そこは獣人たちの世界

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第二章

王都の教会

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昨日は二度寝を含め、ほとんどベットの上でゆっくり過ごしたので疲れは完全にとれた。裸で抱き合って寝ていたからそういうこともするかと思ってたけど、手でしたあの一回きりだったし。
今日は王都出発の日、王都に行けばこういうことをする余裕も少なくなるらしいからちょっと寂しいもんだけど、ガロが言うにはいろんな方面からいろんな食材も集まってきてるそうで楽しみだ。
ただ、いつもと違うところもある。ガロが上の服を着ているところだ。ずっと上半身裸なのを見てきたから、ちょっと新鮮。だけど、ちょっと隠しちゃうのもったいないかな、なんて思っちゃったりもする。
それに王都に行くのに長い旅が始まるわけじゃなく、ガロの持つ転移石で一瞬だ。それでも王都に行ったらなんだかんだと忙しくなるかもだそうなので朝から出発する。
手をつないだ状態でガロが王都への転移石をバリンと握りつぶした。ほんの一瞬当たりの空間すべてがすべて白一色の何もない景色になるが、すぐに前に転移した後のように、真っ白な壁、真っ白な女神らしき像のある教会の景色になる。
さっきまでガロの部屋だったのに、ほんとに一瞬で移動できたわけだ。これが転移ほんとすごい。まだ二回目だし前回はこっちの世界に来たばかりで魔法の実感のない状態だったのもあって、魔法というか魔道具なんだろうけど、やっぱすごいなと余計に思うわけだ。
そんな風にちょっと転移後のドキドキ感を味わっていたら背後から人の気配が近づいてきた。それだけじゃない。僕たちの立つ隣に太い光の柱みたいなのが立ち上がった。なんだろうあれ?でも今は後ろからくる人の対処が先か。

「おぉ、ガロ様、転移お疲れ様です。」

「あぁ悪い、すぐにどく。」

「えぇ、お願いいたします。」

教会への転移者への対応役の人なんだろうか?白を基調とし、青と金の模様が入った神官服って感じの服を着ている。ガロが反応したらすぐに引いちゃったけど。そういえばお疲れ様ですと声をかけられただけのはずなのになぜかガロはさっさとその場を僕をちょっと引っ張りながらどいた。するとさっき立っていたところの床に何やら模様が一瞬浮かび上がって、その後また太い光の柱が立つ。隣の光の柱はもう消えていて、そこから猫二人、犬二人の4人組が出てきていた。彼らがそこをどくとまた光の柱が立つ。かなり来る人が多いみたいだな。さっきの四人は気にしてなかったけど、いくつかこっちに目線が来てるのがわかる。
あぁ、さっきの神官みたいな人がまた立ち止まってる組にお疲れ様ですって声かけてる。その人たちも声をかけられてすぐにどいた。どうやらそういうルールみたいだ。

「行くぞキオ、ここにいてもしょうがねぇ。」

「あ、うん。」

そうは言うけどすぐに出なかったのはたぶん僕にほかの人の転移を見せてくれるためだったんだろう。これだけ見れれば十分だと外を目指す。
この教会に来た時に壁と女神像しかない場所だったなと思ってたけど、部屋を出たらすぐに外ではなくさらに広い部屋だった。向かい側にもここみたいな部屋が見えて、そこからも何人か出てきてる。
左側をちらっと見たら奥のほうにも4つほど部屋があって、そのさらにお国はいくつも椅子が置いてあり、さっきの女神像とは比べ物にならないほど大きな女神像と、それと同じほどの大きさの2つの像が一番奥の壁に飾ってあった。

「そっちじゃないぞ、外は右だ。」

「あ、うん。ここ、広いんだね。」

「まぁな。行くぞ。」

一瞬見たくらいだったから多分立ち止まるって程じゃないはずだったけど、部屋の出口が広いから僕たちの横を何人か通り過ぎていた。みんな外への足が速いみたいだ。
僕たちもその波に乗るように歩く。早いと思っていたけど、最近のいつも通りに歩いたら別に早くはなかった。どうやらこのあたりの普通の歩く速度のようだ。それにいつの間にか僕も慣れてたみたい。
そのままあっという間に外へ。すごい人の数だ。その分道も広いけど。教会内に人が多かったのも驚いてたけど、セリーヌの町とは大違いだ。あの町も結構人の往来多いと思ってたんだけどなぁ。
ガロに引っ張られるまま止まることなく流れに乗って歩き始める。どうやらこの教会の付近全部は衣服関係の店のようで、ガラスを使って外まで見せてる店舗には布だったり服だったりが飾られていた。
流れに乗ってはいたけれどそういうのを見ているとちょっと思ってしまう。どうにもこの人の流れじゃ向こう側に行きにくそうだ。

「これ、向こうにわたりづらそうだね。」

「そうか?わたる必要がないから行かないが、向こうに行こうとすれば結構止まってくれるぞ、ほら、あそこ見ろ。」

ガロが指さすところで少し流れが止まっていた。見ると杖を使って歩く蜥蜴種の人がゆっくりと横断していた。それを道行くいろんな種の人々がちゃんと譲っている光景だった。これ多分、元の世界よりみんな心遣いあるな。

「そっか、みんな優しいんだね。」

「あぁ、そうだな。」

「あ、そういえば僕たちは今どこに向かってるの?」

「今はいったん王都の俺の家だ。手は握ってるが、しっかりついて来いよ?はぐれたらきつい。」

「う、うん、そうだね。」

いくら人々が優しいとは言っても人が多いのは確かだ。ここで離れて見失ったら目も当てられない。握る手をよりぎゅっと握りしめると、ガロもぎゅっと返してくれた。
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