そこは獣人たちの世界

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第三章

塔45階へ

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ニラと豚肉を炒めただけの肉料理だったけど、食べたらかなり元気が出てきた。日はかなり傾いちゃったけど、今日が終わるまではまだ10時間以上ある。まぁ一日40時間だからね。そうじゃなければ途中でとっくに一日過ぎてる。
そういえばこの世界に来た当初からそうだったはずなんだけど、時計ができる前からあんまり時間が長いって意識がなかったんだよね。そして時計のある今でも一日40時間を長いとはあまり感じない。むしろもう慣れすぎているせいか足りないくらいにも感じる。
まぁ時間が足りなくてもしょうがない。ガロのところにつくまでは眠気すら来ない。たとえ強を過ぎたって登り切って見せる。だけど、できうる限り今日中に制覇してやりたい。この陰湿な塔を一日で僕みたいなまだまだな冒険者に登りきられれば、てっぺんにいるだろう貴族も悔しがるだろう。まぁ、ますます罠がやばくなる可能性も否めないけど。
でも39階が今までの総集編みたいな部屋だったけど、この先はどうなってるんだ?まぁ見ればわかるか。さっさと上っていこう。そうして41階につくと、一面が腰ほどの高さのある草むらになっていた。

「今度は草原?なんの罠って、あれ?」

階段を上り切ったら背後に壁ができていた。いや、壁というよりもこれはギルド地下の訓練所とおなじ障壁だ。よく見れば向こうの登るための階段にも壁ができてる。そして草原には何かがうごめいている。

「あれを倒すまでは進ませない、てきなことかな?」

魔素感知を広げると3匹の反応が散り散りに動いてるのがわかる。この反応、多分ホーンラビットだ。スモールよりは大きいけど、戦ったことのある相手でそんな強い魔物ってわけでもない。
追えば逃げる相手とはいえ、あれを3匹倒すだけでいいならここまでの罠に比べて簡単すぎる。この草むらに何か仕掛けがあるかもしれない。そう思って足元に警戒しつつも新たに買い足したハンガーソードを握る。
ガロに買ってもらったハンガーは壊れたままポーチで眠っている。このハンガーソードは僕のお金で買ったから少し劣るけど角兎くらいならば何の問題もない。結局罠の警戒も無意味に3体狩ればあっけなく障壁が解除された。

「ほ、ほんとにこれだけ?でも消えちゃったか。」

魔物の核をつぶしたわけでもないのに死体が霧のように霧散して床に吸われるように消えていった。それ以外はあっけなさ過ぎて不安になりつつも、警戒は怠らずに42階へ。特に階段前も何もなくまっ直ぐ42階につく。また腰ほどの背の高い草むらだ。そして階段を上り切れば背後と向かう先の階段前に障壁が張られる。
また魔物がいるんだろうと魔素感知すると気配が三つ。兎よりも大きいのはわかるけど、この草むらに隠れる程度の大きさだ。ただ近づいていくと結構な速さで逃げていき、その姿がちらっと見える。スライネスフォックスか、一気に厄介な魔物になった。
基本的に角兎や飛来鶏みたいな自分よりも体格が小さく弱い相手しか狙わず、危険だと分かるととことん逃げ続ける。しかもかなり早いから足元を気にしてたら追いつけない。
これは勘だけど、兎のところでも罠らしき罠はなかった。ここからは純粋な魔物狩りの実力を見られるんだと思う。ハンガーソードを握る手が強くなる。万が一罠が出てきてもよけるしかない。だけど罠があるならそもそも逃げる狐にも反応しるだろう。兎くらいの大きさなら反応しないかもだけど。

「どっちにしても、いくしかないよね。」

覚悟を決めて一気に狐に詰め寄る。魔素纏いで身体強化していれば普通に追いつける程度の速さだ。角兎と違って追いつめても逃げ続けるのが狡狐だ。最後の一匹だけ部屋の隅に来てしまったけど、こうなったら僕の横を抜けるしかない。その瞬間を狙えばあっけなく仕留められる。
また死体は霧散して床に消えたけど、気合を入れた割にはといったところだ。この死体、まさか魔素になってまた蘇るようにしてる、とかなのだろうか?いや、この塔の仕組みはどうでもいいか。それよりも上へ上へだ。
43階につくと草の高さが胸元にまで伸びてきていた。一面に生えているせいでちょっと動きづらい。そういう方向で縛ってくるのかと思いつつ魔素感知を広げるけど、気配が感じられない?
いや、うっすらとだけどいる。草にまぎれて擬態してるようだ。もしかしてミミキュリーウィードスネークだろうか?狡狐と同様に直に戦ったことはないけど図鑑で見たことがある。それなら気を引絞めないといけない。
剣をいつでも薙ぎ払える体勢で気配に近づくと、草の影が急に蛇にとなりこちらにと牙を向ける。慌てず対処し切り伏せる。やっぱり擬態草蛇だったのか。角兎よりも危険で普通にこちらを襲ってくる。雑草に擬態していて見破れずに近づけば噛みつかれ毒が体を回るらしい。
一気に殺傷能力は高くなったけど、対処しきれない相手ではない。あと2匹も同じようにこちらから近寄り、襲ってきたところを切り伏せて霧散する死体を横目に進む。

「えぇ、じょうだんでしょ?あれと戦うのか。」

44階も胸ほどの草むらが一面に生え、そして部屋の真ん中に樹が生えている。愚痴りながらも魔素感知すると気配が部屋の真ん中にひとつだけ。つまりやっぱりあれと戦わなきゃいけないのか。
トレント系の相手、基礎のものが魔物となった姿だ。一度戦ったことがあるけど、ガロに魔法なしでたたかわされた時はかなり苦戦したもんだ。あぁでも今は別に魔法使ってもいいよね。問題はどういうトレントなのか見なきゃいけないから一度近づいて攻撃する必要があるんだけど。
樹の魔物なんだから火を使えばいいなんてことはない。何もしてないときは一見普通の緑の葉をつけた樹でも一度動き出すと葉がごうごうと燃え上がり一面を焼き付くフレイムトレントなんてのもいるくらいだ。
ほんとに見ただけではわからない。だからこそ安易に僕が魔法を使わないように武器だけでガロはたたかわせたんだろう。対処方法はわかってる。まずは一気に近づき一撃を与える。
ギチチチと歪な音を立てて樹が動き出す。緑だった葉の色は青に代わっていく。ウォータートレントか厄介な相手だ!そして枝を鞭のようにしならせてこちらに薙ぎ払ってくる。剣ではじきながら下がるけど、青くなった葉は完全に水となり、枝をふるい水を刃のような形にしてこちらに飛ばしてくる。

「水刃ならもっとすごいトレントがいたよ!」

飛んできた三つの水刃を切り裂いて僕自身に当たらないように防いでいると、今度はみずみずしくなった木が上下に動いている。何してるんだと一瞬思ったけど、同じようなことをフレイムトレントがしていたのを思い出す。

「水槍を降らせるきか!冗談じゃない!サンダーガン!」

さっきも思ったように剣だけで対応しなきゃいけないわけじゃない。さっさとサンダーガンを打ち込んだ。雷弾がトレントを貫いくと、バサバサしていた上下の動きをやめて、だらりとしおれていく。だけど打ち上げてた水の塊が部屋の天井に少し張り付いている。

「やばっ、ストーンバレットシールド!」

天井からザーザーぶりに水槍が降ってくる。ストーンバレットで防げない分は剣でも撃ち落とす。それほど長くやらせてないからすぐにやんだけど、えげつないことしてくるもんだ。水槍に対処しているうちにトレントも障壁も消えていた。45階は一応休憩スペースだけど、40階でしっかり休めてるしこのまま進もう。
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