魔法使いの「願い事6つだけ」

汐田 瀬羽音

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第1章

第14.7話:神様のいたずら②

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スミカはきっと嘘を言っていない。
私の腕の中で意識を失っているこの子も、きっと人ならざる者であるということは
腕に感じる重さから途切れることなく伝わってくる。

だけど信じられなかった。

ドームが亀でこの子が鳥だか蛇だかの子で、共に生きていけないという
そんな運命のいたずらがあっていいだろうか…

いいや、こんな幼い命を見捨てることなんて絶対にあっちゃいけないことだ。

心の中で葛藤が続くなか、雨の中走り続けた。
向かう先の候補として、雨の日も晴れていた湖が挙げられたが、
過去の教訓から一人で立ち入ることは憚られた。

そうしている内に私は、少女を最初に見つけたトンネルの中で
雨宿りする形で身を潜めた。

私はなんとかして彼女の体を温めなくてはと、自分の手を彼女の頬にあてた。


「…熱い!」
最初に触れた時とは真逆で彼女は物凄い高熱を発してた。

「大変だ…どうすれば…こんなときどうすれば…」

私はおもむろにトンネルを飛び出し、体を温めるものと額を冷やせる何かを探そうとする。

「温かいもの…火は…!」
そう一瞬考えが過りながらも体を濡らす雨をみては、
火を起こせるような状態でないことは一目瞭然だった。

「しっかりしろ!リッカ!こんな時こそ冷静にならなきゃ!」
そう自分に活を入れながら辺りを見回すと、
数メートル先に大きなミナモツキミダケのようなものを見つけた。

こんな時にキノコなんて採ってどうするんだとも考えたが、
キノコにしては大きすぎ、何か別のようなものにも見えたので
私はその正体だけでも確かめに向かった。

近づくにつれてその正体は、いつかみたことのある姿へと変化し
私は急いで拾い上げた。

「このポーチ…どこかで見たような…?」
肝心なところで記憶にもやが掛かっているような感じがして
よくは思い出せなかったが、私は拾い上げたポーチを手に急いで少女の元へ戻った。

見た目は少し上品なポーチであったが、その中には絆創膏と消毒液と風邪薬が少しとポーチのデザインからはなんだか似つかわしくないものが入っていた。

けれども、今は手にした風邪薬で小さな命が救えるかもしれない。
そんな微かな希望だけれど、そこに強く賭けたい気持ちで少女に薬を飲ませる。

水筒なんて都合の良いものは持ち合わせていなかったので、両手を器の形にして雨水を溜め、あらかじめ咥えていた薬を口移しでなんとか少女に飲ませることに成功した。

ただ仮に彼女が一命をとりとめたとして、
この先どうすればいいだろうか…。

私だって最初は一人でとても不安だった。
この私ですらも心細かったのに、自分の歳の半分にも満たない少女を一人
森に残してはいけない。

きっとこの子は私を必要としているだろう。
けれども私だってスミカを必要としている。

いったいどうしたら…。
そんな思いの中私はずぶ濡れになった少女の髪を、自分のローブから比較的濡れていない箇所で拭った。

その時ふと少女のフードがすっぽり脱げ、
私は彼女が人ならざるものだと突きつけられるものを見せつけられる。
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