てんあま(転生したけど無双できるほど現実甘くないよね)

CELL

文字の大きさ
24 / 26
第二章︰エルフの里

第23話

しおりを挟む
俺たちは会議場を後にし、村長代理であるソニンの父親の家にきた。

全裸で泣いている神だったやつも一緒だ。
ちょっと股間が見えていて可哀想なので隠しておいてやろう。

「やめろ!余に慈悲を与えるな!ヒューマンごときが!」

慈悲じゃねぇよ。見えてんだよ。

俺が神の布をまき直している間に、一同はテーブル席に着く。

開口一番、ソニューさんが話し出す。

「で、この神を庇った理由はなんですか?私はこんなことをする為に来たわけでは。」

「えぇ、すみませんソニュー様、私たちもこれは不本意でして・・・」

話を聞くとこうだ。

数百年は隠居していたはずの守り神である弓の神が突然姿を現した。

これは大変だと里の上位層は総出で接待を行い、娘を神に捧げた親達は神に問いかけた。

神は答える。幸せそうだと、しかしそれを本気にする親ばかりではない。

ここぞとばかりに問い詰める親たちに堪忍袋の緒が切れた神は怒り、矢を射て周り一帯を吹き飛ばした。

そして命令した。余の跡取りに相応しい子供を作るため、強い雌を提供せよと。

思い当たるエルフの女といえば里の者全員、ソニューさんを思いつく。

しかし、ソニューさんは一国の王女、エルフといえど里のもめ事に対して交渉出来る余地は殆どない。

そのため、まずは神がソニューさんと会いたいという旨の親書をアグワートに出したが返事はなかった。

おそらく、神が会うとか、それも王女と会わせろとか突拍子もなくて検閲で通らなかったのだろう。

返事がないことに腹を立てた神は横暴になり、暇潰しとばかりにエルフに催し物を強要。

最初のうちは演奏などをしていたが、段々とエスカレートしていった。

エルフの身内での力比べから始まり、遂には剣闘士のような命を掛けた戦いまでするようになる。

さすがに抵抗したが、反抗した村長や戦士階級のエルフは謎の光で捉えられ、地下牢送りに。

神に命じられた余興のはずが、不満が募り、身内同士のいざこざに発展。

争いが段々とエスカレートし、もはや紛争状態にまで発展した・・・と。

そこで、これはもう待ってられないということで、神の嫁候補とかそういう情報は抜きにし、

紛争を止めてほしいと、周辺国家であるアグワートに対して伝令を遣わせた・・・。

「それが私だったんですね・・・」

「そうだ。」

ソニンは肩を落とし、複雑な表情だ。何せ理由もわからない紛争であり、
ましてその真相が嫁探しとは・・・

「では、次に貴方が庇った理由を教えてもらえますか?」

「はい、ここの地下牢には村長や他のエルフも捉えられております。」
「その地下牢には私たちではどうやっても入れないのです。」

「どうやっても?」

「地下への階段を下りた先で何故かまた入口に戻ってしまうのです。」

ソニューさんは視線を弓の神だった・・・はみチンマンに向ける。

「っ・・・!余が魔法をかけたからな。二等級の魔法など中々見られまい。」

「腐っても神ですね。それで、その者たちは人質にされていると?」

「はい、時間を停止させているそうで食事などは不要とのことですが・・・」

ソニューさんは立ち上がり、ツカツカと歩き、はみチンマンの首を掴む。

「解放しなさい。」

「やだ!小生やだ!」

「うるさい!痛い目をみたいのですか!」

「余は神だぞ!お前が強いことはよくわかった!だが余は神だ!命じられることは絶対ない!」

「往生際が悪い・・・」

と言ってる間にソニューさんの左拳が黒い闇で覆われている。

「貴方とは相性が悪いので一撃性はありませんが、呪いです。食らってみますか?」

「やだー!やだやだやだ!」

タカハラとソニンを見ると、神をすっげぇ目をして見ている。
これはアリを見る目だね。タカハラに至っては言葉がわからないはずなのに、
はみチンでやだやだ!とか言っている神を見りゃそうなるか。

「早く!」(バキッ)

「解放!」(ズゴッ)

「早く!解放!はっやっく!か・い・ほ・う!」(ブグシッ)

殴りながらリズムとって騒音おばさんみたいな感じになっとるな。

「イダイ・・・ヤメテ・・・カイホウシマス・・・」

殴られた場所に黒い霧がかかり、追加ダメージを与えているっぽい。

「分かればいいんだよ。はみチン野郎。」

ソニューさんキャラ崩壊はえーっすよ。まだ二章っすよ。

「地下牢の場所まで案内してもらえますか?」

ソニューさんは神の首から手を放し、村長代理に声をかける。

「え!ああ!すみません!今すぐ!」

ぼーっと見ていた現実離れの光景。そりゃそうだ。
今まで恐れて手も足も出なかった相手が、こうも一方的にやられていると放心してしまうのだろう。
虐げていたものが、圧倒的強者にやられるのを見るのは虐げられた者からしたら複雑なんだろうなぁ。


――――――――――――――――村長代理の家から徒歩10分ほど、

「ここです。」

「見た目はただの家だけど?」

「チッ!口出すなよヒューマンが!」

ちょっと風当り強くないすか?僕確かに初めて会話しましたけども。

「そんなのはほっといて早く行きますよ。」

そんなのとか言われる俺。主人公なんですけども。

「えぇ、ではこちらへ。」

家の中に入ると、村長代理は床のカーペットを捲り、地下の扉に手をかける。

「ここからは一人ずつしか入れませんので・・・チラッ」

「え、俺?」

何故か視線が合う。

「行ってくれ。行けよ。」

「ちょっと、なんでそんな心霊スポットみたいなこというんだよ。」

「今はスチュワートさ・・・弓の神がこんな状態で魔法がどんな状態か分からんだろう。」

「そうだな。」

「だから、行け!はよ!」

「はよ!じゃねぇよ!」

「大丈夫ですよイレ―さん、何かあっても私が助け出しますから。」

ソニン!涙が出るぜ・・・

「よっしゃ!分かった!いいじゃねぇの!行ってやるよ!ホラホラホラホラ!」

「何にホラホラ行ってるんですか早く行ってください。」

ソニューさんにも怒られた。

「じゃあ、ちゃんとついてきてよ?ねぇ。」

俺は後ろを気にしながら暗闇の地下へと進むのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...