そこは獣人たちの世界

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第三章

昇格試験説明

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当然のごとくこの10日間はきつい特訓だった。いや、昨日だけは特訓はマシだったけど、3日は会えないんだからとかなり濃いめの行為だったから体の負担的には同じくらいだろう。とはいえ次の日に疲れが残ってないのは狼種の体のいいところだ。
ギルドにつくとすでに待機してる人がちらほらといる。これでも10分前には来てる。しかも元の世界と違って1000秒まえってことになるからかなり時間の余裕はあるはずだ。
それにしてもみんな武装がすごいな。大きいリュックしょってる人も何人かいるし、全身鎧の人までいる。種族も犬と猫が多いけど、馬、牛、羊に鳥とか蜥蜴とかほんといろんな種族がいる。
少しだけこっちに目線を向けてきてる人もいたけど、僕以外にもすぐに後ろから同じように試験を受けるっぽい狼種の人が入ってきて、入り口横で止まってた僕を越していった。そっちに目が行ったから僕への目線はすぐになくなった。
黒とか灰いうよりも青っぽい毛並みの人だったけど、壁際に陣取ってもたれかかった。僕も真似して壁際に陣取るけど、壁にもたれかかったりはしないでおこう。
そのあとも試験を受けるために待つ人はどんどん増えていく。もちろん普通に受付のほうに行く人も入ってくる。あぁなるほど、人を吟味するというよりも人を見て暇をつぶしてたのかもしれないな。意外と退屈せずに6時まで待てた。壁掛け時計なはずの大きめの時計を持ったブルドックっぽい犬種の人が僕たちが集まる方にときた。

「諸君、Cランク昇格試験をこれより始める。」

「ま、待ってください!」

試験官だと思われる時計を持った犬種の人の後ろからチワワみたいな犬種の人が声をかける。多分昇格試験を受付した人なんだろう。

「なんだ?君も昇格試験の参加者か?」

「そ、そうです!よかった、間に合った・・・」

「間に合ってないぞ。ギルドに入った時間10秒も遅刻だ。」

「そ、そんな!い、いやでも!そのくらいは誤差じゃないですか!」

「時間という概念に慣れていないのはわかるが、今後重要視されていくのはわかるだろう?試験という重要な者に少しでも遅れるようなものにCランクは与えることはできない。今回は諦めろ。」

「わ、わかりました・・・」

後ろを振り返って入ってきた受験者に向かって時計を指さしながら説明している様子は、後ろから見ているのだけなのに威圧感がすごい。でも関係ない僕が威圧されてもしょうがない。すごすごと少し遅れただけの人は帰っていった。

「改めて、試験官の一人、マーシャルだ。試験内容の説明と転移の役割を担う。ギルド役員でAランクになれば同じ役割を行うかもしれないので覚えておくといいだろう。」

今後のギルド役員の育成も兼ねているのか。なるほど、表情の練習はそっちの意味もあるのか。ギルド役員って結構色んな人と絡みそうだもんね、さっき帰った受験者みたいなのとも。

「さて、今回の試験はタピス森で行う。そちらで試験官の犯罪者役を務めるギルド役員を見つけ出すところから始める。犯罪者役の試験官はこの緑のフードをかぶり、盗難品設定であるこの金とサファイアの腕輪を右手首に装備している。」

フードのほうはゲームやアニメでシーフがよく着てるような頭から腰まであるちょっと色の濃い緑色をした普通のフード、リングのほうは青いサファイアが金のリングに3つくっついてる、よーく僕たちに見せているってことは偽物っぽいのも用意してるぞってことなんだろう。

「今ので気づいたものもいるだろうが、仲間の設定である試験管が似たような恰好をしているわけだ。彼らに接近するのは許可するが、戦闘および捕縛をするのは許可しない。本来は仲間に接近されたと気づかれれば首謀者に逃げられる恐れがあるからだ。」

まぁ、それはそうだろうね。全く痕跡なしに戦闘、捕縛するほどの腕があるなら別だろうけど、普通なら相手がどういう連絡手段を持っているかわからない。金品窃盗首謀者意外に下手に触れるのは危険だろう。

「それでも接触を許可するのは今回が試験であるためだ。かなり見極めづらい恰好をしている者もいるが、先制などせず、接近から試みるように。今回の試験は首謀者に接近し説得することだからだ。初めから戦闘するのではない。そのあたりは注意するように。」

本当の窃盗者相手なら容赦なく仲間全員捕縛がセオリーだろうけど、人を死なせてないとか武器のたぐいの所持はないとか、いろいろ理由をもって説得する依頼が来る可能性がないわけじゃないとガロも言ってた。

「今回は試験なので首謀者の恰好をしたものが10名、似た格好のものが40名配置されている。首謀者を説得できなかった場合は相手が攻撃してきたのを受けることで戦闘になるが、その場合は首謀者役の試験官が合格を言い渡すまでの戦闘となる。」

まぁ確実に戦闘になるよってことだよね。でも絶対にこちらから先制せず、相手が敵意をもって攻撃してくるまでは手出ししちゃいけないってのがこの試験のきついところのひとつだろう。

「期間は5日間、終了までに棄権する場合は誰でもいいので試験官を頼るように。当然森では同じ試験を受ける冒険者の仲間とであうだろう。接触は禁止しない。森には魔物もいる、魔物の危険度は低いが苦戦しているところを見かけたならある程度の連携は認める。ただし、試験管への接触は一人で行いのが条件だ。またずっとともに行動するというようなこともないように。」

この試験はソロの試験だということを強調しつつも、苦戦を見かけたら助けるようにともいうけど、危険度が低いといわれて手伝ってもらうような失態はCランクにふさわしくないと落とされそうだ。

「以上だ、質問があるものがいなければ転移陣を発動する。跳ぶ先はタピスの森の手前の草原だ。」

「あのすいません。試験期間5日といいましたか?その間の食料は?」

「当然自己調達だ。事前準備をしている者もいるのが見えるだろう?」

「そ、そうですか。すいません。棄権します。」

緑と青の羽毛をもつ鳥種の人が食料の質問の後棄権してギルドを出ていった。それにつられて2,3人出ていく。僕はリュックをしょってないけど、マジックポーチを買ってもらってそこに食料がある。でも先の人はポーチはしてたけど、マジックポーチじゃなかったんだろうな。

「他に棄権者も質問者もいないようだな。では転移する。光った陣に乗るように。」

そういってマーシャルさんが右手を突き出すと同時に、壁際でもさらに隅にいた人たちの4人が両手を同じように突き出す。そして床に教会でいたような魔方陣が浮かび上がる。どうやら魔力補助薬みたいだけど、同じ受験者だとおもってた。青っぽい狼の人は壁から離れて魔方陣にと乗ってたから受験者のようだ。僕も陣にと乗ると少しして視界が白く染まり、そして次の瞬間には目の前一面に森が広がっていた。
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