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第1章
第13話:心を探る戦い①
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そして決戦の5日後がやってきた。
私は前回サナが躓いたところに寝室のクッションを敷いておく。
スミカには少しの間だけ自室に籠っていてもらい、
カウンターには私一人の状態だ。
これから起こる出来事に覚悟を決めて
私は深く深呼吸をする。
「すっーーーーー。はぁーーーー。よしっ!」
気合も入ったところで私は紅茶をいれて二人の到着を待った。
ーーカランカラン
ついに来た!
今日も黒いボロボロのフード付きローブのサナと
黒いドレスを身にまとった白髪の女性が扉から入ってきた。
「あらあら?今日は店主はいらっしゃらないのかしら?」
「いらっしゃいませ。店主は今、席を外していまして
いつもの薬については伺っていますので私でよければ」
「あらそう。じゃあいつもの薬をお願いするわ。」
第一段階クリア。
私は薬の準備の前に二人に紅茶を差し出す。
「これ良かったら待っている間召し上がってください。
店主がたまに淹れるもので私が大好きな紅茶です。」
「まあ。それならいただこうかしらね。あなたもいただきなさい。」
女性はサナに紅茶をすすめ、
私は背の低いサナには手渡しで紅茶を渡すと薬の準備に入った。
この後のことを考えると
個人的には全部飲んでもらいたい気持ちでいっぱいだった。
薬自体はあらかじめ用意してあったのだが、
私は懐に入る作戦のため、彼女が飲み干す頃を見計らって薬を出した。
「こちらで間違いなかったでしょうか?」
「ええ。確かにいつもの薬だわ。それじゃあサナ、お支払いを」
サナは女性からコインが入った袋を受け取ると
前回同様にカウンターへ入る通路のほうへチョコチョコと早歩きで私に近づいてきた。
そして私はこの時を目掛けて自分の足をサナが躓くようにそっと前に出した。
もちろん、来店前に準備したクッションに転ぶように絶妙なタイミングを狙って。
ベストなタイミングでサナは体勢を崩し、盛大にコインをぶちまけた。
ーーーージャラジャラジャラ!
第二段階クリア。
私はすかさず、サナにあゆみより、サナにしか聞こえない声で
「ごめんね。」と謝った。
そして予想通りの展開へと移行する。
さっきまで上品に紅茶を飲んでいた女性の顔は般若の面と変化し、
あの時の同じ怒号が鳴り響いた。
「おまえってやつはああああ!!!!
いつもいつもいつもいつもいつもいつも…!」
女性は沸々と怒りの言葉を唱えながら、紅茶を飲み干したティーカップを勢いよくソーサーの上に叩きつけた。
第三段階クリア。
となるはずだった。がここで一つ誤算が生じたのだった。
私が想定していたのはここで女性がティーカップを投げるかするなりして割って
少しでも怒りを発散させてから、次のステップに進むはずだったのだが、
カップではなくソーサーが割れ、あろうことか怒り狂った般若は
割れたソーサーを片手にこっちに近づいてくるではないか。
私は内心恐怖で心臓バクバクだったが、ここまで来たら逆に好都合だと
下唇を軽く噛みながらも覚悟をきめた。
勢いよく振りかざされた手には割れたソーサー。
そのソーサーが立ち上がろうとしたサナに向かって振り下ろされる瞬間
私はその間に飛び込んだ。
「っつあ‥‥」
鋭い痛みが額に走った。
私の頭からは鼻先に向かってポタポタと赤い雫が流れ落ちるのがわかった。
「なっ…あなた何を!?」
女性は我に返ったように自分の行いが想定していた結果と違うことに
驚きを隠せない様子だった。
そう、これでいい。
これが私の中で導き出した第三の痛み。
自分を痛めつける痛みとまったくの他人を傷つける痛みが同じであって堪るかと
私は歯を食いしばった。
私は前回サナが躓いたところに寝室のクッションを敷いておく。
スミカには少しの間だけ自室に籠っていてもらい、
カウンターには私一人の状態だ。
これから起こる出来事に覚悟を決めて
私は深く深呼吸をする。
「すっーーーーー。はぁーーーー。よしっ!」
気合も入ったところで私は紅茶をいれて二人の到着を待った。
ーーカランカラン
ついに来た!
今日も黒いボロボロのフード付きローブのサナと
黒いドレスを身にまとった白髪の女性が扉から入ってきた。
「あらあら?今日は店主はいらっしゃらないのかしら?」
「いらっしゃいませ。店主は今、席を外していまして
いつもの薬については伺っていますので私でよければ」
「あらそう。じゃあいつもの薬をお願いするわ。」
第一段階クリア。
私は薬の準備の前に二人に紅茶を差し出す。
「これ良かったら待っている間召し上がってください。
店主がたまに淹れるもので私が大好きな紅茶です。」
「まあ。それならいただこうかしらね。あなたもいただきなさい。」
女性はサナに紅茶をすすめ、
私は背の低いサナには手渡しで紅茶を渡すと薬の準備に入った。
この後のことを考えると
個人的には全部飲んでもらいたい気持ちでいっぱいだった。
薬自体はあらかじめ用意してあったのだが、
私は懐に入る作戦のため、彼女が飲み干す頃を見計らって薬を出した。
「こちらで間違いなかったでしょうか?」
「ええ。確かにいつもの薬だわ。それじゃあサナ、お支払いを」
サナは女性からコインが入った袋を受け取ると
前回同様にカウンターへ入る通路のほうへチョコチョコと早歩きで私に近づいてきた。
そして私はこの時を目掛けて自分の足をサナが躓くようにそっと前に出した。
もちろん、来店前に準備したクッションに転ぶように絶妙なタイミングを狙って。
ベストなタイミングでサナは体勢を崩し、盛大にコインをぶちまけた。
ーーーージャラジャラジャラ!
第二段階クリア。
私はすかさず、サナにあゆみより、サナにしか聞こえない声で
「ごめんね。」と謝った。
そして予想通りの展開へと移行する。
さっきまで上品に紅茶を飲んでいた女性の顔は般若の面と変化し、
あの時の同じ怒号が鳴り響いた。
「おまえってやつはああああ!!!!
いつもいつもいつもいつもいつもいつも…!」
女性は沸々と怒りの言葉を唱えながら、紅茶を飲み干したティーカップを勢いよくソーサーの上に叩きつけた。
第三段階クリア。
となるはずだった。がここで一つ誤算が生じたのだった。
私が想定していたのはここで女性がティーカップを投げるかするなりして割って
少しでも怒りを発散させてから、次のステップに進むはずだったのだが、
カップではなくソーサーが割れ、あろうことか怒り狂った般若は
割れたソーサーを片手にこっちに近づいてくるではないか。
私は内心恐怖で心臓バクバクだったが、ここまで来たら逆に好都合だと
下唇を軽く噛みながらも覚悟をきめた。
勢いよく振りかざされた手には割れたソーサー。
そのソーサーが立ち上がろうとしたサナに向かって振り下ろされる瞬間
私はその間に飛び込んだ。
「っつあ‥‥」
鋭い痛みが額に走った。
私の頭からは鼻先に向かってポタポタと赤い雫が流れ落ちるのがわかった。
「なっ…あなた何を!?」
女性は我に返ったように自分の行いが想定していた結果と違うことに
驚きを隠せない様子だった。
そう、これでいい。
これが私の中で導き出した第三の痛み。
自分を痛めつける痛みとまったくの他人を傷つける痛みが同じであって堪るかと
私は歯を食いしばった。
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