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26話 夏休みの登校
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幸せって何だろう。僕はあれから自宅に戻ってから、ずっと考えていた。考えても浮かばないことくらい、僕も理解している。それでも考えずにはいられなかった。
「葵ー。置いてくぞー。」
「待ってよ。翔太準備早いって。」
いや、葵が遅いだけだと思うけど。僕より早く起きてるのに、僕より支度が遅いのは、流石に言い訳出来ないんじゃないか?
なぜ、僕らが出かける準備をしているのか。それは二日前に遡る。
二日前の正午過ぎ。僕の携帯に電話が入った。それは、僕の通う校長からのものだった。
「もしもし。」
「もしもし。晴山くんかな?」
「はい、そうですが。」
「雨森君の転校の手続きが済んだから、二日後のこの時間に学校に来て欲しいんだが、予定は大丈夫かな?」
「予定は大丈夫なんですけど、何をするんですか?」
「制服の採寸をね。保健室でやってもらえるそうだから。」
「分かりました。じゃあ、葵にも伝えとくので。」
「うむ。よろしく頼むよ。それじゃあ。」
「失礼します。」
そうして、葵の制服の採寸をする運びとなった。そろそろ、葵の転校話が現実味を帯びてきて、少しだけ僕の心はウキウキしていた。学校でも、葵と話せると思うとやはり、楽しみで仕方がなかった。
葵に採寸の話を持ち出すと、即刻オッケーが出た。どうやら、この日を首を長くして待っていたらしい。それだけ、高校生活が楽しみだったのだろう。
葵のことだから、すぐにでも友達ができて、充実した学校生活を送ることだろう。それが目に見えて分かった。
そして現在集合時刻ギリギリで、校長室に到着した。
「よく来たね、雨森君。君のお父さんからは話を聞いているよ。さっ、そこのソファに座りなさい。」
校長先生は僕らに、そう促すと幾枚かの紙を取り出した。
「雨森君、これにサインしてくれるかな。一応これは晴山君もサインしているものだから、疑わなくても大丈夫だ。」
そう言われてもな。書類関係は全て親が済ませてくれたから、僕には見覚えが無いんだよね。まあでも、本当に同じものなら、全校生徒と同じ学校生活が送れるわけだ。
「書いても大丈夫だと思うよ。」
「うん。」
葵は慣れた手つきで次々とサインしていく。若女将時代の処理能力で、即座に書き終えてしまった。
「それじゃあ、保健室に移動しようか。」
校長先生は、書類を封筒に入れ、金庫に保管すると僕らを保健室まで誘導してくれた。
「私は先に校長室に戻るね。晴山君はここで座って待っていてくれ。興味本位で覗いたりするなよ。」
「しませんよ、そんな事!!」
「はっはっは! それではまた会おう。」
校長先生は軽快に笑うと、そのまま校長室に戻っていった。
「じゃあね。そこで待っててよ。」
「もちろん。先に帰らないから、安心して。」
僕がそういうと葵は少し笑って、保健室に入っていった。
暇だな……単語帳でも開いて待ってるか。僕は壁を背もたれにしながら、単語帳を開いた。そして、知らぬ間に寝落ちしてしまった。
「……」
「……太」
「……翔太」
「……うわぁ!!」
僕は驚きと共に目を覚ました。
「終わったよ。帰ろ。」
「あっ、ああ。か、、帰ろう。」
スマホの時計を見ると、ちょうどオヤツ時だった。小腹が空いたようで、コンビニで適当にお菓子を漁って、買って帰った。
「そういえば、ラインの交換でしてたっけ?」
「してないわ……よかった思い出して。」
「今すぐしよ!」
葵は目を輝かせながら言った。そういえば、僕は渚ともライン交換していたから、これで地元の友達とも連絡が取り合えるようになったわけだ。
元々、ガラケーすら持っていなかった葵は、親と仲直りをしてから携帯の契約に行って、こうしてスマホを手にしているのだ。、
「な、なんと。ラインに初めて他人の連絡先が入った……ちょっと感動してる。」
このピュアさが、何ともかわいい。もう一生離したくなかった。
僕らはそのまま帰路に着いた。これで、葵も久方ぶりの学校生活が営めるという訳だ。僕はそれがとても嬉しかった。
「葵ー。置いてくぞー。」
「待ってよ。翔太準備早いって。」
いや、葵が遅いだけだと思うけど。僕より早く起きてるのに、僕より支度が遅いのは、流石に言い訳出来ないんじゃないか?
なぜ、僕らが出かける準備をしているのか。それは二日前に遡る。
二日前の正午過ぎ。僕の携帯に電話が入った。それは、僕の通う校長からのものだった。
「もしもし。」
「もしもし。晴山くんかな?」
「はい、そうですが。」
「雨森君の転校の手続きが済んだから、二日後のこの時間に学校に来て欲しいんだが、予定は大丈夫かな?」
「予定は大丈夫なんですけど、何をするんですか?」
「制服の採寸をね。保健室でやってもらえるそうだから。」
「分かりました。じゃあ、葵にも伝えとくので。」
「うむ。よろしく頼むよ。それじゃあ。」
「失礼します。」
そうして、葵の制服の採寸をする運びとなった。そろそろ、葵の転校話が現実味を帯びてきて、少しだけ僕の心はウキウキしていた。学校でも、葵と話せると思うとやはり、楽しみで仕方がなかった。
葵に採寸の話を持ち出すと、即刻オッケーが出た。どうやら、この日を首を長くして待っていたらしい。それだけ、高校生活が楽しみだったのだろう。
葵のことだから、すぐにでも友達ができて、充実した学校生活を送ることだろう。それが目に見えて分かった。
そして現在集合時刻ギリギリで、校長室に到着した。
「よく来たね、雨森君。君のお父さんからは話を聞いているよ。さっ、そこのソファに座りなさい。」
校長先生は僕らに、そう促すと幾枚かの紙を取り出した。
「雨森君、これにサインしてくれるかな。一応これは晴山君もサインしているものだから、疑わなくても大丈夫だ。」
そう言われてもな。書類関係は全て親が済ませてくれたから、僕には見覚えが無いんだよね。まあでも、本当に同じものなら、全校生徒と同じ学校生活が送れるわけだ。
「書いても大丈夫だと思うよ。」
「うん。」
葵は慣れた手つきで次々とサインしていく。若女将時代の処理能力で、即座に書き終えてしまった。
「それじゃあ、保健室に移動しようか。」
校長先生は、書類を封筒に入れ、金庫に保管すると僕らを保健室まで誘導してくれた。
「私は先に校長室に戻るね。晴山君はここで座って待っていてくれ。興味本位で覗いたりするなよ。」
「しませんよ、そんな事!!」
「はっはっは! それではまた会おう。」
校長先生は軽快に笑うと、そのまま校長室に戻っていった。
「じゃあね。そこで待っててよ。」
「もちろん。先に帰らないから、安心して。」
僕がそういうと葵は少し笑って、保健室に入っていった。
暇だな……単語帳でも開いて待ってるか。僕は壁を背もたれにしながら、単語帳を開いた。そして、知らぬ間に寝落ちしてしまった。
「……」
「……太」
「……翔太」
「……うわぁ!!」
僕は驚きと共に目を覚ました。
「終わったよ。帰ろ。」
「あっ、ああ。か、、帰ろう。」
スマホの時計を見ると、ちょうどオヤツ時だった。小腹が空いたようで、コンビニで適当にお菓子を漁って、買って帰った。
「そういえば、ラインの交換でしてたっけ?」
「してないわ……よかった思い出して。」
「今すぐしよ!」
葵は目を輝かせながら言った。そういえば、僕は渚ともライン交換していたから、これで地元の友達とも連絡が取り合えるようになったわけだ。
元々、ガラケーすら持っていなかった葵は、親と仲直りをしてから携帯の契約に行って、こうしてスマホを手にしているのだ。、
「な、なんと。ラインに初めて他人の連絡先が入った……ちょっと感動してる。」
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