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第三章
クッキーリベンジ
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ゴウさんから借りた家の設備を使わせてもらってさっそくお菓子作りを始める。といっても簡単なチョコチップクッキーみたいなものだけど、お昼前だし凝りすぎてもしょうがないよね。そのためにもまずは買ってきたミルクのチョコをいきなり細かく刻んでいく。
「おいキオ、それ、そんな風にくだいちまうのか?」
「え?うん、こうしないと作りたい形に変えられないからね。」
「そ、そうか。」
もしかしてガロはチョコレートを使った料理やお菓子、ぜんぜん食べたことないのかな?そういえばお菓子のことに食いついて来てたし、そもそもで作ってるお店がない可能性もある?
思えばクッキーなんてシンプルなつくりだけどどこかで売ってるところを見たことない。あ、でも待った。そもそもで料理店に入ったことがこの世界に来て一度もない。ずっと僕が作ってるや。
「ねぇガロ、そういえば僕はこっちで料理をだすようなお店に入ってないんだけど、こういうお菓子とか売ってたりしないの?」
「そういえばそうだな。お菓子については俺はジャムしか知らないが出す店もあるんじゃないか?だがキオの作る飯のほうが圧倒的にうまいぞ?それでもどうしてもというならこの聖都ならいい店があるだろう、一つ入ってみるか?」
「うーん、ガロはあんまり乗り気じゃないみたいだけど、一回くらいは体験したいかな。まぁまずはクッキー作りだけど。」
そっけなく返したけど、ガロが僕の料理のほうがおいしいって言ってくれるだけでうれしいし、それだけで料理が楽しくなる。まぁそれとは別にこの世界の料理が気になる。
「なんだかんだ言ってキオ自身が作るの楽しそうだからな。」
「え?うん。まぁね。でもクッキー作って食べたらお昼に行ってみてもいい?」
「あぁ、いいぞ。」
よかった、多分この調子なら今日くらいはゆっくりできそうだ。まぁ明日からは詰込み特訓ってのは確定だけど、それはしょうがない。今日だけでも世界竜がどうとか忘れてまずはクッキーを完成させちゃおう。
ボウルにいれたバターを温めたら泡立ててクリーム状に、砂糖を入れて混ぜ卵を入れて混ぜ、小麦粉は薄力粉のほうをいれて混ぜ、さらに刻んだチョコをたっぷり入れて生地全体に散るように混ぜる。
あとはスプーンですくってオーブン板にちゃんと間隔を大きく開けて落として行き、軽く形を整えたら焼いていく。火加減はわからないからこればっかりは勘だけど、だいたい10分すぎたくらいで開けてみるとしっかり焼きあがったドロップチョコチップクッキーが完成していた。
「出来上がりー。」
「おぉ、ほんとに簡単なんだな。これなら出してる店もありそうなもんだが、食ったことはないな。」
「そうなんだ。とりあえず食べてみてよ。前のクッキーよりチョコが入ってる分、おいしいと思うよ。」
「どれどれ。」
ガロが一つぱくりと食べたのを見て、僕も一つとって食べてみる。焼き立てクッキーのおいしさは、元の世界でお店で買うクッキーとはまた違ったおいしさがある。何より自分で作ったものなのにこんなにおいしい。
「うん、ミルクチョコ正解だったみたい。甘さがしっかり出てる。かなりおいしく作れたよ。」
「あぁ、前食べたのよりもしっかりとチョコレートの味もついてうまいな。ただ、少し小さいな。」
そういいながらバクバクとどんどんクッキーを食べていってしまう。僕だってもう少し食べたいので急いで次のクッキーをとる。あんまり量を焼いてなかったのもあるけど、あっという間に食べ切ってしまう。少ないといっても20くらい焼いたんだよ?なのに5つしか食べれなかったよ。
「もうちょっと食べたかったのに。」
「悪かった。昼はおごるからな?」
「別に食べちゃってなくってもおごってくれる気だったでしょ?」
「まぁな。」
「はぁ、また作るからいいよ。材料費はガロ持ちだしね。」
にっと笑ったガロに合わせて僕も笑いかける。緊張する場面もあったけど、なんだかんだ今は幸せなんだろう。元の世界でいろいろ失って一人だった僕はもういない。
「で、どんな料理を食いたいんだ?肉か魚かによって店を変える必要があるな。」
「ガロは聖都の料理店にも詳しいの?」
「いや、一番でかくて一番繁盛しているところを2つ知ってるだけだ。メインが肉と魚だから好みによって変えるといいとカレントから聞いた。行ったことはないけどな。」
水竜からの情報か。きっと僕と会う前に聞いた話なんだろうな。でもいったことがないってどういうことなんだろう?
「なんでいかなかったの?」
「言っただろ、勧誘されるって。今回はどうやらレヴィーアさんが抑えてくれているようだが、店とかにもよりたくなくてな。王都で買いためた食料で済ませちまったよ。」
「そっか。そういえば王都と違って露店も出てなかったね。」
「あぁ、聖都ではすべて店の中だ。露店は教会側で禁止しているんだ。」
一切露店が出てないと思ったけど、教会側の思想なんだ。別にいいと思うけどなんでなんだろう?
「理由は知ってるの?」
「レヴィーアさんが決めたことでなく、その先代が決めた内容だそうだ。路上で下手に人が並ぶのが見苦しい、だったか?どうでもいい理由だったはずだ。」
「うわぁ・・・」
先代神殿長はかなり危険思想はいってそうだ。その点レヴィーアさんはガロの勧誘についても抑えてくれてるみたいだし、まだ話のわかる人みたいでよかった。いや、でも世界竜がらみだからそうしてるだけなのかな?まぁなんにせよガロがずっとあたりを気にするように歩かなくて済むなら何でもいいか。
「おいキオ、それ、そんな風にくだいちまうのか?」
「え?うん、こうしないと作りたい形に変えられないからね。」
「そ、そうか。」
もしかしてガロはチョコレートを使った料理やお菓子、ぜんぜん食べたことないのかな?そういえばお菓子のことに食いついて来てたし、そもそもで作ってるお店がない可能性もある?
思えばクッキーなんてシンプルなつくりだけどどこかで売ってるところを見たことない。あ、でも待った。そもそもで料理店に入ったことがこの世界に来て一度もない。ずっと僕が作ってるや。
「ねぇガロ、そういえば僕はこっちで料理をだすようなお店に入ってないんだけど、こういうお菓子とか売ってたりしないの?」
「そういえばそうだな。お菓子については俺はジャムしか知らないが出す店もあるんじゃないか?だがキオの作る飯のほうが圧倒的にうまいぞ?それでもどうしてもというならこの聖都ならいい店があるだろう、一つ入ってみるか?」
「うーん、ガロはあんまり乗り気じゃないみたいだけど、一回くらいは体験したいかな。まぁまずはクッキー作りだけど。」
そっけなく返したけど、ガロが僕の料理のほうがおいしいって言ってくれるだけでうれしいし、それだけで料理が楽しくなる。まぁそれとは別にこの世界の料理が気になる。
「なんだかんだ言ってキオ自身が作るの楽しそうだからな。」
「え?うん。まぁね。でもクッキー作って食べたらお昼に行ってみてもいい?」
「あぁ、いいぞ。」
よかった、多分この調子なら今日くらいはゆっくりできそうだ。まぁ明日からは詰込み特訓ってのは確定だけど、それはしょうがない。今日だけでも世界竜がどうとか忘れてまずはクッキーを完成させちゃおう。
ボウルにいれたバターを温めたら泡立ててクリーム状に、砂糖を入れて混ぜ卵を入れて混ぜ、小麦粉は薄力粉のほうをいれて混ぜ、さらに刻んだチョコをたっぷり入れて生地全体に散るように混ぜる。
あとはスプーンですくってオーブン板にちゃんと間隔を大きく開けて落として行き、軽く形を整えたら焼いていく。火加減はわからないからこればっかりは勘だけど、だいたい10分すぎたくらいで開けてみるとしっかり焼きあがったドロップチョコチップクッキーが完成していた。
「出来上がりー。」
「おぉ、ほんとに簡単なんだな。これなら出してる店もありそうなもんだが、食ったことはないな。」
「そうなんだ。とりあえず食べてみてよ。前のクッキーよりチョコが入ってる分、おいしいと思うよ。」
「どれどれ。」
ガロが一つぱくりと食べたのを見て、僕も一つとって食べてみる。焼き立てクッキーのおいしさは、元の世界でお店で買うクッキーとはまた違ったおいしさがある。何より自分で作ったものなのにこんなにおいしい。
「うん、ミルクチョコ正解だったみたい。甘さがしっかり出てる。かなりおいしく作れたよ。」
「あぁ、前食べたのよりもしっかりとチョコレートの味もついてうまいな。ただ、少し小さいな。」
そういいながらバクバクとどんどんクッキーを食べていってしまう。僕だってもう少し食べたいので急いで次のクッキーをとる。あんまり量を焼いてなかったのもあるけど、あっという間に食べ切ってしまう。少ないといっても20くらい焼いたんだよ?なのに5つしか食べれなかったよ。
「もうちょっと食べたかったのに。」
「悪かった。昼はおごるからな?」
「別に食べちゃってなくってもおごってくれる気だったでしょ?」
「まぁな。」
「はぁ、また作るからいいよ。材料費はガロ持ちだしね。」
にっと笑ったガロに合わせて僕も笑いかける。緊張する場面もあったけど、なんだかんだ今は幸せなんだろう。元の世界でいろいろ失って一人だった僕はもういない。
「で、どんな料理を食いたいんだ?肉か魚かによって店を変える必要があるな。」
「ガロは聖都の料理店にも詳しいの?」
「いや、一番でかくて一番繁盛しているところを2つ知ってるだけだ。メインが肉と魚だから好みによって変えるといいとカレントから聞いた。行ったことはないけどな。」
水竜からの情報か。きっと僕と会う前に聞いた話なんだろうな。でもいったことがないってどういうことなんだろう?
「なんでいかなかったの?」
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