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第一章
初の外
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それから2日間スクワットに追加で訓練所での走り込み、そして昼食をはさんで買ってもらった剣の素振りの後は魔素纏いの訓練をしつつ図鑑の読書というちょっと過酷な特訓をさせられた。
特に魔素纏いしながらの読書は同時に二つのことをしなきゃいけなくてつらい。でもガロが言うにはそもそも戦闘中に魔素纏いをするんだから読書くらいでぶれるなとのこと。まぁごもっともですので、がんばったけどね。
図鑑もとりあえず南側の2つは完全に読み終えた。覚えているのは一部だけど、言われた通り読み返しもして大事なこいつらだけ覚えろって言われたのは覚えてる。ただ結局中央のは読み始めてすらいないんだよね。先に優先してこっちを覚えるようにって言われたからだけど。
そして今日は初めての街の外にと向かってるわけだ。目的は角兎の討伐、詳しく言えばスモールホーンラビットの討伐だ。優先してたのはこの討伐のためだったわけだ。
一般的に角兎といえばそいつで、特徴は額から生えた小さな角と真っ白なその毛並みだったかな。周りの草木でちょっと緑に汚れてることもあるらしいけど、まぁさすがに見違えたりはしないだろう。
「キオ、そろそろ見えてくるぞ。あそこがこの町の出入り口だ。」
「あ、ほんとに町の周りに壁とかないんだね。」
「この町にはないな。それに一応見えると思うが、真っ白な棒が立ってるだろ?あれが教えた魔物除けの結界棒だ。大体の村町には入り口と四方にあの棒が立っている。」
確かにさっきっから存在感を示す大きな棒。多分元の世界の電柱くらいの高さはある。電柱に比べれば全然細いけど、あれが聞いてた結界棒か。
あれのおかげでよっぽどの魔物じゃない限りは町村には寄ってこないようだ。そしてそのよっぽどの魔物がいるような地域の町村はさすがに壁になってるらしい。
といってもそういう魔物は大体魔族にと至っているし、いなくとも賢いからわざわざ村町を襲うようなことはしないらしい。確か図鑑のその2の強力な魔物の説明にそう書いてあった。
そんなことを思い出しつつ、結界棒二つの間を抜けて町を出る。出た瞬間、見渡す限りの草原だ。まぁさっきっから見えてはいたけど。だけど町の近くとはいえ、結界棒の外に建物が所々に見えてる。
「ガロ、あの建物が飼育してるところなの?」
「そうだな、あそこで暴れ牛や飛来鶏が飼育されている。といってもほぼ放牧状態だがな。」
一応の管理してる小屋があるって感じなのか。外にあるのは万が一暴れ始めたら結界棒の中だと面倒ごとになるからだそうだ。もっとも暴れ牛も飛来鶏もある程度の冒険者が来れば一瞬で方が付くらしいけど。
「追加の説明をすれば、あそこで買われているのは配合、つまり靄から生まれた個体じゃなく生殖で生まれたやつらだな。そして小さいころは人の手で一応育てられることで暴れる可能性を減らしている。」
「なるほど、その辺は元の世界と似たようなところがあるのかも。」
よくは知らないけど、僕の世界だって昔は牛とか鶏だって暴れるやつも多かったのかもしれない。僕が過ごしてた時は不自由なく食肉できてたけど。
「まぁその辺は今はどうでもいいな。ほら見ろ、あそこ。」
「ん?あ、白いのがなんかうごめいてる。」
話しながらも歩いてたガロが足を止めて指さす先に、緑の草をかき分けてうごめく白い影が見える。図鑑の情報通りならあれが角兎のはずだ。
「よし、まずはとにかく仕留めるだけやってみろ。どう倒しても構わない、自由なやり方でやってみろ。」
「うぇ!?いきなり!?まぁやってみるよ。」
腰に差した剣を構えたけどいきなり剣でザクっとというのはちょっと。個々はやっぱり魔法で行こう。そう思って走って近づいたらこっちに気づいちゃったのか、向こうもすごい勢いで逃げてしまった。
思ってるよりも早くて追いつくことかなわず、脱力してると後ろからすごく大きなため息が聞こえてきた。
「キオ、お前な・・・」
「あ、そっか、追われると逃げるの早いって書いてあったね。追いつく自信がないならそっと近寄るようにだっけ。」
「そうだ、覚えてるじゃないか。もっとも俺なら、こうだけどな。」
ガロが僕の後ろで剣を抜いたかと思ったら、すっといなくなった。いや走って行ったんだ、僕が逃がしたウサギのほうに。あっという間に遠くのほうで手招きしてるし。
急いで向かうとそこにはガロのこの間買っていたあの剣に突き刺さった兎の姿が。うっ、ちょっときついかもこれ。
「ん、大丈夫か?」
「いや、その、ちょっとね。」
「やっぱりか。こういう血を見るのは初めてじゃないんだろ?」
「うん、といっても映像で見たことあっただけなんだけどね。平気かと思ってたんだけど、実際見ると結構きついね。」
「そうか、だがこればかりは慣れてもらわないと困る。俺と一緒に旅をするならな。」
「・・・うん、わかってる。」
これも注意されてたことだ。目をそらしちゃいけない。しっかりとみると、剣に刺さった兎の額から確かに小さい角が生えている。これが一応の防衛手段らしい。でもちょっとした傷にしかならない気もする。
「この角でほんとに身を守れるものなの?」
「ガブリと頭からいかれたら口の中に角が刺さるだろ?追いつめられると頭を向けて逆に突っ込んでくるから気をつけろ。」
「ガロはそんな風になる前に仕留めちゃったってことだね。」
兎の向きを見ればわかる。僕から追われて、そのまま逃げてた状態の向きだ。ガロに向かっていったような向きじゃない。ほんとにガロのパートナーになるなら僕も角兎くらいにはこのくらいできなきゃてことだよね。
「しっかり向き合えてるようだな、次はキオ、がんばれよ?」
「うん、やってみる。でも最初は魔法でもいい?」
「そうだな、まぁいいだろ。ほら、すぐあそこにいるぞ。」
ガロが指さす方にまた白い影が見える。というかガロはほんとすぐに見つけるな。僕もすぐに見つけられるようにならなきゃだよね。今はまず目の前の相手に集中するけど!
特に魔素纏いしながらの読書は同時に二つのことをしなきゃいけなくてつらい。でもガロが言うにはそもそも戦闘中に魔素纏いをするんだから読書くらいでぶれるなとのこと。まぁごもっともですので、がんばったけどね。
図鑑もとりあえず南側の2つは完全に読み終えた。覚えているのは一部だけど、言われた通り読み返しもして大事なこいつらだけ覚えろって言われたのは覚えてる。ただ結局中央のは読み始めてすらいないんだよね。先に優先してこっちを覚えるようにって言われたからだけど。
そして今日は初めての街の外にと向かってるわけだ。目的は角兎の討伐、詳しく言えばスモールホーンラビットの討伐だ。優先してたのはこの討伐のためだったわけだ。
一般的に角兎といえばそいつで、特徴は額から生えた小さな角と真っ白なその毛並みだったかな。周りの草木でちょっと緑に汚れてることもあるらしいけど、まぁさすがに見違えたりはしないだろう。
「キオ、そろそろ見えてくるぞ。あそこがこの町の出入り口だ。」
「あ、ほんとに町の周りに壁とかないんだね。」
「この町にはないな。それに一応見えると思うが、真っ白な棒が立ってるだろ?あれが教えた魔物除けの結界棒だ。大体の村町には入り口と四方にあの棒が立っている。」
確かにさっきっから存在感を示す大きな棒。多分元の世界の電柱くらいの高さはある。電柱に比べれば全然細いけど、あれが聞いてた結界棒か。
あれのおかげでよっぽどの魔物じゃない限りは町村には寄ってこないようだ。そしてそのよっぽどの魔物がいるような地域の町村はさすがに壁になってるらしい。
といってもそういう魔物は大体魔族にと至っているし、いなくとも賢いからわざわざ村町を襲うようなことはしないらしい。確か図鑑のその2の強力な魔物の説明にそう書いてあった。
そんなことを思い出しつつ、結界棒二つの間を抜けて町を出る。出た瞬間、見渡す限りの草原だ。まぁさっきっから見えてはいたけど。だけど町の近くとはいえ、結界棒の外に建物が所々に見えてる。
「ガロ、あの建物が飼育してるところなの?」
「そうだな、あそこで暴れ牛や飛来鶏が飼育されている。といってもほぼ放牧状態だがな。」
一応の管理してる小屋があるって感じなのか。外にあるのは万が一暴れ始めたら結界棒の中だと面倒ごとになるからだそうだ。もっとも暴れ牛も飛来鶏もある程度の冒険者が来れば一瞬で方が付くらしいけど。
「追加の説明をすれば、あそこで買われているのは配合、つまり靄から生まれた個体じゃなく生殖で生まれたやつらだな。そして小さいころは人の手で一応育てられることで暴れる可能性を減らしている。」
「なるほど、その辺は元の世界と似たようなところがあるのかも。」
よくは知らないけど、僕の世界だって昔は牛とか鶏だって暴れるやつも多かったのかもしれない。僕が過ごしてた時は不自由なく食肉できてたけど。
「まぁその辺は今はどうでもいいな。ほら見ろ、あそこ。」
「ん?あ、白いのがなんかうごめいてる。」
話しながらも歩いてたガロが足を止めて指さす先に、緑の草をかき分けてうごめく白い影が見える。図鑑の情報通りならあれが角兎のはずだ。
「よし、まずはとにかく仕留めるだけやってみろ。どう倒しても構わない、自由なやり方でやってみろ。」
「うぇ!?いきなり!?まぁやってみるよ。」
腰に差した剣を構えたけどいきなり剣でザクっとというのはちょっと。個々はやっぱり魔法で行こう。そう思って走って近づいたらこっちに気づいちゃったのか、向こうもすごい勢いで逃げてしまった。
思ってるよりも早くて追いつくことかなわず、脱力してると後ろからすごく大きなため息が聞こえてきた。
「キオ、お前な・・・」
「あ、そっか、追われると逃げるの早いって書いてあったね。追いつく自信がないならそっと近寄るようにだっけ。」
「そうだ、覚えてるじゃないか。もっとも俺なら、こうだけどな。」
ガロが僕の後ろで剣を抜いたかと思ったら、すっといなくなった。いや走って行ったんだ、僕が逃がしたウサギのほうに。あっという間に遠くのほうで手招きしてるし。
急いで向かうとそこにはガロのこの間買っていたあの剣に突き刺さった兎の姿が。うっ、ちょっときついかもこれ。
「ん、大丈夫か?」
「いや、その、ちょっとね。」
「やっぱりか。こういう血を見るのは初めてじゃないんだろ?」
「うん、といっても映像で見たことあっただけなんだけどね。平気かと思ってたんだけど、実際見ると結構きついね。」
「そうか、だがこればかりは慣れてもらわないと困る。俺と一緒に旅をするならな。」
「・・・うん、わかってる。」
これも注意されてたことだ。目をそらしちゃいけない。しっかりとみると、剣に刺さった兎の額から確かに小さい角が生えている。これが一応の防衛手段らしい。でもちょっとした傷にしかならない気もする。
「この角でほんとに身を守れるものなの?」
「ガブリと頭からいかれたら口の中に角が刺さるだろ?追いつめられると頭を向けて逆に突っ込んでくるから気をつけろ。」
「ガロはそんな風になる前に仕留めちゃったってことだね。」
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「しっかり向き合えてるようだな、次はキオ、がんばれよ?」
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