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第二章
土と樹
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昨日は昼まで爆属性を使ったガンの練習を繰り返し、水、火、雷に関しては実戦でも使えるんじゃないかとガロのお墨付きをもらえた。
ただ爆属性を打ち出そうとして魔素の筒をすさまじい音を立て破裂させる失敗をしてしまった。今までの魔法の失敗では何ともなかったけど、この失敗の時はちょっと自分も吹っ飛んだ。幸い、ガロがすぐ受け止めてくれたし頭打ったりとかもしなかったけど。
原因はたぶん弾の部分と破裂部分が同じ属性で干渉しあったことらしい。僕自身では今一同干渉していたのかがわからなかったからもう一度練習しようとしたけど、爆属性はショットにしておけと止められてしまった。まぁ危なかったししょうがない。
そして午後は打ち込み練習でなぜかまたハンマーを打ち込まれた。加減はしてくれてるんだろうけどそらすので腕がしびれたんだよな。もう治ったけど。今日もあれは勘弁してほしい。
そんなちょっと憂鬱な気分でギルドに来ると、椅子に座っていた水竜がこちらに気づいてすぐに近づいてきた。隣にはすごく立派な角を持った鹿種の人もいる。あの角の形、ヘラジカかな?背丈的にはガロや水竜よりちょっと小さいけど、角部分を含めると少し高い。
「おう、待ってたぞ、ガロ、キオ。」
「随分と早いことだ。俺たちも結構早く来たんだがな。今回はありがとうございますドラドさん。」
「ドラドでいいぞ。もう同じSでカレントとはAのころから親しいじゃないか。そんな礼を尽くされるほどこちらも偉いつもりはないんでね。で、そっちがキオ君かい?」
「あ、初めましてキオです。よろしくお願いします。」
僕が軽く礼をしてあいさつするとちょっとぎょっとした顔をしつつ、僕のことをなぜかまじまじと見た後にガロのほうを見る。
「ふむ、ガロに似てるね。そして礼儀はきっちりとできている。本当にガロが教えたのかい?ビャクラクさんに教わったのでは?」
「さすがにちょっと失礼なといわせてもらいますよ。」
「ははは!あぁ、言葉も気を使わなくていいんだぞガロ。」
「じゃあお言葉に甘えて。気楽にいかせてもらう。」
「あぁ、そのほうが自然だ。だがキオ君はどうやら礼儀を尽くすのを苦としていないようだ。矯正されたものじゃないな。それなりに自然だ。もっと自然体を見たいが、さすがにここではダメだろうな。」
「キオには俺もじじいも礼儀は教えてない。俺も初対面は丁寧に話されたからな。初対面とは丁寧にしゃべることが染みついてるようだ。」
「ふむ、なるほど。気になるところだが、ここでこれ以上話すのもあれだな。訓練所に行こうか。」
ガロはかなり小さく僕のことをしゃべり、ドラドさんもそれに気づいてすぐに訓練所にと移動し始める。なぜか水竜もにやにやしながらついてくるけど。それにしても僕の挨拶だけで自然体かどうかがわかるってすごいな。僕の場合元の世界で染みついちゃってるだけなんだけど。
訓練所地下一階の一角に入ると、ガロが外から見えない方の障壁を張った。
「随分とこちらを気にしているのが多かったな。」
「そりゃそうだろドラド。オレたち3人のSランクがいるんだ。訓練所で何するか気になっちまうのが普通だろ。」
「野次馬にたかられても仕方ない。いちいち威圧するのも面倒だからこっちの障壁にすればいいだろ。」
「確かにそうだな。それで、今回はキオ君に土と樹の属性を教えるということでいいんだな?」
「あぁ、そうなる。」
「よろしくお願いします。」
「ふむ、ならまずは土と樹の属性について軽く教えようか。」
いきなり魔法を覚えるんじゃなく、ドラドさんの属性についての説明が始まった。まず土も樹もどちらにも言えるが攻撃よりもどちらかといえば防御に特化した属性で、ソイルウォール、ウッドウォールのような壁にする魔法だと使いやすいと言われた。
「うぅ、なるほど。でもその壁の魔法は使えないと思います。」
「あぁ、聞いている。バレットからガンほどの大きさにしか魔法を作り出せないんだったな。だがバレットでもこのように展開すれば防御として使えるはずだ。ソイルバレット!」
ドラドさんが土礫を体の前に超大量にドラドさん自身の目の前に展開する。粒自体は確かに小さいがこれだけ量あれば防御として使えるだろう。ただ発射させずに消してしまった。
「まだ一番得意な水でもそんな量は出せないんですけどね。」
「そうなのか、だがバレットでも使い方次第だということは覚えておくといい。」
「はい!とりあえず土属性、ソイルバレット、試してみてもいいですか?」
「っ!今のを見ただけで行けそうなのか?やってみるといい。」
あからさまに驚いた顔をされた。そっか、今の見たくらいじゃできるとは思わないよね。でも土礫はイメージとしてはそんな難しくない。腕を突き出した先に魔素を集めて土礫のイメージに固める。
「ソイルバレット!」
すんごい小さくて米粒ほどもない粒だけど、一応土礫ができた。大きくするには何度も練習あるのみというところだろう。一応打ち出してみたけど全然飛んで行かずに消滅してしまう。
「ほぉ、聞いていた以上のようだな。土の練習の前に樹も見せてしまおう。ウッドバレット。」
ドラドさんのウッドバレットもさっきのソイルバレットのように体の前に大量に展開された。そしてさっきと同様に発射させずに消滅させた。
「なるほど、やってみます。ウッドバレット!」
さっきの土の時と同様に腕を突き出して、今見た木の礫をイメージしつつ魔素を集めれば土のときと同じ程度の大きさの木の礫が出来上がる。発射し目見たけどこっちも全然飛ばずに消滅した。
「一応はできているな。あとは反復練習だ。こんなに早く終わるとは思っていなかったな。」
「おいキオ。前はもっとゆっくり発動したのを見なくちゃできなかっただろ?」
「うん、そうなんだけど、今回は行ける気がしたんだよね。ほんとに行けちゃったけど。」
ガロの突っ込みもわかるけど、できそうと思ってやったらできちゃったんだよね。
「多分だけどな、水、火、雷、爆と4つやってきただろ?それで慣れてきてるんだと思うぞ。次の氷と風はバレットじゃなくても魔法を見るだけでできちまったりしてな!」
水竜が面白がるようにケラケラと冗談めいていったけど、もし他属性のを見るだけで使えるようになるなら面白いかもしれない。氷と風の時にちょっと試して見れたら試そうかな。
ただ爆属性を打ち出そうとして魔素の筒をすさまじい音を立て破裂させる失敗をしてしまった。今までの魔法の失敗では何ともなかったけど、この失敗の時はちょっと自分も吹っ飛んだ。幸い、ガロがすぐ受け止めてくれたし頭打ったりとかもしなかったけど。
原因はたぶん弾の部分と破裂部分が同じ属性で干渉しあったことらしい。僕自身では今一同干渉していたのかがわからなかったからもう一度練習しようとしたけど、爆属性はショットにしておけと止められてしまった。まぁ危なかったししょうがない。
そして午後は打ち込み練習でなぜかまたハンマーを打ち込まれた。加減はしてくれてるんだろうけどそらすので腕がしびれたんだよな。もう治ったけど。今日もあれは勘弁してほしい。
そんなちょっと憂鬱な気分でギルドに来ると、椅子に座っていた水竜がこちらに気づいてすぐに近づいてきた。隣にはすごく立派な角を持った鹿種の人もいる。あの角の形、ヘラジカかな?背丈的にはガロや水竜よりちょっと小さいけど、角部分を含めると少し高い。
「おう、待ってたぞ、ガロ、キオ。」
「随分と早いことだ。俺たちも結構早く来たんだがな。今回はありがとうございますドラドさん。」
「ドラドでいいぞ。もう同じSでカレントとはAのころから親しいじゃないか。そんな礼を尽くされるほどこちらも偉いつもりはないんでね。で、そっちがキオ君かい?」
「あ、初めましてキオです。よろしくお願いします。」
僕が軽く礼をしてあいさつするとちょっとぎょっとした顔をしつつ、僕のことをなぜかまじまじと見た後にガロのほうを見る。
「ふむ、ガロに似てるね。そして礼儀はきっちりとできている。本当にガロが教えたのかい?ビャクラクさんに教わったのでは?」
「さすがにちょっと失礼なといわせてもらいますよ。」
「ははは!あぁ、言葉も気を使わなくていいんだぞガロ。」
「じゃあお言葉に甘えて。気楽にいかせてもらう。」
「あぁ、そのほうが自然だ。だがキオ君はどうやら礼儀を尽くすのを苦としていないようだ。矯正されたものじゃないな。それなりに自然だ。もっと自然体を見たいが、さすがにここではダメだろうな。」
「キオには俺もじじいも礼儀は教えてない。俺も初対面は丁寧に話されたからな。初対面とは丁寧にしゃべることが染みついてるようだ。」
「ふむ、なるほど。気になるところだが、ここでこれ以上話すのもあれだな。訓練所に行こうか。」
ガロはかなり小さく僕のことをしゃべり、ドラドさんもそれに気づいてすぐに訓練所にと移動し始める。なぜか水竜もにやにやしながらついてくるけど。それにしても僕の挨拶だけで自然体かどうかがわかるってすごいな。僕の場合元の世界で染みついちゃってるだけなんだけど。
訓練所地下一階の一角に入ると、ガロが外から見えない方の障壁を張った。
「随分とこちらを気にしているのが多かったな。」
「そりゃそうだろドラド。オレたち3人のSランクがいるんだ。訓練所で何するか気になっちまうのが普通だろ。」
「野次馬にたかられても仕方ない。いちいち威圧するのも面倒だからこっちの障壁にすればいいだろ。」
「確かにそうだな。それで、今回はキオ君に土と樹の属性を教えるということでいいんだな?」
「あぁ、そうなる。」
「よろしくお願いします。」
「ふむ、ならまずは土と樹の属性について軽く教えようか。」
いきなり魔法を覚えるんじゃなく、ドラドさんの属性についての説明が始まった。まず土も樹もどちらにも言えるが攻撃よりもどちらかといえば防御に特化した属性で、ソイルウォール、ウッドウォールのような壁にする魔法だと使いやすいと言われた。
「うぅ、なるほど。でもその壁の魔法は使えないと思います。」
「あぁ、聞いている。バレットからガンほどの大きさにしか魔法を作り出せないんだったな。だがバレットでもこのように展開すれば防御として使えるはずだ。ソイルバレット!」
ドラドさんが土礫を体の前に超大量にドラドさん自身の目の前に展開する。粒自体は確かに小さいがこれだけ量あれば防御として使えるだろう。ただ発射させずに消してしまった。
「まだ一番得意な水でもそんな量は出せないんですけどね。」
「そうなのか、だがバレットでも使い方次第だということは覚えておくといい。」
「はい!とりあえず土属性、ソイルバレット、試してみてもいいですか?」
「っ!今のを見ただけで行けそうなのか?やってみるといい。」
あからさまに驚いた顔をされた。そっか、今の見たくらいじゃできるとは思わないよね。でも土礫はイメージとしてはそんな難しくない。腕を突き出した先に魔素を集めて土礫のイメージに固める。
「ソイルバレット!」
すんごい小さくて米粒ほどもない粒だけど、一応土礫ができた。大きくするには何度も練習あるのみというところだろう。一応打ち出してみたけど全然飛んで行かずに消滅してしまう。
「ほぉ、聞いていた以上のようだな。土の練習の前に樹も見せてしまおう。ウッドバレット。」
ドラドさんのウッドバレットもさっきのソイルバレットのように体の前に大量に展開された。そしてさっきと同様に発射させずに消滅させた。
「なるほど、やってみます。ウッドバレット!」
さっきの土の時と同様に腕を突き出して、今見た木の礫をイメージしつつ魔素を集めれば土のときと同じ程度の大きさの木の礫が出来上がる。発射し目見たけどこっちも全然飛ばずに消滅した。
「一応はできているな。あとは反復練習だ。こんなに早く終わるとは思っていなかったな。」
「おいキオ。前はもっとゆっくり発動したのを見なくちゃできなかっただろ?」
「うん、そうなんだけど、今回は行ける気がしたんだよね。ほんとに行けちゃったけど。」
ガロの突っ込みもわかるけど、できそうと思ってやったらできちゃったんだよね。
「多分だけどな、水、火、雷、爆と4つやってきただろ?それで慣れてきてるんだと思うぞ。次の氷と風はバレットじゃなくても魔法を見るだけでできちまったりしてな!」
水竜が面白がるようにケラケラと冗談めいていったけど、もし他属性のを見るだけで使えるようになるなら面白いかもしれない。氷と風の時にちょっと試して見れたら試そうかな。
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