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第二章
王都の家
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教会からすごい人の多い大通りをそこそこ歩き、セリーヌ町で大通りだと思ってた幅の中通りにはいる。この中通りも人がまばらにいる。セリーヌの町の大通りほどではないから手を握っていなくちゃいけないほどではなくなったけど、手はつないだままだった。
ガロがわざわざ嫌がりながらも上の服を着た理由がわかる。ガロみたいないかにも冒険者とか傭兵とかそんな感じの人もちゃんと服を着てて、こんな大通りの人だかりの中で誰一人として服を着てない人がいない。僕はもともと上を着てる方がいいから別に気にはならないけど。
そういえば大通りでは二度、馬車も横切った。大通りの人たちがみんなしっかり横によけるせいで余計に詰まり気味になったけど、あれが王都ではよくあることらしい。
そしてさらに少し狭くなった通りを二度曲がってようやくガロの家にとついた。家の外見は近くの家と似てるけど、石塀の囲いが玄関前についてるのが違うところだ。
「この囲いが許可したやつだけしか通さない仕組みになっている。キオはパートナーになった時点で許可してあるから入れるぞ。」
「これ、許可されてない人が入ろうとしたらどうなるの?」
「俺の雷魔法が組み込まれてるから、それを受けることになるな。」
「う、ちょっとおそろしいかも。」
思わず塀からよけてガロに寄っかかったら、ガロから軽く笑われてしまった。
「キオなら触ったって発動しねぇよ。それに俺の雷なんだから、俺によってよけるのはおかしくねぇか?」
「う、それもそうかも。」
そんなやり取りをしつつ家にと入る。セリーヌの家よりも小さく感じたが、やはり少しダイニングとキッチンが狭いし、リビングエリアになってたソファーが置いてない。キッチンが狭いといっても元の世界で住んでた僕の家よりも広いけど、あんまり使ってなかったんだよね、多分。
二階は寝室で一階奥の扉はたぶんお風呂だろう。つくりはセリーヌの町の家とほとんど同じだ。多分落ち着くようにできるだけ同じに作ったんだろう。ガロがダイニングテーブルの椅子に座ったので、僕も向かい側に座った。
「ここを覚えるのはちょっときついかもしれないが、慣れろよ?何度かは一緒に帰るが、場合によっては一人で帰ってもらうこともあるだろうからな。」
「うん、わかった。でも目印とかなんもないからちょっと不安かな。」
セリーヌの町ではギルドから何個目のあの幅の道を曲がるとか数えられたけど、ここだと道幅の違いはほとんどなく、しかも人だかりのせいで曲がる道も見づらい。さらに馬車が通ったら余計に曲がり角を見失うだろう。
「そればかりは慣れてもらうしかないな。ちなみに今通った通り以外の道もあるからな。」
「うっ、方向音痴ではないけど迷うことがないわけでもないから気をつけるよ。でもいざとなったらこれがあるから。」
ガロに見せるのは僕のスマホだ。これの地図の機能を使えば今いるのが王都のガロの家とちゃんと表示されてる。どうやら僕が入ったことのある建物ならちゃんとその建物の名称がでるようだ。ほんとこれ、魔道具と化しちゃっているようだけど、便利だからもう気にも留めないことにした。
「あまりそれを人前に出さない方がいいんだが、まぁキオ以外には明るいようにしか見えてないみたいだから、本当に迷っちまった時には使えばいい。」
「うん、そうするよ。」
僕だってスマホをとられたりしたら、地図だけじゃなく、料理手順を調べたり、カメラで素材の情報を調べたり、小説を読んで暇つぶしも出来なくなってしまう。最近は訓練訓練でめっきり読んでないけど。
読みたい気持ちもないわけじゃないけど、魔法訓練はもっとやりたいし、何よりガロが近接戦闘訓練からは逃がさないだろうし、読めなくても退屈はしていないから別にいいと思ってる。
「ところで、この家は慣れそうか?」
「まだ来たばっかで分からないけど、ほとんどあっちの家と同じつくりでしょ?ソファーがないのはちょっと残念だけど、あんま使ってなかったし、問題ないと思う。」
「そうか、ならよかった。ならさっそく王都のギルドにあいさつしに行くぞ。」
「え、お買い物とかは?」
「後だ後。わかってるんだろ?」
「まぁね。」
でもちょっと残念だ。大通りの途中にすごく大きな食品店があったのを見かけて入りたかったんだけど、向かい側だしまずはいえって言ってたしで我慢していたんだ。あの大きさは元の世界のスーパーでも超大型店レベルの大きさだろう。しかも4階建てだった。全部が売り場ではないだろうけど、どんなのが売ってるのか楽しみだ。
だがその楽しみに前に王都のギルド本部だ。正直呼び出しが僕関連のこともあるらしいのでちょっと不安はある。でも所属してる以上いかないという選択肢はないようだし、あきらめていくしかない。
「そんじゃ行くぞ。」
「うん。」
ちょっと重い腰を椅子からあげて、気合を入れなおす。どこまで追及されるのかわからないけど、隠すかどうかとかは昨日ガロが任せろと言ってくれた。その面での不安はないんだ。でも相手がグランドマスターっていう一番偉い人だから、隠せることはないとは思うけどね。
ギルドは結構自由なところ多いし、悪い人ではないだろうけど、僕たちへの招集依頼で不備もあったみたいだし、押しの強い人なんだろうなぁ・・・
ガロがわざわざ嫌がりながらも上の服を着た理由がわかる。ガロみたいないかにも冒険者とか傭兵とかそんな感じの人もちゃんと服を着てて、こんな大通りの人だかりの中で誰一人として服を着てない人がいない。僕はもともと上を着てる方がいいから別に気にはならないけど。
そういえば大通りでは二度、馬車も横切った。大通りの人たちがみんなしっかり横によけるせいで余計に詰まり気味になったけど、あれが王都ではよくあることらしい。
そしてさらに少し狭くなった通りを二度曲がってようやくガロの家にとついた。家の外見は近くの家と似てるけど、石塀の囲いが玄関前についてるのが違うところだ。
「この囲いが許可したやつだけしか通さない仕組みになっている。キオはパートナーになった時点で許可してあるから入れるぞ。」
「これ、許可されてない人が入ろうとしたらどうなるの?」
「俺の雷魔法が組み込まれてるから、それを受けることになるな。」
「う、ちょっとおそろしいかも。」
思わず塀からよけてガロに寄っかかったら、ガロから軽く笑われてしまった。
「キオなら触ったって発動しねぇよ。それに俺の雷なんだから、俺によってよけるのはおかしくねぇか?」
「う、それもそうかも。」
そんなやり取りをしつつ家にと入る。セリーヌの家よりも小さく感じたが、やはり少しダイニングとキッチンが狭いし、リビングエリアになってたソファーが置いてない。キッチンが狭いといっても元の世界で住んでた僕の家よりも広いけど、あんまり使ってなかったんだよね、多分。
二階は寝室で一階奥の扉はたぶんお風呂だろう。つくりはセリーヌの町の家とほとんど同じだ。多分落ち着くようにできるだけ同じに作ったんだろう。ガロがダイニングテーブルの椅子に座ったので、僕も向かい側に座った。
「ここを覚えるのはちょっときついかもしれないが、慣れろよ?何度かは一緒に帰るが、場合によっては一人で帰ってもらうこともあるだろうからな。」
「うん、わかった。でも目印とかなんもないからちょっと不安かな。」
セリーヌの町ではギルドから何個目のあの幅の道を曲がるとか数えられたけど、ここだと道幅の違いはほとんどなく、しかも人だかりのせいで曲がる道も見づらい。さらに馬車が通ったら余計に曲がり角を見失うだろう。
「そればかりは慣れてもらうしかないな。ちなみに今通った通り以外の道もあるからな。」
「うっ、方向音痴ではないけど迷うことがないわけでもないから気をつけるよ。でもいざとなったらこれがあるから。」
ガロに見せるのは僕のスマホだ。これの地図の機能を使えば今いるのが王都のガロの家とちゃんと表示されてる。どうやら僕が入ったことのある建物ならちゃんとその建物の名称がでるようだ。ほんとこれ、魔道具と化しちゃっているようだけど、便利だからもう気にも留めないことにした。
「あまりそれを人前に出さない方がいいんだが、まぁキオ以外には明るいようにしか見えてないみたいだから、本当に迷っちまった時には使えばいい。」
「うん、そうするよ。」
僕だってスマホをとられたりしたら、地図だけじゃなく、料理手順を調べたり、カメラで素材の情報を調べたり、小説を読んで暇つぶしも出来なくなってしまう。最近は訓練訓練でめっきり読んでないけど。
読みたい気持ちもないわけじゃないけど、魔法訓練はもっとやりたいし、何よりガロが近接戦闘訓練からは逃がさないだろうし、読めなくても退屈はしていないから別にいいと思ってる。
「ところで、この家は慣れそうか?」
「まだ来たばっかで分からないけど、ほとんどあっちの家と同じつくりでしょ?ソファーがないのはちょっと残念だけど、あんま使ってなかったし、問題ないと思う。」
「そうか、ならよかった。ならさっそく王都のギルドにあいさつしに行くぞ。」
「え、お買い物とかは?」
「後だ後。わかってるんだろ?」
「まぁね。」
でもちょっと残念だ。大通りの途中にすごく大きな食品店があったのを見かけて入りたかったんだけど、向かい側だしまずはいえって言ってたしで我慢していたんだ。あの大きさは元の世界のスーパーでも超大型店レベルの大きさだろう。しかも4階建てだった。全部が売り場ではないだろうけど、どんなのが売ってるのか楽しみだ。
だがその楽しみに前に王都のギルド本部だ。正直呼び出しが僕関連のこともあるらしいのでちょっと不安はある。でも所属してる以上いかないという選択肢はないようだし、あきらめていくしかない。
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