魔法使いの「願い事6つだけ」

汐田 瀬羽音

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第1章

第14.5話:ミナモツキミダケ

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その日は静かな雨と大きな音の雷が降り注ぐ日だった。

恐らくまだ昼であろうというのに外は暗く、
空は深い青色に緑の絵具を垂らしたかのような変な空模様だった。

私は薬草集めの途中に天気に嫌われ、ただいま雨宿り中である。
雨の日にいい思い出がないため、内心さっさと帰りたい気持ちでいっぱいだった。

ただ、雨が降ることはカシオペイアを出る前から想定済みで、
今回は雨の日に青く光る花のようなキノコが目当てだったりもする。

木の麓によく生えているらしく、倒木や切り株があれば狙い目だそうだ。

注意深く見回すと運よく視線の先に目当てのスポットが飛び込んできた。

「切り株発見!」
ぴょんぴょんと軽快に水たまりを避け、お目当てのキノコ、
ミナモツキミダケを見つけた。

「なんだか想像してたより小さいな…」
根本から優しく採ってまじまじと見て模様を確認してみる。

ミナモツキミダケ。
その名の通り、水面にぼんやりと映るぼやけた月のような模様が入った青いキノコ。
スミカの本にあった通り、月の模様部分に雨水が溜まり光沢が見受けられた。

他にもないかと見回すと、数十メートル先に偶然にも大きな倒木を見つけた。

特になんの根拠もないが、スポットが大きいということだけで、
なんだか大物が眠っているような気がして、さっきまでの帰りたい気持ちが
一気に吹き飛んだ。

近くまで行くと切り口は人がすっぽり入れるくらい大きなトンネルになっており、木の表面は苔がびっしり生えていた。
私は好奇心と雨宿りがてらそのトンネルに入ってみることにしたのだった。

「おー…。」
思わず声がでてしまうほど雨の音が遮断され、
洞窟探検のようなワクワクとした感覚がやってきた。

ずんずん進んでいくとふと足元に柔らかいものがコツンと当たった気がした。
足先で撫でるように正体を確認しようとするが暗くてイマイチわからない。

「あっそうだ!」

ふと私は閃き、頭上の六花で足元を照らせるようにしゃがんで
ゆっくりと躓いた先に顔を近づけてみた。

最初に目が入ったのはボロボロの布のようなもの
一瞬何か柔らかい木の実などが入った布袋かと思ったが、
ゆっくりと照らされていく先に幼い少女の顔が見えた。

「うわあああああ!!!!」

さっきまで想像していたものとはかけ離れていたので、
私は思わず驚きの声をあげてしまった。

少女はその声に小さく反応したような気がした。

少女ボロボロのローブを身にまとっており顔だけしか見えなかったが
歳は恐らく5・6歳といったところだろうか。

ハッと私は人命に関わる事態だと判断し、
少女の首を支えるように上体を起こし声をかける

「ねぇ!あなた大丈夫?私の声聞こえる?」

少女はその声にピクリとも反応しなかったので
私は体を揺らしたり頬に触れたりして意識を確認しようとするも
少女の肌は冷たい。

「大変だ…はやく連れ帰ってスミカにみせないと…」

私はさっきまで持っていたミナモツキミダケを懐にしまい
少女を抱きかかえて急いでカシオペイアに向かった。

同時にあの雨の日のことも思い出していた。
今度は絶対に救ってみせる。
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