早くなったのか、日差しが強くなったのか、
まだ体が朝だと認識しないうちに暑い日差しで早くに目が覚めることがあって
その時も私が眠っている寝室の外に人の気配を感じるのだ。
ひょっとしたらスミカは一睡もしていないんじゃないかとも考えたこともあった。
けれども普段全然眠そうなそぶりをしないものだから、いつも私は聞きそびれてしまう。
ーーガチャ
「おはよう…スミカ」
まだ目が完全に冷めきっていないのかぼやけた視界を正そうと
寝惚け眼をこすりながらスミカに挨拶をする。
「んあーおはよう。リッカ、朝起きて早々悪いんだけど、こないだボアの実とポポの葉を擦った薬、どこにしまったか覚えてない?」
今日も始まった。
「あーそれならここか、それかもう一つ下の戸棚か…」
私はいくつか思い当たる場所を指指しながら、一日の始まりを感じる。
というのも、私が起きてくるとスミカはいつも「あれがない、これがない」の毎日だ。
忘れないように作った薬の場所などをメモしていても、
気が付けば場所が変わっていたりする。
もしかしたら、夜にお客さんでもきていて、スミカは一人で品出しをしているのかもしれない。
でもそれなら扉の鐘でわかるはず。
そんなことを考えているとだいたい探し物はすぐ見つかるのだ。
「あーあったあった。助かったー。これ今日必要なんだよねー。」
少しほこりっぽく汚れたローブを払いながらスミカは私に薬が見つかったことを知らせる。
「今日のお客さんに出す用?」
「そうそう。これが無いとまた大変だからねー。」
私はカウンターに腰かけ、スミカに尋ねる。
「何の薬だったりするの?」
「傷薬だね。」
「その人、怪我してるの…?」
「してる…というよりはするんだよね。」
「ふーん。」
私はこの時、きっと少しおっちょこちょいな人が
常備薬程度にカシオペイアに買いに来るのかと考えていたが、
実際は想像を遥かに超えたお客がこのあと訪れるのであった。
一通りスミカの探し物は見つかったようなので、
私とスミカは朝食の準備を二人で行い、今日のトーストはいつもより上手に焼けただの、
サラダのドレッシングはイマイチだの、何気ない会話をしながら食事を終えた。
この世界にも加工された食べ物はあって、
だいたいが異世界からのお客と物々交換で私たちの食卓を彩っている。
スミカはこのカシオペイアを一人でやりくりしていることもあって
食べ物を買いに出かけることもなく、全てお客さんつながりで仕入れまでこなしているというからすごい。
最近は薬草の調達を私が担当しているため、スミカはだいぶ楽になったというが、
それでも常連のお客が必要とするものを毎日準備することは大変なことだろうと思う。
「さてと…」
そうスミカがつぶやきながら、腰をあげ
さっきまで食事を共にしていた広間からカウンターの方へ歩みだした。
ーーカランカラン
スミカがカウンターについた頃とちょうどのタイミングでお客が訪れた。
季節は徐々に変化を見せ始め、朝日が日に日に眩しさを増してきた。
いつものように顔に差し込む朝目で目が覚めると
スミカがカウンターでガサゴソ商品を探している。
私の一日の始まりはこの音から始まる。
それがすっかり日常になりつつある。
なんの変哲もない朝。
一点気がかりなことを除いては…。
気がかりなこと
それはスミカが眠っているところを私は一度も見たことがない。
おそらく私がカシオペイアで唯一入ったことのない部屋
スミカの自室にはもちろんベットがあって、
私が眠りについてからスミカはその部屋で眠っているのだろうと
ずっと考えていたが、最近になってそうではないような気がしてきたのだ。
そんな気にさせたきっかけはいくつかあって、
1つは、このいつもの朝の風景。
私が眠る前にはきちんとカウンターの整理や掃除をしてから眠りにつくのだが、
毎朝起きると書物や薬草、そして調合器具などが散乱している。
最初は深夜に作業をしているのだと考えていたが、
ここ最近は日の出が早くなったのか、日差しが強くなったのか、
まだ体が朝だと認識しないうちに暑い日差しで早くに目が覚めることがあって
その時も私が眠っている寝室の外に人の気配を感じるのだ。
ひょっとしたらスミカは一睡もしていないんじゃないかとも考えたこともあった。
けれども普段全然眠そうなそぶりをしないものだから、いつも私は聞きそびれてしまう。
ーーガチャ
「おはよう…スミカ」
まだ目が完全に冷めきっていないのかぼやけた視界を正そうと
寝惚け眼をこすりながらスミカに挨拶をする。
「んあーおはよう。リッカ、朝起きて早々悪いんだけど、こないだボアの実とポポの葉を擦った薬、どこにしまったか覚えてない?」
今日も始まった。
「あーそれならここか、それかもう一つ下の戸棚か…」
私はいくつか思い当たる場所を指指しながら、一日の始まりを感じる。
というのも、私が起きてくるとスミカはいつも「あれがない、これがない」の毎日だ。
忘れないように作った薬の場所などをメモしていても、
気が付けば場所が変わっていたりする。
もしかしたら、夜にお客さんでもきていて、スミカは一人で品出しをしているのかもしれない。
でもそれなら扉の鐘でわかるはず。
そんなことを考えているとだいたい探し物はすぐ見つかるのだ。
「あーあったあった。助かったー。これ今日必要なんだよねー。」
少しほこりっぽく汚れたローブを払いながらスミカは私に薬が見つかったことを知らせる。
「今日のお客さんに出す用?」
「そうそう。これが無いとまた大変だからねー。」
私はカウンターに腰かけ、スミカに尋ねる。
「何の薬だったりするの?」
「傷薬だね。」
「その人、怪我してるの…?」
「してる…というよりはするんだよね。」
「ふーん。」
私はこの時、きっと少しおっちょこちょいな人が
常備薬程度にカシオペイアに買いに来るのかと考えていたが、
実際は想像を遥かに超えたお客がこのあと訪れるのであった。
一通りスミカの探し物は見つかったようなので、
私とスミカは朝食の準備を二人で行い、今日のトーストはいつもより上手に焼けただの、
サラダのドレッシングはイマイチだの、何気ない会話をしながら食事を終えた。
この世界にも加工された食べ物はあって、
だいたいが異世界からのお客と物々交換で私たちの食卓を彩っている。
スミカはこのカシオペイアを一人でやりくりしていることもあって
食べ物を買いに出かけることもなく、全てお客さんつながりで仕入れまでこなしているというからすごい。
最近は薬草の調達を私が担当しているため、スミカはだいぶ楽になったというが、
それでも常連のお客が必要とするものを毎日準備することは大変なことだろうと思う。
「さてと…」
そうスミカがつぶやきながら、腰をあげ
さっきまで食事を共にしていた広間からカウンターの方へ歩みだした。
ーーカランカラン
スミカがカウンターについた頃とちょうどのタイミングでお客が訪れた。
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