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第二章
戻って早々
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あの太った緑竜の偉そうなやつはガロの予想通り尻尾を出す気配がなかった。まぁあえてこっちからつつかず様子を見てただけなんだけど。
さっさと村を出て転移してきたのは王都の大教会。ここまで転移してくれば、とりあえず一安心。あの屋敷をでてからずっと静かだったガロも大きくため息をついた。
「はぁ、やっと一息付けるな。」
「そうだね・・・」
いろいろインフィリアには思うところもあったけど帰ってこれたんだ。ここらで伸びでもしたいけど、後ろがつっかえるといけないので歩き始めると、すぐにガロが話しかけてくる。
「それにしてもあのデブ竜、俺たちが何も言ってこないのを相当イラついていたな。」
「え?そうなの?全然気づかなかった。ならあのネズミについて言及してもよかったんじゃない?」
「つついてやってもよかったがどうせ白を切られるだけだ。」
「それもそうか。」
もしあのままガロが間に合ってなかったら、僕もあの屋敷でメイド服を着て働かされたりしていたんだろうか。いや、働くっていうより、性奴隷として扱われてたか。
「だが少し困ったな。キオが目をつけられたことに変わりはない。インフィリアに行かなければ昨日のような直接的な手出しはできないだろうが、他のネズミがいる街にも情報は広まっただろうな。」
「え、そ、そうなの?」
「あぁ。それにあのデブ竜もすでに新しいネズミを補充したはずだ。魔素感知でも気配は感じなかったが、おそらくあの部屋にいただろうな。」
「ガロでも気配がわからないようなやつがいるの?それ、外で襲われたらどうすれば・・・」
「襲う瞬間には必ず気配が出る。じっと見られているだけではわからなくてもな。実際、キオも襲われたときそうだったんじゃないか?」
思い出したくはなかったけど、確かにあの黒い鼠が宿に現れたとき、相手が鼠だとはわからなくとも黒い何かがいるっていうのはわかった。
「確かに鼠種だとすぐにはわからなかったけど、なんかいるってのはわかったよ。」
「ま、そういうことだな。俺も思い出したくもないが、あのキオがとらえられてた部屋に黒い布が落ちていただろ?あれがおそらく気配を消す魔道具だな。」
「そういえば、あれ、回収してなかったよね?いいの?」
「触れない方がいいだろうな。ネズミが使う魔道具には所有者以外が触れつづけたら毒に犯すものが多い。そうして弱らせ、他のネズミが仕事を完了させるのさ。」
「こ、怖いことするんだね。」
「あぁ、自身の命を何とも思っていないようなやつらだ。」
その時のギリっと軽く歯を慣らすガロがかなり印象的だったけど、ほんの一瞬で、そのあとは他愛ない話をしつつギルドにと到着して受付にと並んだ。だけど自分たちの番になって報告だけというわけにはいかなかった。
「ガロ様ですね。グランドマスターがお呼びです。お手数ですがパートナーとご一緒にグランドマスタールームまで足を運んでいただけますか?」
「この短期間に二回目の呼び出しか。まぁあの人の呼び出しなら受けないわけにはいかないな。」
報告したら王都の家でゆっくりできると思ってたのに、思わぬ誤算だったけど、ギルドで一番偉い人からの呼び出しなんだ。僕も呼び出されてるから、もしかしてこの間みせて紙に映したスマホの画像のことかな?
そんな風に軽く考えながらマスタールームをガロがノックして中に入ると、何やら二人ともあわただしく執務室のほうの背後にある書籍棚を整理していた。でもすぐにセリスさんがこちらに気が付いて近寄ってくる。
「あぁ、来てくれましたかガロ。ディバン、私から話すのでよろしいですか?」
「あぁ構わねぇ!俺様も忙しい。」
「あわただしいが、何の用だ?出直してもいいんだが。」
「いえ、あわただしい要因を解決するためにもぜひ力を貸していただきたいのです。実は戻ってきてそうそうで申し訳ないのですが、遅くても明後日にもドーパーへの派遣依頼を受けてほしいのです。」
「ドーパー?あの港町にはカレントとドラドが向かったはずだ。あいつらがしくじるとは思えないんだが。」
ドーパーってどっかで聞いたことがある気がしたのにすぐ思い出せなかった。けど、ガロがすぐに反応して思い出した。水龍とドラドさんが向かった派遣先だ。港町ってことは海に面してるってことだよね。
「彼らの依頼はすでに終了しています。ですがその問題のせいでいまだに帰還できない状態なのです。」
「なるほど、詳しく聞かせてくれ。」
「はい。彼らの依頼はクラーケンの討伐。吸盤の色が赤の個体を見かけたようなのであの町のギルド員では対処できない可能性を考え二人が派遣されました。」
クラーケンって確かよく出てくるでかいイカの化け物のことだよね。吸盤が赤ってなんか意味があるんだろうか?
「なるほど、それで?」
「クラーケンは討伐されましたが、ドーパー近くにクラーケンがいた理由、それがリヴァイアサンだったのです。」
「まさか、リヴァイアサンが港近くにいついちまったのか?」
「その通りです。どうやら追ってついて来てしまったようですね。」
リヴァイアサンって、ゲームやアニメ、小説でも有名なやつだ。出てくる作品でいろんな姿をしてるけど、たいていどの作品でも相当やばい存在として君臨してる。
「つまり、俺への依頼はリヴァイアサンの討伐か。確かにカレントにはすこし荷が重いだろうな。だがドラドさんがいるだろ?」
「確実に討伐できるとは言えないと支援要請されたのです。ちょうどあなたが帰還してよかった。あなたとカレントはリヴァイアサンを討伐したことがある。経験者ならば安心できます。」
「他にも経験者はいるだろ。何よりドーパーのギルドマスターを動かしてもいい。」
「今のところ町そのものへの被害はありません。漁業への被害のみです。」
「動けねぇってわけか。町を守る方が優先だもんな。」
どういうわけかは知らないけどギルドマスターは簡単には動いちゃいけないようだ。ちらりとガロが僕のことを見る。どうするかって聞いて来てる目だ。
「ガロが決めていいよ。僕はまだまだ分からないこと多いし。」
「そうか、なら仕方ない。受けよう。ただし、出発は明後日の朝だ。」
「助かります。ですが、キオ君を連れて行くのですか?」
「あぁ、インフィリアで俺のパートナーだとネズミに目をつけられた。俺のそばにおいておけばある程度は安心だが、こんなすぐに一人にするのはな。」
リヴァイアサンもどんな相手かわからなくて怖いけど、インフィリアで起きたことのほうが起こったことだからこそ怖い。今一人で待つのはできれば勘弁願いたいところだ。
「なるほど、インフィリアのことは、あまり私たちも関与できないことで申し訳ありません。こちらがハーバーへの転移石です。今回は受付で正式に受ける必要はありません。こちらで処理します。もちろんきちんと報酬も払うのでご安心を。」
「そこに関しちゃ不安はない。忙しいようだし、失礼しよう。」
「たびたびですが、お受けいただきありがとうございます。」
かなり深々とお辞儀したけど、僕たちが振り向くよりも早く資料あさりを再開した。リヴァイアサン以外にも何か起こってるんだろうか?それは僕の知るところではないんだろうけど。
さっさと村を出て転移してきたのは王都の大教会。ここまで転移してくれば、とりあえず一安心。あの屋敷をでてからずっと静かだったガロも大きくため息をついた。
「はぁ、やっと一息付けるな。」
「そうだね・・・」
いろいろインフィリアには思うところもあったけど帰ってこれたんだ。ここらで伸びでもしたいけど、後ろがつっかえるといけないので歩き始めると、すぐにガロが話しかけてくる。
「それにしてもあのデブ竜、俺たちが何も言ってこないのを相当イラついていたな。」
「え?そうなの?全然気づかなかった。ならあのネズミについて言及してもよかったんじゃない?」
「つついてやってもよかったがどうせ白を切られるだけだ。」
「それもそうか。」
もしあのままガロが間に合ってなかったら、僕もあの屋敷でメイド服を着て働かされたりしていたんだろうか。いや、働くっていうより、性奴隷として扱われてたか。
「だが少し困ったな。キオが目をつけられたことに変わりはない。インフィリアに行かなければ昨日のような直接的な手出しはできないだろうが、他のネズミがいる街にも情報は広まっただろうな。」
「え、そ、そうなの?」
「あぁ。それにあのデブ竜もすでに新しいネズミを補充したはずだ。魔素感知でも気配は感じなかったが、おそらくあの部屋にいただろうな。」
「ガロでも気配がわからないようなやつがいるの?それ、外で襲われたらどうすれば・・・」
「襲う瞬間には必ず気配が出る。じっと見られているだけではわからなくてもな。実際、キオも襲われたときそうだったんじゃないか?」
思い出したくはなかったけど、確かにあの黒い鼠が宿に現れたとき、相手が鼠だとはわからなくとも黒い何かがいるっていうのはわかった。
「確かに鼠種だとすぐにはわからなかったけど、なんかいるってのはわかったよ。」
「ま、そういうことだな。俺も思い出したくもないが、あのキオがとらえられてた部屋に黒い布が落ちていただろ?あれがおそらく気配を消す魔道具だな。」
「そういえば、あれ、回収してなかったよね?いいの?」
「触れない方がいいだろうな。ネズミが使う魔道具には所有者以外が触れつづけたら毒に犯すものが多い。そうして弱らせ、他のネズミが仕事を完了させるのさ。」
「こ、怖いことするんだね。」
「あぁ、自身の命を何とも思っていないようなやつらだ。」
その時のギリっと軽く歯を慣らすガロがかなり印象的だったけど、ほんの一瞬で、そのあとは他愛ない話をしつつギルドにと到着して受付にと並んだ。だけど自分たちの番になって報告だけというわけにはいかなかった。
「ガロ様ですね。グランドマスターがお呼びです。お手数ですがパートナーとご一緒にグランドマスタールームまで足を運んでいただけますか?」
「この短期間に二回目の呼び出しか。まぁあの人の呼び出しなら受けないわけにはいかないな。」
報告したら王都の家でゆっくりできると思ってたのに、思わぬ誤算だったけど、ギルドで一番偉い人からの呼び出しなんだ。僕も呼び出されてるから、もしかしてこの間みせて紙に映したスマホの画像のことかな?
そんな風に軽く考えながらマスタールームをガロがノックして中に入ると、何やら二人ともあわただしく執務室のほうの背後にある書籍棚を整理していた。でもすぐにセリスさんがこちらに気が付いて近寄ってくる。
「あぁ、来てくれましたかガロ。ディバン、私から話すのでよろしいですか?」
「あぁ構わねぇ!俺様も忙しい。」
「あわただしいが、何の用だ?出直してもいいんだが。」
「いえ、あわただしい要因を解決するためにもぜひ力を貸していただきたいのです。実は戻ってきてそうそうで申し訳ないのですが、遅くても明後日にもドーパーへの派遣依頼を受けてほしいのです。」
「ドーパー?あの港町にはカレントとドラドが向かったはずだ。あいつらがしくじるとは思えないんだが。」
ドーパーってどっかで聞いたことがある気がしたのにすぐ思い出せなかった。けど、ガロがすぐに反応して思い出した。水龍とドラドさんが向かった派遣先だ。港町ってことは海に面してるってことだよね。
「彼らの依頼はすでに終了しています。ですがその問題のせいでいまだに帰還できない状態なのです。」
「なるほど、詳しく聞かせてくれ。」
「はい。彼らの依頼はクラーケンの討伐。吸盤の色が赤の個体を見かけたようなのであの町のギルド員では対処できない可能性を考え二人が派遣されました。」
クラーケンって確かよく出てくるでかいイカの化け物のことだよね。吸盤が赤ってなんか意味があるんだろうか?
「なるほど、それで?」
「クラーケンは討伐されましたが、ドーパー近くにクラーケンがいた理由、それがリヴァイアサンだったのです。」
「まさか、リヴァイアサンが港近くにいついちまったのか?」
「その通りです。どうやら追ってついて来てしまったようですね。」
リヴァイアサンって、ゲームやアニメ、小説でも有名なやつだ。出てくる作品でいろんな姿をしてるけど、たいていどの作品でも相当やばい存在として君臨してる。
「つまり、俺への依頼はリヴァイアサンの討伐か。確かにカレントにはすこし荷が重いだろうな。だがドラドさんがいるだろ?」
「確実に討伐できるとは言えないと支援要請されたのです。ちょうどあなたが帰還してよかった。あなたとカレントはリヴァイアサンを討伐したことがある。経験者ならば安心できます。」
「他にも経験者はいるだろ。何よりドーパーのギルドマスターを動かしてもいい。」
「今のところ町そのものへの被害はありません。漁業への被害のみです。」
「動けねぇってわけか。町を守る方が優先だもんな。」
どういうわけかは知らないけどギルドマスターは簡単には動いちゃいけないようだ。ちらりとガロが僕のことを見る。どうするかって聞いて来てる目だ。
「ガロが決めていいよ。僕はまだまだ分からないこと多いし。」
「そうか、なら仕方ない。受けよう。ただし、出発は明後日の朝だ。」
「助かります。ですが、キオ君を連れて行くのですか?」
「あぁ、インフィリアで俺のパートナーだとネズミに目をつけられた。俺のそばにおいておけばある程度は安心だが、こんなすぐに一人にするのはな。」
リヴァイアサンもどんな相手かわからなくて怖いけど、インフィリアで起きたことのほうが起こったことだからこそ怖い。今一人で待つのはできれば勘弁願いたいところだ。
「なるほど、インフィリアのことは、あまり私たちも関与できないことで申し訳ありません。こちらがハーバーへの転移石です。今回は受付で正式に受ける必要はありません。こちらで処理します。もちろんきちんと報酬も払うのでご安心を。」
「そこに関しちゃ不安はない。忙しいようだし、失礼しよう。」
「たびたびですが、お受けいただきありがとうございます。」
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