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第一章
ガロからの話
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「それで、話があるんでしょ?」
「っ!?なんでわかった?」
「いつものガロらしくないからわかるよ。帰りもずっと黙ってたし。」
ガロは尻尾の感情隠すのは上手でも表情ですぐにわかっちゃう。でもこれも僕だからなのかな?まぁ今回は表情だけで分かったわけじゃない。
訓練所で帰ると声をかけてきたときもそっけなかった。帰るぞの一言だけで今日の夕飯はとか腹減ったとか絶対にするはずのご飯の話題すらなかったもん。
「キオと会うまではこうではなかったんだがな、どうもお前のこととなると顔に出ちまう。ギルドでじじいに頼んで感情を隠す練習したってのにな。」
「え、そうなの?初耳。」
「そりゃ初めて話したからな。」
あぁそうか、確かに僕はガロとこうなって日は浅いんだ。やるところまでやっちゃったっていうのに、ガロのこともほとんど知らないし、ガロも僕のことを漠然としかわかってないだろう。
「もしかして、お互いの話をしようって話かな?」
「ん?いや、違うが、まぁそれも必要かもな。だがそれはまたいずれだ。今は違う。キオ、俺はお前との恋は本気のつもりだ。キオも、なんだろ?」
「え、う、うん。僕もガロにだから心動かされたと思ってるよ?」
「そうか、今はそうなんだな。これからも、そうであっていいと思うか?」
「・・・よく意味が分からないけど、僕は他の人に意識が行くってこと?でも今一番交流あるビャクラクさんにもそういう気持ちは芽生えないけど。」
「そうか。それならよかった。」
何かを不安がるようなガロにとりあえず僕の現状を話すと、本当にうれしそうに胸をなでおろした。いったい何をビャクラクさんと話したんだろうか。
「えっと、どういう話したの?なんかまるで僕が誰とでもくっつく可能性があるみたいな話なの?」
「・・・そうだな、単刀直入に言うとそういう可能性があるかもしれないという話をじじいにされた。」
「ビャクラクさんが!?なんで!?」
そんなことを唐突に出だす人には思えないし、今日の朝の訓練だって普通に見えた。何かしらの原因があったはずだけど僕にはさっぱりだ。
「じじいは特に相手にとって不利益となったり自分にとって不利になるような感情を表に出すような真似は絶対にしないだろうからな。気づかなかったんだろ。どうやらお前を愛おしいと感じ始めちまってるようだぞ。」
「え、そんな雰囲気は一切感じなかったけど、それって不利益なことなの?自分の子供のように接してくれてるってだけなんじゃ?」
「キオに表情を見せず俺に申し訳ないように話したっていうことだ。愛おしいってのは俺の感情に似たもんってことだろ。」
それをきいてさすがに唖然としてしまった。ガロのことをよく知ってるみたいでもしかしたら子供のころからいるかもって人だから相当の年齢のはずだ。
そんな人が僕に恋心を抱くようになったって話?ちょっと話してちょっと魔法のことを見てもらったくらいなんだけど?
「どうしてって聞いたらやっぱり人間であるのが関係してるかもしれないの?」
「・・・そうだ。」
ちょっと言葉に詰まり気味だったけど、確かに肯定された。まさかそこにまでチートなところが発揮されたってこと?それってもしかして僕に対してガロが抱いているのも、その力のおかげってこと?
「そんな、僕は、ガロを強要するつもりは・・・」
「落ち着けキオ。わかってる。俺がキオを愛しているのはニンゲンだからなんかじゃない。キオだからだ。俺のために飯を作ってくれてるしな。」
「そう、なの?うん、そうだよね、うん。」
どうにも自分にそう言い聞かせるしかないという感じでいっぱいいっぱいで、狼種になった自分の手を見る。今は姿も人間じゃないけど、やっぱり本質は人間であることには変わりないんだ。
「それにじじいの話は仮説だ。つまりただ単にじじいだけが愛おしくなっちまっただけかもしれねぇが、それにしては期間が短い。じじいはそういうことで冗談を言うようなやつでもないし、じじいの仮説はよく当たる。」
「それ、ほとんど僕が誰でも誘惑しちゃうだろうって言ってるようなもんじゃん。」
そういったことに対してガロはうなずいた。だけど対宅があるようで、しっかりとした目で見つめられた。
「そこでだ、ちょっと一日つらいことになるが、明日の試験後に子宝封印をするかどうか、じじいから打診されたんだ。」
「しほう、ふういん?なにそれ?」
「一年間だがキオの体に子を作れないように封印を施す。これで俺とどんなふうに絡んでも問題なくなる。」
「え、それってなんかさっきの話と関係あるの?」
「ある。子を作れないということは要するに発情のにおいも出なくなる。そしておそらくはキオに魅入られる原因は発情のにおいによるものじゃないかってことだ。」
「え?僕発情期なの?」
そもそも発情期っていうのがガロのを見てたせいで、あんな感じじゃないから僕は違うと思ってたけど発情期の可能性があるのかな?
「どうだろうな、それはわからない。なんというかキオにそういう感じは見受けられないんだが、こればかりは個人差があるからな。だが、2000年前に快楽誘惑をしていた魔人がいてな。大きな見解ではその魔人が誘惑に使用していたのは自分の発情臭だったらしい。」
「2000年前?魔人?それってまさか・・・」
3000年前に人間がいたっって話を聞いていたからなんとなく察せてしまった。だってあまりにも都合がよすぎる年月だ。
「じじいの見解ではおそらくという話だ。昔すぎて調べられないがな。」
「そう、1000年前は?」
「そこにも人間の痕跡らしいのがあった。魔道武具開発部門というのがあったんだが、ずっとこれといった業績を残していなかったのに約1000年前に魔道兵器ラミリスというこの大陸半分を炎の海にできるほどのものを生み出した。」
「な、なにそれ、あ、でもこの大陸って言われても大きさがわからないけど。」
そういえば地図も見たことないからこの世界がいや、この国すらもどのくらいの広さなのか知らないか。というかここが大陸ってことも今知ったよ。
「まぁそうだろうな。まぁ、それで、子宝封印をするなら一年間は子供をなすことはできなくなる。それと今日はキオとできなくなる。」
「えっ、そ、そうなの?」
それは確かに由々しき問題かもしれない。明日の試験中に人間の姿に戻っちゃったりしないかな?
「姿の維持に感じてはかなりわからないところだが、試験は朝すぐに行って合格ならそのあとすぐに封印を施す。そのあとは悪いが自宅待機になる。大丈夫か?」
「うん、まぁ必要っていうならやるよ。というかずっと避妊薬飲むのつらいし、そのほうが楽かも?子供がほしいとかは今はないし。」
「そうか、それを聞いて安心した。俺も子供がほしいわけじゃないからな。さて、腹が減っちまったな。」
「あ、うん。すぐつくるね!」
にやっと笑っておなかがすいたと要求されたら僕はすぐにキッチンにと入る。きっと子宝封印とかいうのをしても、この関係が崩れることはないんじゃないかなと思う。
どちらにしろ誰これ構わず誘惑するかもしれないなんてまっぴらだ。でも封印ってどんなことするんだろ?まぁ明日になればわかるか。
「っ!?なんでわかった?」
「いつものガロらしくないからわかるよ。帰りもずっと黙ってたし。」
ガロは尻尾の感情隠すのは上手でも表情ですぐにわかっちゃう。でもこれも僕だからなのかな?まぁ今回は表情だけで分かったわけじゃない。
訓練所で帰ると声をかけてきたときもそっけなかった。帰るぞの一言だけで今日の夕飯はとか腹減ったとか絶対にするはずのご飯の話題すらなかったもん。
「キオと会うまではこうではなかったんだがな、どうもお前のこととなると顔に出ちまう。ギルドでじじいに頼んで感情を隠す練習したってのにな。」
「え、そうなの?初耳。」
「そりゃ初めて話したからな。」
あぁそうか、確かに僕はガロとこうなって日は浅いんだ。やるところまでやっちゃったっていうのに、ガロのこともほとんど知らないし、ガロも僕のことを漠然としかわかってないだろう。
「もしかして、お互いの話をしようって話かな?」
「ん?いや、違うが、まぁそれも必要かもな。だがそれはまたいずれだ。今は違う。キオ、俺はお前との恋は本気のつもりだ。キオも、なんだろ?」
「え、う、うん。僕もガロにだから心動かされたと思ってるよ?」
「そうか、今はそうなんだな。これからも、そうであっていいと思うか?」
「・・・よく意味が分からないけど、僕は他の人に意識が行くってこと?でも今一番交流あるビャクラクさんにもそういう気持ちは芽生えないけど。」
「そうか。それならよかった。」
何かを不安がるようなガロにとりあえず僕の現状を話すと、本当にうれしそうに胸をなでおろした。いったい何をビャクラクさんと話したんだろうか。
「えっと、どういう話したの?なんかまるで僕が誰とでもくっつく可能性があるみたいな話なの?」
「・・・そうだな、単刀直入に言うとそういう可能性があるかもしれないという話をじじいにされた。」
「ビャクラクさんが!?なんで!?」
そんなことを唐突に出だす人には思えないし、今日の朝の訓練だって普通に見えた。何かしらの原因があったはずだけど僕にはさっぱりだ。
「じじいは特に相手にとって不利益となったり自分にとって不利になるような感情を表に出すような真似は絶対にしないだろうからな。気づかなかったんだろ。どうやらお前を愛おしいと感じ始めちまってるようだぞ。」
「え、そんな雰囲気は一切感じなかったけど、それって不利益なことなの?自分の子供のように接してくれてるってだけなんじゃ?」
「キオに表情を見せず俺に申し訳ないように話したっていうことだ。愛おしいってのは俺の感情に似たもんってことだろ。」
それをきいてさすがに唖然としてしまった。ガロのことをよく知ってるみたいでもしかしたら子供のころからいるかもって人だから相当の年齢のはずだ。
そんな人が僕に恋心を抱くようになったって話?ちょっと話してちょっと魔法のことを見てもらったくらいなんだけど?
「どうしてって聞いたらやっぱり人間であるのが関係してるかもしれないの?」
「・・・そうだ。」
ちょっと言葉に詰まり気味だったけど、確かに肯定された。まさかそこにまでチートなところが発揮されたってこと?それってもしかして僕に対してガロが抱いているのも、その力のおかげってこと?
「そんな、僕は、ガロを強要するつもりは・・・」
「落ち着けキオ。わかってる。俺がキオを愛しているのはニンゲンだからなんかじゃない。キオだからだ。俺のために飯を作ってくれてるしな。」
「そう、なの?うん、そうだよね、うん。」
どうにも自分にそう言い聞かせるしかないという感じでいっぱいいっぱいで、狼種になった自分の手を見る。今は姿も人間じゃないけど、やっぱり本質は人間であることには変わりないんだ。
「それにじじいの話は仮説だ。つまりただ単にじじいだけが愛おしくなっちまっただけかもしれねぇが、それにしては期間が短い。じじいはそういうことで冗談を言うようなやつでもないし、じじいの仮説はよく当たる。」
「それ、ほとんど僕が誰でも誘惑しちゃうだろうって言ってるようなもんじゃん。」
そういったことに対してガロはうなずいた。だけど対宅があるようで、しっかりとした目で見つめられた。
「そこでだ、ちょっと一日つらいことになるが、明日の試験後に子宝封印をするかどうか、じじいから打診されたんだ。」
「しほう、ふういん?なにそれ?」
「一年間だがキオの体に子を作れないように封印を施す。これで俺とどんなふうに絡んでも問題なくなる。」
「え、それってなんかさっきの話と関係あるの?」
「ある。子を作れないということは要するに発情のにおいも出なくなる。そしておそらくはキオに魅入られる原因は発情のにおいによるものじゃないかってことだ。」
「え?僕発情期なの?」
そもそも発情期っていうのがガロのを見てたせいで、あんな感じじゃないから僕は違うと思ってたけど発情期の可能性があるのかな?
「どうだろうな、それはわからない。なんというかキオにそういう感じは見受けられないんだが、こればかりは個人差があるからな。だが、2000年前に快楽誘惑をしていた魔人がいてな。大きな見解ではその魔人が誘惑に使用していたのは自分の発情臭だったらしい。」
「2000年前?魔人?それってまさか・・・」
3000年前に人間がいたっって話を聞いていたからなんとなく察せてしまった。だってあまりにも都合がよすぎる年月だ。
「じじいの見解ではおそらくという話だ。昔すぎて調べられないがな。」
「そう、1000年前は?」
「そこにも人間の痕跡らしいのがあった。魔道武具開発部門というのがあったんだが、ずっとこれといった業績を残していなかったのに約1000年前に魔道兵器ラミリスというこの大陸半分を炎の海にできるほどのものを生み出した。」
「な、なにそれ、あ、でもこの大陸って言われても大きさがわからないけど。」
そういえば地図も見たことないからこの世界がいや、この国すらもどのくらいの広さなのか知らないか。というかここが大陸ってことも今知ったよ。
「まぁそうだろうな。まぁ、それで、子宝封印をするなら一年間は子供をなすことはできなくなる。それと今日はキオとできなくなる。」
「えっ、そ、そうなの?」
それは確かに由々しき問題かもしれない。明日の試験中に人間の姿に戻っちゃったりしないかな?
「姿の維持に感じてはかなりわからないところだが、試験は朝すぐに行って合格ならそのあとすぐに封印を施す。そのあとは悪いが自宅待機になる。大丈夫か?」
「うん、まぁ必要っていうならやるよ。というかずっと避妊薬飲むのつらいし、そのほうが楽かも?子供がほしいとかは今はないし。」
「そうか、それを聞いて安心した。俺も子供がほしいわけじゃないからな。さて、腹が減っちまったな。」
「あ、うん。すぐつくるね!」
にやっと笑っておなかがすいたと要求されたら僕はすぐにキッチンにと入る。きっと子宝封印とかいうのをしても、この関係が崩れることはないんじゃないかなと思う。
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