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第一章
*絡まなかった翌日
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朝起きると夜には抱きかかえて寝ていたはずのキオの姿がなかった。思わず飛び起きて扉を開けたら、昨日の夜のもしたシチューのにおいがしてきて安心した。
昨日子宝封印の話をしたのもあったし、昨日はキオと絡んでない。そのことが何というか俺の中でだいぶ着てる部分があったのか。キッチンを覗くといまだ狼種の姿で鍋を回すキオがちゃんといてくれた。
「あ、ガロ、おはよう。」
「あぁ、体の調子はどうだ?」
「え?あぁ、そういえばずっと狼種の姿で絡んでたから人間に戻っちゃうかもって話だよね。とりあえず戻りそうな感じはないかな。むしろ朝はガロより早く起きれて寝顔も見れたし。」
「ふ、そうか。だけど今日の夜は、寝かせない勢いになるかもしれない。封印の効力しだいだけどな。」
「あ、うん。そうだね。」
あからさまに少し声のトーンが落ちるが、こればかりはやってみないと分からない。とはいえ俺はこうして抱いている気持ちが変わるとはもう思っていないけどな。
「それより今日の朝は昨日のビーフシチューの残りなのか?」
「そうだね、同じじゃつまらなかった?」
「いや、昨日もうまかったし大丈夫だ。昼は違うのなんだろ?」
「うん。まぁいつものサンドイッチになっちゃうけど。」
「十分だ。」
今の仕事をそれほどくなくできてるのもキオの作るサンドイッチがあるからだ。やっぱうまい飯はいいものだ。たぶん俺はもう屋台の兎串じゃ物足りないくらいどっぷりつかっちまってるな。
「了解。そっちはもう焼きあがってるから瓶箱に詰めておいて。」
「おう。キオの分も詰めておくぞ?」
「ありがとう、お願いするね。シチューもすぐできるよ。」
2つの皿にそれぞれサンドイッチが乗ってるが2つ分がキオの分で、俺の分は8、昼めしだけで4倍差食う量にも差があるが、ギルドに初めて行くときはキオは一つだったからな。もっと体を動かし、魔素を使っていけばすこしずつだが食う量も増えるだろ。
「よし、俺の分はマジックポーチに入れちまうぞ。というか昼より前にはキオは家に戻ることになると思うぞ?昨日飯中に行っただろ。」
「あ、そうだ、わすれてた。いつもの癖で作っちゃったよ。もう瓶箱に詰めちゃった?」
「いや、とりあえずそのままだ。家においてくか?」
「んー、ガロがもう2つ分行けるなら一緒もってっちゃっていいよ。別にお昼作ってもいいんでしょ?」
「お、そうか?じゃあもっていかせてもらうぜ。」
8つ分でも満足はするが10あれば夜までもつ。本当は8つが一番夕飯時に腹を空かせておけるんだよな。夕飯は結構キオが凝って作ってくれるからたくさん食いたくなっちまう。
「了解、シチューもできたよ。どうぞ。」
「おう、いい匂いだ。早速一緒に食おうぜ?」
「うん。」
すぐに深めの器いっぱいのシチューと焼き立ての柔らかなパンを机にともっていく。昨日も同じのを食べたが、うまかったから楽しみだ。一日寝かせるとほんとはいいとか言ってたもんな。味が変わるんだろうか?
「それじゃあいただきます。」
「あぁ、いただきますだな。」
とりあえずシチューを一口すくってみると、確かに昨日よりも少しシチュー全体に肉の味が広がってるのがわかる。飯は作ってすぐがいいと思っていたが、こういう味の出し方もあるんだな。
「お、昨日よりやっぱおいしくなってる。いくら出来上がりが速くなっててもこういうところは変わらないんだ。」
「あぁ、昨日よりも今日の味のほうがさらにうまいな。昨日のもうまかったからあれ以上になるとは思ってなかったんだけどな。」
「そうだね、これなら時間かけるとさらにおいしくなるものは前の日に作っておくってのもいいかもしれないね。」
お、さっきの暗い表情はなくなって今度は料理のことを考え始めたようだな。でもこれって俺にもっとうまい料理をって考えてくれてるってことなんだよな。あぁ少し尻尾が揺れちまう。
「今日は時間があるだろうからな。家のあるものでよければ使ってくれ。」
「うん、ありがたく使わせてもらうよ。」
「あぁ、それと今日に試験、がんばれよ?俺も今日中にSランクに上がる認定をしてもらえるよう仕事するからな。」
「え?もうあがれるの?まぁ僕と一緒に上がるなら僕は嬉しいけどね。」
そういわれたら余計に頑張らざるを得ないじゃないか。昨日もだいぶじじいにむちゃぶりされたが、今日もまたひどいだろうからいっそ気を緩めないようにしなくちゃな。
そうこう話しているうちにどんどん食い進めて俺はキオより先に食い終わる。俺が食い終わると少し慌てるように残りも食い始めるが、今日はまだギルドに行くのにも時間がありそうだ。
「急がなくても今日は大丈夫だろ。いつもよりも寝るのも早ければ起きるのも早かったからな。」
「あ、そうだね、昨日はしてなかったもんね。外もうっすら明るいくらいだし、これなら急がなくても平気、かな?でも早くいっておいてもいいよね。」
「まぁそうだな。試験前に最後の調整をしておくのもいいだろ。俺も早めに行って早めに仕事始めてもいいしな。」
「うん、じゃあ残りもさっさと食べちゃうよ。」
ちょっとなれないように狼種のマズル口を大きく開けて食べるキオをみて、なんというか少し下が反応しちまったのは、昨日もしてなかったってのもあるし、しょうがないこと、だよな?
昨日子宝封印の話をしたのもあったし、昨日はキオと絡んでない。そのことが何というか俺の中でだいぶ着てる部分があったのか。キッチンを覗くといまだ狼種の姿で鍋を回すキオがちゃんといてくれた。
「あ、ガロ、おはよう。」
「あぁ、体の調子はどうだ?」
「え?あぁ、そういえばずっと狼種の姿で絡んでたから人間に戻っちゃうかもって話だよね。とりあえず戻りそうな感じはないかな。むしろ朝はガロより早く起きれて寝顔も見れたし。」
「ふ、そうか。だけど今日の夜は、寝かせない勢いになるかもしれない。封印の効力しだいだけどな。」
「あ、うん。そうだね。」
あからさまに少し声のトーンが落ちるが、こればかりはやってみないと分からない。とはいえ俺はこうして抱いている気持ちが変わるとはもう思っていないけどな。
「それより今日の朝は昨日のビーフシチューの残りなのか?」
「そうだね、同じじゃつまらなかった?」
「いや、昨日もうまかったし大丈夫だ。昼は違うのなんだろ?」
「うん。まぁいつものサンドイッチになっちゃうけど。」
「十分だ。」
今の仕事をそれほどくなくできてるのもキオの作るサンドイッチがあるからだ。やっぱうまい飯はいいものだ。たぶん俺はもう屋台の兎串じゃ物足りないくらいどっぷりつかっちまってるな。
「了解。そっちはもう焼きあがってるから瓶箱に詰めておいて。」
「おう。キオの分も詰めておくぞ?」
「ありがとう、お願いするね。シチューもすぐできるよ。」
2つの皿にそれぞれサンドイッチが乗ってるが2つ分がキオの分で、俺の分は8、昼めしだけで4倍差食う量にも差があるが、ギルドに初めて行くときはキオは一つだったからな。もっと体を動かし、魔素を使っていけばすこしずつだが食う量も増えるだろ。
「よし、俺の分はマジックポーチに入れちまうぞ。というか昼より前にはキオは家に戻ることになると思うぞ?昨日飯中に行っただろ。」
「あ、そうだ、わすれてた。いつもの癖で作っちゃったよ。もう瓶箱に詰めちゃった?」
「いや、とりあえずそのままだ。家においてくか?」
「んー、ガロがもう2つ分行けるなら一緒もってっちゃっていいよ。別にお昼作ってもいいんでしょ?」
「お、そうか?じゃあもっていかせてもらうぜ。」
8つ分でも満足はするが10あれば夜までもつ。本当は8つが一番夕飯時に腹を空かせておけるんだよな。夕飯は結構キオが凝って作ってくれるからたくさん食いたくなっちまう。
「了解、シチューもできたよ。どうぞ。」
「おう、いい匂いだ。早速一緒に食おうぜ?」
「うん。」
すぐに深めの器いっぱいのシチューと焼き立ての柔らかなパンを机にともっていく。昨日も同じのを食べたが、うまかったから楽しみだ。一日寝かせるとほんとはいいとか言ってたもんな。味が変わるんだろうか?
「それじゃあいただきます。」
「あぁ、いただきますだな。」
とりあえずシチューを一口すくってみると、確かに昨日よりも少しシチュー全体に肉の味が広がってるのがわかる。飯は作ってすぐがいいと思っていたが、こういう味の出し方もあるんだな。
「お、昨日よりやっぱおいしくなってる。いくら出来上がりが速くなっててもこういうところは変わらないんだ。」
「あぁ、昨日よりも今日の味のほうがさらにうまいな。昨日のもうまかったからあれ以上になるとは思ってなかったんだけどな。」
「そうだね、これなら時間かけるとさらにおいしくなるものは前の日に作っておくってのもいいかもしれないね。」
お、さっきの暗い表情はなくなって今度は料理のことを考え始めたようだな。でもこれって俺にもっとうまい料理をって考えてくれてるってことなんだよな。あぁ少し尻尾が揺れちまう。
「今日は時間があるだろうからな。家のあるものでよければ使ってくれ。」
「うん、ありがたく使わせてもらうよ。」
「あぁ、それと今日に試験、がんばれよ?俺も今日中にSランクに上がる認定をしてもらえるよう仕事するからな。」
「え?もうあがれるの?まぁ僕と一緒に上がるなら僕は嬉しいけどね。」
そういわれたら余計に頑張らざるを得ないじゃないか。昨日もだいぶじじいにむちゃぶりされたが、今日もまたひどいだろうからいっそ気を緩めないようにしなくちゃな。
そうこう話しているうちにどんどん食い進めて俺はキオより先に食い終わる。俺が食い終わると少し慌てるように残りも食い始めるが、今日はまだギルドに行くのにも時間がありそうだ。
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「まぁそうだな。試験前に最後の調整をしておくのもいいだろ。俺も早めに行って早めに仕事始めてもいいしな。」
「うん、じゃあ残りもさっさと食べちゃうよ。」
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