そこは獣人たちの世界

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第二章

落ち着いた食事

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セリスさんから次の遠征依頼を受けた後、改めて受付に並んで報酬を受け取った。二度手間な気もするけど相手はグランドマスターだ。報告と報酬よりも呼び出し内容が優先なのはしょうがない。
ギルドカードを重ねての取引だったから報酬がいくらかわからなかったので、王都の家についてから改めて聞いてみることにした。

「ねぇガロ、今回の遠征って報酬はどのくらいもらったの?」

「ん?あぁ、90万輪だな。」

「え!?結構高額だね・・・」

「何言ってる?遠征先も危険区域といっていい場所だったし相手も3匹の巨白虎だ。それに加えてSランクになったからな。前より報酬は上がる。あぁ、あいつらの素材を売ればさらに30万は出るぞ?」

「な、なるほど・・・」

つまりこの二週間くらいで一気に120万は稼いだってことだ。元の世界に比べて遠くから仕入れた肉と魚がちょっと高くて、買いあさっちゃっていいのかと不安だったけど、こんな調子で稼いでいたのならお金の不安は本当にないんだろう。Aランクの時はもう少し報酬は低かったようだけど。

「それより飯にしないか?朝からまだ何も食っていなくて腹が減っちまった。」

「作り置きのサンドイッチとおにぎりがまだ2つずつ残ってるけど、それを食べるんじゃだめなの?」

「いや、あれもポーチに入れてるから作った時と変わらない味だけどよ、作り立てが食いてぇんだ。残ってるのは明日の昼にでも食わせてもらう。明後日の準備で明日は忙しいだろうからな。」

そっか、明後日にはドーパーに行くのか。遠征直後なのにゆっくりできるのは今日くらいってことだろう。なら折角だ、ちょっと昼には早くて朝には遅い時間だけどがっつり食べちゃって、夜も豪華にしよう!

「じゃあ夜は揚げ物多めにしちゃおうか!で、お昼はがっつりパスタを作っちゃおう。」

「おぉ!揚げ物か!じゃあ唐揚げも期待していいんだな?」

「うん、一応僕とガロの初パートナーでの遠征依頼達成ってことでね。」

「なるほどな。昼はパスタで構わないぜ。」

軽く返してきたけどかなりうれしかったようで普段揺れないガロのしっぽが軽く揺れていた。とりあえず今はパスタだ。生地を作って細く延ばしていく。
平麺か細麺かしか作ってないけど、そのうちマカロニ型とかペンネ型とかも作ってみたいところだ。道具が必要になっちゃうから探さないとだけど。
今日はカルボナーラ風。麺を作る前にコンソメスープも作っていたのでフライパンにバターをしいて、切った豚肉を軽く炒める。パスタ麺を入れて牛乳とコンソメスープを入れて少しかき混ぜたら卵を入れてさらに混ぜて出来上がり。
お皿に盛ってたっぷり胡椒をかけるとなかなかおいしそうに出来上がる。だけどやっぱり普通の豚肉よりベーコンのほうがさらにおいしくなりそう。燻製のことを調べたけど、スモークチップさえあれば鍋かフライパンでもできそうなんだよね。蓋も網もあるし。
王都のあのでっかい食料品店にもベーコンは売ってなかったんだよね。生肉も生魚もあるのに、保存に関してはマジックポーチがあるから発展してないんだろうか。

「おまたせー。お肉がベーコンじゃなくって普通の豚肉だけど、カルボナーラ風パスタとコンソメスープだよ。」

「ベーコン?あぁ、燻製肉のことか。あれは専門の燻製屋でしか取り扱ってないぞ?俺はポーチがあるからもう買ってなかったんだが・・・」

「え!?あるの!?はぁ、そっか・・・」

はじめっから聞けばよかった。でもそりゃそっか。だってこの世界には僕の世界から来て知識を伝えたようなものがいっぱいある。燻製技術だって知ってる人が来てる可能性は大いにあるよね。

「明日買いに行くか?」

「うん、そうする。」

「なら今は冷めないうちに食おうぜ。いただきます。」

「いただきます。」

ガロとの買い物に誘われて落ち込んだ気分はすぐに治った。ベーコンがるならまた味の幅も広がるかな?もうすでに王都の食品がいっぱいあって作りたいけど作ってないのもいっぱいあるんだけどさ。

「ところで、この生卵は何だ?」

「あ、卵はカルボナーラに好みで追加して。よりこってりするよ。僕はこのくらいが好きだからさ。」

「なるほど、なら一つ追加してみよう。」

「上からかけてそのままつぶして食べるもよし、かき混ぜてもよしって感じだよ。」

僕は生卵はあんまりなのであえて乗せなかったけど、ガロは一口食べた後追加していた。僕もパスタをフォークで巻き取り、豚肉と一緒にほおばる。うーん、焼いただけの豚肉でもなかなかいける。でもベーコンよりもすこし風味が落ちるかも。
まぁ食べ慣れた味を覚えているせいなんだろうなとガロを見てると思う。ガツガツとあっという間に大盛にしたはずのパスタを平らげていく。豚肉もガロのほうにいっぱい入れたのになんかほとんど麺が残ってるように見える。

「比率、合わなかったんじゃない?もう少しお肉やいてこようか?」

「んっ!い、いや、大丈夫だ。それよりキオもいつもより多く乗せてるようだし、冷めないうちに食えよ。」

あ、ちょっと焼いて来てほしいほうに心が動いたけど我慢したのかな。別に僕は少し冷めちゃうくらいいいのにと思いつつ、コンソメスープをすすった。
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