20 / 37
第1章
第14.5話:ミナモツキミダケ
しおりを挟む
その日は静かな雨と大きな音の雷が降り注ぐ日だった。
恐らくまだ昼であろうというのに外は暗く、
空は深い青色に緑の絵具を垂らしたかのような変な空模様だった。
私は薬草集めの途中に天気に嫌われ、ただいま雨宿り中である。
雨の日にいい思い出がないため、内心さっさと帰りたい気持ちでいっぱいだった。
ただ、雨が降ることはカシオペイアを出る前から想定済みで、
今回は雨の日に青く光る花のようなキノコが目当てだったりもする。
木の麓によく生えているらしく、倒木や切り株があれば狙い目だそうだ。
注意深く見回すと運よく視線の先に目当てのスポットが飛び込んできた。
「切り株発見!」
ぴょんぴょんと軽快に水たまりを避け、お目当てのキノコ、
ミナモツキミダケを見つけた。
「なんだか想像してたより小さいな…」
根本から優しく採ってまじまじと見て模様を確認してみる。
ミナモツキミダケ。
その名の通り、水面にぼんやりと映るぼやけた月のような模様が入った青いキノコ。
スミカの本にあった通り、月の模様部分に雨水が溜まり光沢が見受けられた。
他にもないかと見回すと、数十メートル先に偶然にも大きな倒木を見つけた。
特になんの根拠もないが、スポットが大きいということだけで、
なんだか大物が眠っているような気がして、さっきまでの帰りたい気持ちが
一気に吹き飛んだ。
近くまで行くと切り口は人がすっぽり入れるくらい大きなトンネルになっており、木の表面は苔がびっしり生えていた。
私は好奇心と雨宿りがてらそのトンネルに入ってみることにしたのだった。
「おー…。」
思わず声がでてしまうほど雨の音が遮断され、
洞窟探検のようなワクワクとした感覚がやってきた。
ずんずん進んでいくとふと足元に柔らかいものがコツンと当たった気がした。
足先で撫でるように正体を確認しようとするが暗くてイマイチわからない。
「あっそうだ!」
ふと私は閃き、頭上の六花で足元を照らせるようにしゃがんで
ゆっくりと躓いた先に顔を近づけてみた。
最初に目が入ったのはボロボロの布のようなもの
一瞬何か柔らかい木の実などが入った布袋かと思ったが、
ゆっくりと照らされていく先に幼い少女の顔が見えた。
「うわあああああ!!!!」
さっきまで想像していたものとはかけ離れていたので、
私は思わず驚きの声をあげてしまった。
少女はその声に小さく反応したような気がした。
少女ボロボロのローブを身にまとっており顔だけしか見えなかったが
歳は恐らく5・6歳といったところだろうか。
ハッと私は人命に関わる事態だと判断し、
少女の首を支えるように上体を起こし声をかける
「ねぇ!あなた大丈夫?私の声聞こえる?」
少女はその声にピクリとも反応しなかったので
私は体を揺らしたり頬に触れたりして意識を確認しようとするも
少女の肌は冷たい。
「大変だ…はやく連れ帰ってスミカにみせないと…」
私はさっきまで持っていたミナモツキミダケを懐にしまい
少女を抱きかかえて急いでカシオペイアに向かった。
同時にあの雨の日のことも思い出していた。
今度は絶対に救ってみせる。
恐らくまだ昼であろうというのに外は暗く、
空は深い青色に緑の絵具を垂らしたかのような変な空模様だった。
私は薬草集めの途中に天気に嫌われ、ただいま雨宿り中である。
雨の日にいい思い出がないため、内心さっさと帰りたい気持ちでいっぱいだった。
ただ、雨が降ることはカシオペイアを出る前から想定済みで、
今回は雨の日に青く光る花のようなキノコが目当てだったりもする。
木の麓によく生えているらしく、倒木や切り株があれば狙い目だそうだ。
注意深く見回すと運よく視線の先に目当てのスポットが飛び込んできた。
「切り株発見!」
ぴょんぴょんと軽快に水たまりを避け、お目当てのキノコ、
ミナモツキミダケを見つけた。
「なんだか想像してたより小さいな…」
根本から優しく採ってまじまじと見て模様を確認してみる。
ミナモツキミダケ。
その名の通り、水面にぼんやりと映るぼやけた月のような模様が入った青いキノコ。
スミカの本にあった通り、月の模様部分に雨水が溜まり光沢が見受けられた。
他にもないかと見回すと、数十メートル先に偶然にも大きな倒木を見つけた。
特になんの根拠もないが、スポットが大きいということだけで、
なんだか大物が眠っているような気がして、さっきまでの帰りたい気持ちが
一気に吹き飛んだ。
近くまで行くと切り口は人がすっぽり入れるくらい大きなトンネルになっており、木の表面は苔がびっしり生えていた。
私は好奇心と雨宿りがてらそのトンネルに入ってみることにしたのだった。
「おー…。」
思わず声がでてしまうほど雨の音が遮断され、
洞窟探検のようなワクワクとした感覚がやってきた。
ずんずん進んでいくとふと足元に柔らかいものがコツンと当たった気がした。
足先で撫でるように正体を確認しようとするが暗くてイマイチわからない。
「あっそうだ!」
ふと私は閃き、頭上の六花で足元を照らせるようにしゃがんで
ゆっくりと躓いた先に顔を近づけてみた。
最初に目が入ったのはボロボロの布のようなもの
一瞬何か柔らかい木の実などが入った布袋かと思ったが、
ゆっくりと照らされていく先に幼い少女の顔が見えた。
「うわあああああ!!!!」
さっきまで想像していたものとはかけ離れていたので、
私は思わず驚きの声をあげてしまった。
少女はその声に小さく反応したような気がした。
少女ボロボロのローブを身にまとっており顔だけしか見えなかったが
歳は恐らく5・6歳といったところだろうか。
ハッと私は人命に関わる事態だと判断し、
少女の首を支えるように上体を起こし声をかける
「ねぇ!あなた大丈夫?私の声聞こえる?」
少女はその声にピクリとも反応しなかったので
私は体を揺らしたり頬に触れたりして意識を確認しようとするも
少女の肌は冷たい。
「大変だ…はやく連れ帰ってスミカにみせないと…」
私はさっきまで持っていたミナモツキミダケを懐にしまい
少女を抱きかかえて急いでカシオペイアに向かった。
同時にあの雨の日のことも思い出していた。
今度は絶対に救ってみせる。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる