そこは獣人たちの世界

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第一章

*嗅ぎあい

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今日の訓練は確かに今までと比べたらハードだっただろう。だがあれだけ俺が剣での受け流し訓練をしたってのにいまだに受けるのが怖いだなんていうせいだ。
それにFランクになった。すぐに転移石を使わなかった一番の理由、キオを成長させるという面も今日の訓練で達せたはずだ。またこの家と長いことは慣れることになる可能性は高い。
キオがいるから戻ってくる可能性もあるが、王都に行けばそのまま遠征依頼となるだろう。だからこの家でゆっくりと過ごすのは明日までだ。だからキオ、寝ようとするな。

「キオ、分かってると思うが、キオがFランクになった。ほんとは明日の朝には王都に転移する予定だったんだ。」

「え!明日の朝って・・・」

俺の話にちょっと驚いたが、目を見開いてきちんと聞いてくれる。それを見てそのまま俺は続ける。

「だが今日は疲れているだろ?明日キオが疲れを見せなければ明日、きつそうなら明後日になる。」

「きつそうならって・・・」

「おそらくこのまま寝たら明日の朝には回復する。それくらいにはお前は丈夫になったんだぞ、キオ。」

「そ、そうなの?」

「あぁ、俺が鍛えてたからな。」

まぁ昼のうちのことだけじゃなく、ここのところ毎日夜もやってたから強くなったとは言わないでおこう。言えば恥ずかしがってかわいいんだろうが、余計にこの後の行為を嫌がりそうだ。

「そっか、でもそれとこれからするってのは関係あるの?」

「あるだろ、この家で最後だ。王都でなら俺の家があるが、そこでも次の日の予定によっては毎日というわけにはいかないかもしれない。そしておそらくだが、遠征依頼を受けることになる。そうなったら遠征中の旅中はもちろん、遠征に行く街によってはそこでの仕事が終わって王都に戻るまでできなくなるかもしれない。」

実をいうとこれが俺にとって一番きついことだ。ここのところずっとキオと行為をすることで感じられたのに、それがなくなるんだ。多分先に我慢ができなくなるのは俺の方だろう。

「そっか、そういえばそういってたね・・・」

「だから、ニンゲンに戻るのをできるだけ抑えるためにも今日はみっちりやったほうがいいだろ?」

「それ、ほんとに僕が人間の姿に戻るの抑えるためだけ?ガロができるだけ我慢できるようにじゃないの?」

「なんだキオ、意外と鋭いじゃねぇか。」

思わぬ反撃の言葉に俺も驚いちまった。まさか見抜かれていたとは。いや、さすがに結構長いこと過ごしてきたもんな。

「だってガロ、にやついてるんだもん。この後やるだけやるって時の顔、してる。」

「あぁ、そういう日も何回かあったもんな。なるほど、表情を取り繕うのももっと思い出さないとな。キオといるとどうも緩んじまう。」

キオとまぁ一応じじいくらいになら別にいいが、これから会うであろうグランドマスターや他の町のギルド長なんかには感情を見せすぎない方がいい。キオはまだFランクだからこのままでもいいだろうが、DになったらCの前には教えなきゃいけないだろうな。
ふてくされた表情でなんだかんだと俺に言いながら揺れ動く尻尾は、どちらかといえば期待をしてる時の動きをしてる。こうやって尻尾が勝手に揺れ動くのを見れるのもその時までだな。

「まぁ、どうせ何言ってもそういう表情しながらやるってガロが言ったら絶対やるんでしょ?わかってるもん。」

「まぁ、そうだな。」

「じゃあお風呂入って準備しないと。」

「いや、風呂は別にやった後でいいだろ?俺がゆっくり洗ってやるよ。」

「え?」

ここ最近は俺との行為につき合わせる前に風呂に入り。つき合わせた後にも自分で入るように言ってたのにと思ってるだろうが、今風呂に入ったら余計にキオが眠くなるだろうからな。

「ほら、部屋に行くぞ?」

「で、でも、汗ばんで結構臭いと思うよ?」

「本当はそういう匂いは結構好きなんだ。」

「で、でも、うわっ!」

まだちょっと抵抗するように椅子にへばりついていたので、仕方なしに椅子から引っぺがすように持ち上げて運ぶ。

「ちょ、ガロ!」

「いいじゃねぇか。疲れもあるだろ?運ぶくらいはな。」

「そういうならこのままもう寝かせてほしいんだけど・・・」

「それはダメだな。」

部屋に運び終えて寝かせてほしいなんて言うキオをベットにちょっと投げ飛ばしてやる。そのまま押さえつけるようにして服を脱ぎはがし始めるとちょっと抵抗しようとしてきた。

「じ、自分で脱ぐよガロ!」

「今日くらいは脱がさせろ。」

抵抗させないように抑え込んでるので結局俺がはぎ取ってやるわけだが、今日は町外に出て、そのあと訓練でかなり汗ばんだようで、かなり強いキオのにおいがしてくる。あぁ、良いな、こういうのも。
いつもは風呂後の石鹸のにおいでこの匂いをかぐことは少ない。それは俺もキオも風呂好きのせいだろう。思わずキオの胸元に鼻を押し付ける。
俺と同じようなもふりとした胸毛は湿っぽくはないが確かに強いキオのにおいがしてくる。いつもより強いにおいに、もう俺のが服の中で臨戦態勢をとっちまった。

「が、ガロ、臭く、ないの?」

「お前のにおいが臭いと思うわけないだろ。キオも逆に俺のにおい嗅いでみるか?今日は俺も少し汗ばんだぞ?」

久しぶりに大物武器を振ったからか少しばかり汗が出た。気持ちいい程度の汗だったが、そういえば今日のキオは怯えと焦りもあったからそのせいでよけに汗をかいたのかと嗅ぎながら少し思う。
おっと、キオにも嗅がせるなら一度離れないとな。頭のほうのにおいよりも、やっぱり俺たい狼種なら胸元が一番だからな。

「僕が、嗅ぐの?」

「あぁ、狼種の姿だと匂いを強く感じるだろ?俺が今やったように、胸元に鼻を押し付けてみろ。」

「う、うん。」

俺が付きだした胸元に少し体を起こして俺と同じようになったマズルの先を突き刺してくる。ほんのりとくすぐったいが、こうして包んでやるのも結構いいもんだな。おっと、キオの鼻を堪能するのもいいが、キオが匂いをかいでる間に下を脱いじまうか。
俺が脱ぎ終わってもまだ少し鼻を埋めていたが、満足したのか離す。何とも言えないようなぼーっとした表情なってるが、結構長ったから悪くはなかったんだろう。でもあえてこう聞く。

「どうだ、俺のにおいは嫌か?」

「い、いやだったらこんなに嗅がないよ。むしろ、なんというか、その、すごくよかった・・・」

「そうか。」

その言葉だけで大満足だ。いや、俺こそむしろその言葉で余計に俺のが臨戦態勢が強くなっちまったか。まぁ今日はとことんやると決めたからなと舌なめずりをした。
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