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第一章
*2つの属性
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訓練所に戻るとすさまじい集中力で火の粒を浮かべていた。大きさは俺の詰め先にも満たない小さなものだが、4つも浮かべている。大きさよりも数を重視したのか?集中が切れたのか火が消えると同時に手も降ろしたのを見計らって声をかける。
「頑張ってるようだなキオ。」
「あ、ガロ。やっぱお話もしてきたんだね。お疲れさま。」
「ん、あぁ。じじいがいろいろ聞いてきたからな。」
「いつも僕のために、ごめんね?」
確かにキオのことについてだが、キオを保護すると決めたのは俺だ。今でこそなのかもしれないが、キオのために動くのは苦じゃない。気にさせない方がいいな。
「それより今の火の粒だ。4つ浮かべていただろ?大きくする方を重視しなかったのか?」
「うーん、大きくしたかったんだけど、このくらいが今日は限界みたいで、なら数はどうかとやってみたら4つにまで分裂できたってとこ。」
キオが出した火はさっきよりも確かに大きいが、水の大きさに比べれば全然小さいレベルだ。だが変な言い方をしたな。
「今日はそれが限界ってどういうことだ?」
「うーん、水の時もそうだったんだけど、1日で大きくできる限界があるみたいなんだけど、次の日になるとまた大きくできるんだよね。それでも水のほうはこの大きさから日にち変わってももう大きくならなくなっちゃったけど。いや、少しは大きくなってるのかな?」
なんてことはないように左手で火の粒を出したまま右の手で昨日と同じ大きさの水の塊を出す。確かに大きさは変わってないように見えたが、そんなことはどうでもよくなった。
「おいキオ、水と火、同時に出せるのか?」
「え?うん。そうだけど・・・」
「じゃあ雷も同時に出せるか?雷は練習してなくて粒としても出せないなら別にいいが。」
「うーん、ちょっとまってね。」
そういうと一度水も火も消して目をつぶりながらぐっと眉をひそめて集中する。考え事やいやなことがあった時のような顔だが、キオにとっては一番集中できるみたいだし、下手につつかない方がいいだろう。
それよりも、確かじじいが火と水を同時に使っているところは見たことがない。見たことがないだけで使えるのかもしれないが、また確認事項が増えたのか。一日に何度も行きたくないぞ。さっき追い払われたところだし。
雷もといったのは確認だ。万が一3属性同時にできるのなら、それはキオがかなり特別だといえる。そもそも3属性以上持ってるやつが少ないのだが。
キオが左手を突き出す。手から少し離れたところに小さな灯の粒と小さな水の粒が現れる。雷はさすがに無理だったかと思ったが、次に右手を突き出した、まさか・・・
「・・・できちまったか。」
「うっ、でも維持は、きっつ・・・」
出していた火と水と雷の粒が瞬間的に消えると同時に、キオは両手を急に引いてなぜか振り払っている。まさか痛かったりしたのか?
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫。破裂したりはしなかったか。なんか手に違和感がすごいや。」
そういうと両手の指をそれぞれ交差させてパキオアキと音を鳴らしたり、手をぎゅっと握って開いて音を鳴らしたりしていた。
「違和感程度か?疲れや痛みはないんだな?」
「こういうことすると疲れたり痛かったりするの?ちょっと魔法を使った後特有のあのだるい感じはさっきの火しか使ってない時よりあるけど、まぁ初めて水の礫を作った時よりはましだね。座りこんでもないでしょ?」
「あぁ、そうだな。」
魔素使用による疲労感はあるのか。痛みがないなら安心だが、この3属性を日常的に使っていいものなのだろうか?俺ではさすがに判断できないな。
「はぁ、どうすっか・・・」
「え、あ、もしかして、またよくないことしちゃった?」
「別によくないことじゃないさ。キオはすごいと思ってるぞ?」
贔屓なしに実際すごいだろう。3属性同時に使えるのであれば戦闘バリエーションは増やしやすい。もっとも今の粒の大きさと維持時間を考えたら到底戦闘に使えるものじゃないが。
「そっか、でもすごいってことは、またビャクラクさんに聞かなきゃでしょ?」
「・・・あぁ、そうだな。」
「どうする?今日は魔法はどっちにしろやらないでしょ?明日ビャクラクさんに聞くのでもいいと思うけど。」
思わぬことを言われた。確かにこの後は打ち込み訓練のつもりだったが、これは即報告案件と思っちまってた。訓練所にいれば障壁を暗くすればすぐ誰かに見られるわけでもねぇ。今日もう一度行くよりは明日がいいに決まってる。
「よし、じゃあ打ち込み訓練にするか。今日はキオは自分の剣を使え。俺は木剣を使う。」
「え?でも・・・」
「俺がお前の剣に当たると思うか?打ち込む隙すら与えねぇよ。それよりもっとその剣に慣れたほうがいい。」
あの鉄の剣のほうが受け幅は広いが重く細かな動きはつらいだろう。だが木剣と同じくらいに扱えるようにならなくてはいけない。できるだけ実戦に近くするなら打ち込みで使うのがいいんだ。
「まぁ確かにこの剣は兎の時にちょっと振ったのと素振りしかしてないからね。わかったよ。」
「あぁ、その意気だ。言っとくがここから30発撃ち込む。膝より下に15発当たったら昨日の分と合わせて、倍だからな?」
「ば、倍!?」
目を見開いて、俺に聞こえるほど強く唾を飲み込んだ。いい反応だ。剣を握る手も強くなった。キオに木剣の先を向けて、突っ込んでいく。即座に反応して受け流す。さすがにずっとやってきただけあっていい動きをするようになってきた。この剣でも動きがほとんど変わってないのはいい兆候だな。それでもまだまだ甘い部分はある。軽々と足元に15発、打ち込んでやれるな。
「頑張ってるようだなキオ。」
「あ、ガロ。やっぱお話もしてきたんだね。お疲れさま。」
「ん、あぁ。じじいがいろいろ聞いてきたからな。」
「いつも僕のために、ごめんね?」
確かにキオのことについてだが、キオを保護すると決めたのは俺だ。今でこそなのかもしれないが、キオのために動くのは苦じゃない。気にさせない方がいいな。
「それより今の火の粒だ。4つ浮かべていただろ?大きくする方を重視しなかったのか?」
「うーん、大きくしたかったんだけど、このくらいが今日は限界みたいで、なら数はどうかとやってみたら4つにまで分裂できたってとこ。」
キオが出した火はさっきよりも確かに大きいが、水の大きさに比べれば全然小さいレベルだ。だが変な言い方をしたな。
「今日はそれが限界ってどういうことだ?」
「うーん、水の時もそうだったんだけど、1日で大きくできる限界があるみたいなんだけど、次の日になるとまた大きくできるんだよね。それでも水のほうはこの大きさから日にち変わってももう大きくならなくなっちゃったけど。いや、少しは大きくなってるのかな?」
なんてことはないように左手で火の粒を出したまま右の手で昨日と同じ大きさの水の塊を出す。確かに大きさは変わってないように見えたが、そんなことはどうでもよくなった。
「おいキオ、水と火、同時に出せるのか?」
「え?うん。そうだけど・・・」
「じゃあ雷も同時に出せるか?雷は練習してなくて粒としても出せないなら別にいいが。」
「うーん、ちょっとまってね。」
そういうと一度水も火も消して目をつぶりながらぐっと眉をひそめて集中する。考え事やいやなことがあった時のような顔だが、キオにとっては一番集中できるみたいだし、下手につつかない方がいいだろう。
それよりも、確かじじいが火と水を同時に使っているところは見たことがない。見たことがないだけで使えるのかもしれないが、また確認事項が増えたのか。一日に何度も行きたくないぞ。さっき追い払われたところだし。
雷もといったのは確認だ。万が一3属性同時にできるのなら、それはキオがかなり特別だといえる。そもそも3属性以上持ってるやつが少ないのだが。
キオが左手を突き出す。手から少し離れたところに小さな灯の粒と小さな水の粒が現れる。雷はさすがに無理だったかと思ったが、次に右手を突き出した、まさか・・・
「・・・できちまったか。」
「うっ、でも維持は、きっつ・・・」
出していた火と水と雷の粒が瞬間的に消えると同時に、キオは両手を急に引いてなぜか振り払っている。まさか痛かったりしたのか?
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫。破裂したりはしなかったか。なんか手に違和感がすごいや。」
そういうと両手の指をそれぞれ交差させてパキオアキと音を鳴らしたり、手をぎゅっと握って開いて音を鳴らしたりしていた。
「違和感程度か?疲れや痛みはないんだな?」
「こういうことすると疲れたり痛かったりするの?ちょっと魔法を使った後特有のあのだるい感じはさっきの火しか使ってない時よりあるけど、まぁ初めて水の礫を作った時よりはましだね。座りこんでもないでしょ?」
「あぁ、そうだな。」
魔素使用による疲労感はあるのか。痛みがないなら安心だが、この3属性を日常的に使っていいものなのだろうか?俺ではさすがに判断できないな。
「はぁ、どうすっか・・・」
「え、あ、もしかして、またよくないことしちゃった?」
「別によくないことじゃないさ。キオはすごいと思ってるぞ?」
贔屓なしに実際すごいだろう。3属性同時に使えるのであれば戦闘バリエーションは増やしやすい。もっとも今の粒の大きさと維持時間を考えたら到底戦闘に使えるものじゃないが。
「そっか、でもすごいってことは、またビャクラクさんに聞かなきゃでしょ?」
「・・・あぁ、そうだな。」
「どうする?今日は魔法はどっちにしろやらないでしょ?明日ビャクラクさんに聞くのでもいいと思うけど。」
思わぬことを言われた。確かにこの後は打ち込み訓練のつもりだったが、これは即報告案件と思っちまってた。訓練所にいれば障壁を暗くすればすぐ誰かに見られるわけでもねぇ。今日もう一度行くよりは明日がいいに決まってる。
「よし、じゃあ打ち込み訓練にするか。今日はキオは自分の剣を使え。俺は木剣を使う。」
「え?でも・・・」
「俺がお前の剣に当たると思うか?打ち込む隙すら与えねぇよ。それよりもっとその剣に慣れたほうがいい。」
あの鉄の剣のほうが受け幅は広いが重く細かな動きはつらいだろう。だが木剣と同じくらいに扱えるようにならなくてはいけない。できるだけ実戦に近くするなら打ち込みで使うのがいいんだ。
「まぁ確かにこの剣は兎の時にちょっと振ったのと素振りしかしてないからね。わかったよ。」
「あぁ、その意気だ。言っとくがここから30発撃ち込む。膝より下に15発当たったら昨日の分と合わせて、倍だからな?」
「ば、倍!?」
目を見開いて、俺に聞こえるほど強く唾を飲み込んだ。いい反応だ。剣を握る手も強くなった。キオに木剣の先を向けて、突っ込んでいく。即座に反応して受け流す。さすがにずっとやってきただけあっていい動きをするようになってきた。この剣でも動きがほとんど変わってないのはいい兆候だな。それでもまだまだ甘い部分はある。軽々と足元に15発、打ち込んでやれるな。
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