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第三章
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「ほんじゃついてきぃや。」
「え?そっちは49階ですけど・・・」
「そりゃそうやろ。うちの生活スペースでできるわけない。下や下。」
まぁ普通に豪華そうな机や椅子があるところでやるよりはいいか。49階なら障壁もあるみたいだし。きっゴウさんなら自由にオンオフできたりするんだろう。降りて行っても勝手に障壁が出たりはしなかった。
「ん?なんでディバンまでついて来とんのや?」
「いやぁ、ゴウの稽古だなんて滅多にみられるものじゃないだろ?」
「まぁお前さんの立場じゃそうやろなぁ。でも端寄っとけよ?ガロとガディアもや。」
「心得ています。」
ガディアがちらっと僕のことを見たような気がしたけど、すぐに深くお辞儀して壁際にと寄っていった。ディバンさんもついていって壁際に寄るけど、ガロだけは一言残していく。
「キオのことよろしくお願いします
「おう、まかせとき。んじゃ、やるで?」
「はい、お願いします。」
そう言って武器を構えよう、と思ったけど、今手持ちの武器がないことに気が付く。あ、一応木剣なら持ってるんだった。かっこはつかないけど、ポーチから出して一応構えると、ゴウさんに微妙な顔をされる。
「なんで木剣なんや?普通の剣はどうした?」
「えっと、ガディアさんに折られてしまって・・・」
「折られたゆうても普通予備くらい、おっといかんな。まだCになったばっかやったか?Cランクになったなら予備の一本くらいは持っとくべきやが、Dだとその費用も難しいな。」
「我が主ゴウ様、もしかすると出来のいい剣ではなかったので、折ったのが予備だったのかもしれません。」
ガディアの言葉にフォローされたけど、別に予備ってわけじゃない。あり合わせで買ったようなものだった。でもここはちょっと乗っておこうかな?予備って思われた方が出来が良くないのを買った言い訳にできる。だってガロの視線がちょっと痛いんだもん。
「そうなんです。実はCランク昇給の時にメインの剣が折れてこの塔は予備の剣で攻略したんです。」
「ほぉ、予備の剣であれだけ動けるんやな。とりあえず木剣じゃあかん。キオ君にはこれや。」
「うぉ!?え、これって、ハンガーソード?」
ゴウさんが指パッチンすると同時に、僕のすぐ横の床が少し知らいて、そこからハンガーソードが出てくる。でもありあえあせのハンガーよりも、ガロの買ってくれたハンガーよりも、ちょっと刃が狭くて小さい。
「せや、キオくんの持ってたような大きいやつのほうが確かに剣だけの受け流しにはえぇ。だけどな、キオ君にはもう一つ、これを渡したいんや。」
再びゴウさんが指パッチンすると今度は左隣の床あたりが開いて、そこからはガディアが魔法で作ってたような丸みを帯びた小さめのバックラーのような盾が出てくる。もっともこれは皮と鉄っぽいので作られてる盾だけど。
「盾、ですか?」
「せや。盾で受け流すの主軸にするとえぇとおもう。これはガディアに盾を教えたからとかじゃなく、キオ君には盾のほうが合うと思ったからや。でも武器は剣が合うみたいやろ?それなら重さを減らし、形も小さめで片手で扱いやすい剣にするとえぇと思うんや。」
「そう、ですかね?」
「まぁ試してみぃや。ちなみにダマスク産の良質な鉄をどっちも使ってる。盾の皮張りはレッドキマイラのライオン部分を使ってるから魔素纏いさせればすさまじく丈夫だぞ?」
「おぉ・・・」
たしかダマスクってゴーレム系が近くに出る町でそのゴーレムから得る鉄素材が売りだったはずだ。良質なってことは結構強いタイプのアイアンゴーレムの鉄なんだろう。木剣はしまい込んで手に取ってみる。
片手ハンガーを握るけどその軽さにびっくりする。今までは普通に重みを感じてたけど、これは軽い。小さいのだけじゃなくて鉄自体が軽いってわかるくらいには軽い。盾のほうも裏側の持ち手部分を腕に括り付けて少し振り回すけど、ぜんぜん違和感がない。
「様になっとるやないか。んじゃ、いっぱつうけてみぃ。」
「え!?」
ゴウさんもいつの間にやら剣を取り出してて僕に向かって左側から振りかざしてて、思わずバックラーで受けると今までガロに剣で受け流すことしか習ってなかったのに、ほんとにびっくりするくらいすんなりと受け流せてしまった。驚いて目をパチパチさせてるとゴウさんがニカっといい顔になる。
「どや?言った通り盾が合うやろ?」
「ほんとに、そうみたいですね。」
「今度は受け流したら反撃も入れてみぃ。ちなみに、当たらんと思うから安心して打ち込んでこいや?」
「は、はい。」
すごい自信だけど、ガディアに槍を教えたのがゴウさんらしいから、ほんとにあたりゃしないんだろうと、左から打ち込まれた剣を受け流し、その体捌きのまま片手ハンガーを振りかぶる。ただかすりもしないであっさりとよけられた。
「武器が軽くなったおかげで振りは早くなったが、今までのリーチと思ったらあかん。それにまだ盾で受けて剣で攻撃の動きもぎこちない。どんどんやるで?」
「はい。」
今までのハンガーは確かに重みがあって威力はあったし、受け流したりもできたけど、振りに関しては遅かったようだ。この片手ハンガーでは全然振りの速さが違う。威力面ではおちたかもしれないけど当てやすあの面では一気に飛躍しただろう。
そして受け流すには心もとなくなったけど、今まで剣を両手持ちして受け流していたのが左手の盾だけで受けながせる。右手が完全にフリーなわけだ。剣でつくもよし、魔法に移るもよし、今までよりもがぜん戦いやすくなった。
そうはいっても打ち込んでくるゴウさんの動きは単調に見えてちゃんと僕が受け流せるぎりぎりのラインで攻撃してきてるようで、反撃への流れを何度も何度も、ときには腕を掴んできて「こうや!」ってやられながら練習させられたのだった。
「え?そっちは49階ですけど・・・」
「そりゃそうやろ。うちの生活スペースでできるわけない。下や下。」
まぁ普通に豪華そうな机や椅子があるところでやるよりはいいか。49階なら障壁もあるみたいだし。きっゴウさんなら自由にオンオフできたりするんだろう。降りて行っても勝手に障壁が出たりはしなかった。
「ん?なんでディバンまでついて来とんのや?」
「いやぁ、ゴウの稽古だなんて滅多にみられるものじゃないだろ?」
「まぁお前さんの立場じゃそうやろなぁ。でも端寄っとけよ?ガロとガディアもや。」
「心得ています。」
ガディアがちらっと僕のことを見たような気がしたけど、すぐに深くお辞儀して壁際にと寄っていった。ディバンさんもついていって壁際に寄るけど、ガロだけは一言残していく。
「キオのことよろしくお願いします
「おう、まかせとき。んじゃ、やるで?」
「はい、お願いします。」
そう言って武器を構えよう、と思ったけど、今手持ちの武器がないことに気が付く。あ、一応木剣なら持ってるんだった。かっこはつかないけど、ポーチから出して一応構えると、ゴウさんに微妙な顔をされる。
「なんで木剣なんや?普通の剣はどうした?」
「えっと、ガディアさんに折られてしまって・・・」
「折られたゆうても普通予備くらい、おっといかんな。まだCになったばっかやったか?Cランクになったなら予備の一本くらいは持っとくべきやが、Dだとその費用も難しいな。」
「我が主ゴウ様、もしかすると出来のいい剣ではなかったので、折ったのが予備だったのかもしれません。」
ガディアの言葉にフォローされたけど、別に予備ってわけじゃない。あり合わせで買ったようなものだった。でもここはちょっと乗っておこうかな?予備って思われた方が出来が良くないのを買った言い訳にできる。だってガロの視線がちょっと痛いんだもん。
「そうなんです。実はCランク昇給の時にメインの剣が折れてこの塔は予備の剣で攻略したんです。」
「ほぉ、予備の剣であれだけ動けるんやな。とりあえず木剣じゃあかん。キオ君にはこれや。」
「うぉ!?え、これって、ハンガーソード?」
ゴウさんが指パッチンすると同時に、僕のすぐ横の床が少し知らいて、そこからハンガーソードが出てくる。でもありあえあせのハンガーよりも、ガロの買ってくれたハンガーよりも、ちょっと刃が狭くて小さい。
「せや、キオくんの持ってたような大きいやつのほうが確かに剣だけの受け流しにはえぇ。だけどな、キオ君にはもう一つ、これを渡したいんや。」
再びゴウさんが指パッチンすると今度は左隣の床あたりが開いて、そこからはガディアが魔法で作ってたような丸みを帯びた小さめのバックラーのような盾が出てくる。もっともこれは皮と鉄っぽいので作られてる盾だけど。
「盾、ですか?」
「せや。盾で受け流すの主軸にするとえぇとおもう。これはガディアに盾を教えたからとかじゃなく、キオ君には盾のほうが合うと思ったからや。でも武器は剣が合うみたいやろ?それなら重さを減らし、形も小さめで片手で扱いやすい剣にするとえぇと思うんや。」
「そう、ですかね?」
「まぁ試してみぃや。ちなみにダマスク産の良質な鉄をどっちも使ってる。盾の皮張りはレッドキマイラのライオン部分を使ってるから魔素纏いさせればすさまじく丈夫だぞ?」
「おぉ・・・」
たしかダマスクってゴーレム系が近くに出る町でそのゴーレムから得る鉄素材が売りだったはずだ。良質なってことは結構強いタイプのアイアンゴーレムの鉄なんだろう。木剣はしまい込んで手に取ってみる。
片手ハンガーを握るけどその軽さにびっくりする。今までは普通に重みを感じてたけど、これは軽い。小さいのだけじゃなくて鉄自体が軽いってわかるくらいには軽い。盾のほうも裏側の持ち手部分を腕に括り付けて少し振り回すけど、ぜんぜん違和感がない。
「様になっとるやないか。んじゃ、いっぱつうけてみぃ。」
「え!?」
ゴウさんもいつの間にやら剣を取り出してて僕に向かって左側から振りかざしてて、思わずバックラーで受けると今までガロに剣で受け流すことしか習ってなかったのに、ほんとにびっくりするくらいすんなりと受け流せてしまった。驚いて目をパチパチさせてるとゴウさんがニカっといい顔になる。
「どや?言った通り盾が合うやろ?」
「ほんとに、そうみたいですね。」
「今度は受け流したら反撃も入れてみぃ。ちなみに、当たらんと思うから安心して打ち込んでこいや?」
「は、はい。」
すごい自信だけど、ガディアに槍を教えたのがゴウさんらしいから、ほんとにあたりゃしないんだろうと、左から打ち込まれた剣を受け流し、その体捌きのまま片手ハンガーを振りかぶる。ただかすりもしないであっさりとよけられた。
「武器が軽くなったおかげで振りは早くなったが、今までのリーチと思ったらあかん。それにまだ盾で受けて剣で攻撃の動きもぎこちない。どんどんやるで?」
「はい。」
今までのハンガーは確かに重みがあって威力はあったし、受け流したりもできたけど、振りに関しては遅かったようだ。この片手ハンガーでは全然振りの速さが違う。威力面ではおちたかもしれないけど当てやすあの面では一気に飛躍しただろう。
そして受け流すには心もとなくなったけど、今まで剣を両手持ちして受け流していたのが左手の盾だけで受けながせる。右手が完全にフリーなわけだ。剣でつくもよし、魔法に移るもよし、今までよりもがぜん戦いやすくなった。
そうはいっても打ち込んでくるゴウさんの動きは単調に見えてちゃんと僕が受け流せるぎりぎりのラインで攻撃してきてるようで、反撃への流れを何度も何度も、ときには腕を掴んできて「こうや!」ってやられながら練習させられたのだった。
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