270 / 303
第三章
ゴウからの依頼
しおりを挟む
盾と剣という言われてみればオーソドックスな戦い方をゴウさんから学び終えて再び50階の部屋にと戻る。それなりには疲れたけど、ガロほどスパルタというわけでもなかった。というかガロのは疲れるまでぶっとおしでガンガンやるって感じだったけど、ゴウさんは一つ一つの動きをゆっくり覚えさせてくれた。
まぁ元々50階まで登ってきた疲労を考慮してくれてるのと、教えてくれる時間がそんなに長くなかったのもあってガロほどじゃないと感じただけなのかもしれないけど。
「いかんいかん、つい熱狂してもうた。」
「あの、盾と剣はほんとにもらっちゃっていいんですか?」
「かまへん、それなりにいいもんだから今度は壊さんようにな?」
「は、はい。」
結局訓練で使ったハンガーソードとバックラーのどちらも譲り受けてしまった。後でガロに買ってもらわなきゃと思ってたけど、もらっちゃっていいんだよね?ガロに目配せしたら諦めるように軽くうなずいてた。
「そんで本題に入ろうか。」
「聖都への遠征依頼ですね。ほんとに俺達が受けていいんでしょうか?」
「まぁキオ君の様子を見るに問題ないだろ。俺様からも頼む。」
「え?聖都への遠征依頼?」
確かめったに聖都の遠征依頼はないって聞いてたんだけど、まさかこれはチョコレートを買う機会が巡ってきたってこと?いや、それよりもSSランクで貴族でもあるゴウさんからの依頼だから警戒するべき?
「あぁ、うちが聖都みたいな大きいとこに動くとなると貴族として動かにゃいけなくなる。冒険者としての活動はできん。だがことがことだけにSランクで遠征慣れしてるやつがほしかった。そしたら今までAだったはずのガロがSになってるゆうから、実力確認がてら呼び出したっちゅうわけや。」
「それにしても、本当なんですか?ドラゴンが出たっていうのは?」
「あぁ、残念ながら事実だ。聖都のギルド連中もそのせいで気が立ってる。」
「え?ドラゴン?」
僕が48階で戦ったようなキマイラなんて目じゃない。リヴァイアサンと並ぶ危険な魔物だ。種類によってはリヴァイアサンよりも危険だってのも知ってる。そんなのを倒しに行くってこと、なんだろうか。まぁガロはリヴァイアサンとも戦えるんだからそういう依頼も来るか・・・
「せや、聖都の西にあるマジェスティックマウンテンに飛んでくでかい影を何度も確認しとる。完全にあの山が根城になっとるみたいやな。」
「今のところ聖都自体に被害はない。いや、むしろ聖都がもっと危険ならレヴィーアが動けるんだが、あえて聖都を避けるように飛んでるらしくてな。」
「えっと、それならわざわざ討伐しなくてもいいのでは?」
「もっともな意見やな。問題はその山が聖都の教会連中にとっちゃ神聖な山っちゅうことや。そんで依頼がドラゴン討伐やなくてなんで住み着いたかの調査ってことになっとる。下手に刺激すれば聖都にも影響が出るからな。」
「そうなったらレヴィーアが対応するだろうけど、死人も出るだろうからね。慎重な調査をできるやつが生徒にいないってわけじゃないんだが、自分のところが絡むとはやり情が出やすいもんで、戦闘になる可能性が高い。だから内密にゴウが動いて遠征依頼を出すってわけだ。」
「なるほど・・・」
結構面倒そうな事情にガロが巻き込まれたってわけか。実力確認したって言ってたし、ガロとゴウさんで模擬戦でもしたんだろうか?それにしては3日の拘束は長い気もするけど。
「ガロのパートナーであるキオ君の実力も見れた。Cランクとは思えないくらいの実力や。ガロの補助があれば問題ないやろ。」
「・・・そうだな。まぁキオ君の実力も見れちゃったし、しょうがない。」
「えっと、しょうがない?」
「きにするな。後で話す。それではゴウさん。遅いですが失礼します。」
「なんや、もう一泊くらい知っててもええで?別にベット汚したってかまわへんし。」
「・・・失礼します。」
「ガロ様、案内いたします。こちらへどうぞ。キオ君も。」
ガディアに案内されて部屋の隅の黒い水晶の魔道具にと寄りつつ、そういえばタイミングが悪いとかディバンさんが言ってたのを思い出す。もしかして僕がきちゃったから聖都への遠征が完全に決まったって感じなのかな?そうだとすれば喜ぶことでは、無いんだろうな。
ガディアが水晶に手をかざすと、視界が一瞬暗転するけど、すぐに別の階にと移動したのがわかる。外に続く扉もあるし、ここ一階か。なるほど、こうやて簡単に移動できるってわけか。
「見送りはここまででいい。あとは転移石で帰るからな。」
「そうですか。ではお気をつけて。」
ガディアはそういって僕たちから少し離れて深くお辞儀すると、足元から立ち上った黒い光に包まれて一瞬で姿を消した。転移するところってあんな風に見えるんだ。いや、この塔の転移が特殊なのかもだけど。
「んじゃ、俺たちも帰るぞ。帰って寝たら剣と盾の特訓の続きだ。確かにゴウさんの教えもよくかなり上達したようだが、まだまだ荒い。もっとしごいてやる。」
「え、えっと、おてやわらかに。」
なんかガロがイラついてるような雰囲気を感じつつ、転移石での移動のために手をつなぐ。明日からの特訓が確定したけど、ガロとこうして手を繋げてるだけで、なぜか安心してしまってる僕もいるんだよなぁ。
まぁ元々50階まで登ってきた疲労を考慮してくれてるのと、教えてくれる時間がそんなに長くなかったのもあってガロほどじゃないと感じただけなのかもしれないけど。
「いかんいかん、つい熱狂してもうた。」
「あの、盾と剣はほんとにもらっちゃっていいんですか?」
「かまへん、それなりにいいもんだから今度は壊さんようにな?」
「は、はい。」
結局訓練で使ったハンガーソードとバックラーのどちらも譲り受けてしまった。後でガロに買ってもらわなきゃと思ってたけど、もらっちゃっていいんだよね?ガロに目配せしたら諦めるように軽くうなずいてた。
「そんで本題に入ろうか。」
「聖都への遠征依頼ですね。ほんとに俺達が受けていいんでしょうか?」
「まぁキオ君の様子を見るに問題ないだろ。俺様からも頼む。」
「え?聖都への遠征依頼?」
確かめったに聖都の遠征依頼はないって聞いてたんだけど、まさかこれはチョコレートを買う機会が巡ってきたってこと?いや、それよりもSSランクで貴族でもあるゴウさんからの依頼だから警戒するべき?
「あぁ、うちが聖都みたいな大きいとこに動くとなると貴族として動かにゃいけなくなる。冒険者としての活動はできん。だがことがことだけにSランクで遠征慣れしてるやつがほしかった。そしたら今までAだったはずのガロがSになってるゆうから、実力確認がてら呼び出したっちゅうわけや。」
「それにしても、本当なんですか?ドラゴンが出たっていうのは?」
「あぁ、残念ながら事実だ。聖都のギルド連中もそのせいで気が立ってる。」
「え?ドラゴン?」
僕が48階で戦ったようなキマイラなんて目じゃない。リヴァイアサンと並ぶ危険な魔物だ。種類によってはリヴァイアサンよりも危険だってのも知ってる。そんなのを倒しに行くってこと、なんだろうか。まぁガロはリヴァイアサンとも戦えるんだからそういう依頼も来るか・・・
「せや、聖都の西にあるマジェスティックマウンテンに飛んでくでかい影を何度も確認しとる。完全にあの山が根城になっとるみたいやな。」
「今のところ聖都自体に被害はない。いや、むしろ聖都がもっと危険ならレヴィーアが動けるんだが、あえて聖都を避けるように飛んでるらしくてな。」
「えっと、それならわざわざ討伐しなくてもいいのでは?」
「もっともな意見やな。問題はその山が聖都の教会連中にとっちゃ神聖な山っちゅうことや。そんで依頼がドラゴン討伐やなくてなんで住み着いたかの調査ってことになっとる。下手に刺激すれば聖都にも影響が出るからな。」
「そうなったらレヴィーアが対応するだろうけど、死人も出るだろうからね。慎重な調査をできるやつが生徒にいないってわけじゃないんだが、自分のところが絡むとはやり情が出やすいもんで、戦闘になる可能性が高い。だから内密にゴウが動いて遠征依頼を出すってわけだ。」
「なるほど・・・」
結構面倒そうな事情にガロが巻き込まれたってわけか。実力確認したって言ってたし、ガロとゴウさんで模擬戦でもしたんだろうか?それにしては3日の拘束は長い気もするけど。
「ガロのパートナーであるキオ君の実力も見れた。Cランクとは思えないくらいの実力や。ガロの補助があれば問題ないやろ。」
「・・・そうだな。まぁキオ君の実力も見れちゃったし、しょうがない。」
「えっと、しょうがない?」
「きにするな。後で話す。それではゴウさん。遅いですが失礼します。」
「なんや、もう一泊くらい知っててもええで?別にベット汚したってかまわへんし。」
「・・・失礼します。」
「ガロ様、案内いたします。こちらへどうぞ。キオ君も。」
ガディアに案内されて部屋の隅の黒い水晶の魔道具にと寄りつつ、そういえばタイミングが悪いとかディバンさんが言ってたのを思い出す。もしかして僕がきちゃったから聖都への遠征が完全に決まったって感じなのかな?そうだとすれば喜ぶことでは、無いんだろうな。
ガディアが水晶に手をかざすと、視界が一瞬暗転するけど、すぐに別の階にと移動したのがわかる。外に続く扉もあるし、ここ一階か。なるほど、こうやて簡単に移動できるってわけか。
「見送りはここまででいい。あとは転移石で帰るからな。」
「そうですか。ではお気をつけて。」
ガディアはそういって僕たちから少し離れて深くお辞儀すると、足元から立ち上った黒い光に包まれて一瞬で姿を消した。転移するところってあんな風に見えるんだ。いや、この塔の転移が特殊なのかもだけど。
「んじゃ、俺たちも帰るぞ。帰って寝たら剣と盾の特訓の続きだ。確かにゴウさんの教えもよくかなり上達したようだが、まだまだ荒い。もっとしごいてやる。」
「え、えっと、おてやわらかに。」
なんかガロがイラついてるような雰囲気を感じつつ、転移石での移動のために手をつなぐ。明日からの特訓が確定したけど、ガロとこうして手を繋げてるだけで、なぜか安心してしまってる僕もいるんだよなぁ。
11
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる