そこは獣人たちの世界

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第三章

ふもとまでの道のり

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ふもとといえるような上り調子に森がなるまでに結局休んでからも4日ほどかかってしまった。それもこれも道中の魔物との戦いが大変だったせいだ。
森大蛇とは3回ほど出会ってしまった。縄張りに少しでも入るとこっちがどれだけ気配を消していても襲ってくる習性ってのは厄介だ。でも森大蛇は口の中っていう明確な弱点がある分まだ倒しやすかった。
道中2回ほど遭遇した大森熊のほうが問題だった。始めは4体、次は5体で群れていて、4体の時はまだ僕が一体を対応するだけだったから何とか倒したけど、5体の時が問題だった。
ガロのほうに3体、僕のほうに2体が迫ってきてしまった。さすがのガロでも大森熊を3体相手だとすこし時間もかかるし、僕のほうにまで手を貸すことはできない。挟むように同時に襲い掛かられたときはちょっと怖かったね。
前なら剣一本で戦ってたからもしかしたらやばかったかもしれない。でも今は盾もある。左から攻めてきた方を盾で受け流し、右から来た方は剣で受け流しながら魔法をぶつける。当然一撃で沈むような相手じゃなくって何度か繰り返してるうちにガロが加勢してくれて倒せただけだけど。
それでもだいぶ弱ってたみたいでガロの一撃で沈んだのは結構評価してくれた。大森熊は一日の昼前と夕飯前の連戦だったから少し疲れもでて、夜に寝るまではいかないけど少し休憩をとってもらった。
それというのもガロがこの先にもっとやばい生息域になるっていうからだ。それが森林群大狼だ。始めに出会ったのが一番多い16匹の群れだったけど、あの体格の大きいと感じたソロウルフより明らかに大きかった。もちろん熊ほどではないけど何がやばいって、そのリーダー格のような一回り大きく、体にいくつか傷のあった個体だ。
そいつの一吠えでガロの周りを6匹が囲み、僕の周りにリーダーを含めた10匹が囲む。蛇も熊もガロを注視してたけど、狼は狩るために僕に力を割いてきたんだ。
さすがにガロも少し焦ったようで包囲を解こうとしてるのがちらっと横目に入ったけど、うまく6匹とも攻めすぎず引きすぎず陣形を保っているように見えた。つまり、かなり知能レベルの高い相手ってことで、僕のほうもかなりやばった。
2匹同時くらいならまだ楽に受け流せたけど、3匹同時でかなりきつくなって、4匹が別方向から同時に飛びついてきたところで、足を噛まれてしまった。魔素纏いで防御してなかったら相当痛かっただろうし、歩けなくなってただろう。いや、防御してても軽く血が出て十分痛かったけど。
ただ噛みついて思ったより手ごたえがなかったせいか一瞬動きが止まったそいつを深くショートハンガーで引き裂いてからは一気に攻めてくることなく、こっちの体力を奪うように細かく2,3匹で攻めてくきて打ち返す隙がなかった。
何とかもう一匹仕留めたところでガロが6匹を仕留めたようで、横からリーダー役をやっていた狼を仕留めてくれた。そしたら残りの狼の動きが一気に悪くなって3匹は逃げ出しすらしてしまった。

「大丈夫かキオ?噛まれただろ?」

「大、丈夫。一応軽傷で済んだ。」

「だが一応見せてみろ。薬もある。」

有無を言わさずズボンを半分ほど下に脱がされて、太ももの噛みあとの傷に薄い緑色の薬をかけられた。結構しみたけど、おかげで今はすっかり傷跡もない。結構いい薬だったようだけど、よかったのかな?

「森林群大狼だけじゃない。今の群れには森林隊長大狼がいたな。」

「やっぱりさっきのはフォレストリーダービックウルフなのか。指示であんな風に動くとは図鑑だけじゃわからないこともあるね。」

指示を出す隊長役の狼がこの森の森林群大狼にはいるって図鑑にあったけど、具体的にどういう指示をするというのは書いてはいなかった。

「俺を抑えてキオを狙うとはな。さすがに予想外だった。注意不足だったな。」

「ううん、軽傷だったし何とか大丈夫。」

森大蛇も大森熊も麓方面に生息していないのは体格的にも劣る森林群大狼があいつらを買ってしまうせいだっていうのはどうやらほんとのようだと、ふもとまでの道のりに少なからず不安が増えたのを覚えてる。
だけどそのあとの10匹の群れには隊長はいなかったようで動きがばらばら、あっけなく10匹とも倒せてしまった。耐久力は確実に蛇や熊よりも低いね。僕でも仕留められたし。
さらにであった13匹の群れはリーダー格がいたけど、それを見極めたガロが一番にリーダーをつぶして他は散り散りになっていった。リーダーがいるところはいるところで、リーダーに頼りすぎてる感が否めない。
結局麓に着くまでに7群潰したけど、麓付近に来ると狼の気配は急に消えた。すっかり日も落ちていたので岩場に移動してテントを張って一休みしているところなわけだ。

「あの森林群大狼、山には近づかないんだね。」

「今から登るマジェスティックマウンテン、途中から森がないことは知ってるよな?」

「うん、ちゃんと調べたからね。そこからが危険なんでしょ?」

「そうだ、基本的に木のない場所を生息域にしてるそうだが、そいつらの縄張りは山全体。それを察してできうる限り近づいていないんだろう。」

「イービルロックエイプ。邪悪岩猿だね。」

「そうだ。」

軽傷で治ったとはいえ傷をつけられるような相手の森林群大狼が恐れる邪悪岩猿は土属性の岩魔法を使えるらしい。どれほどのものにしろ、土は雷を防ぎやすい属性。ガロの属性が苦手とする相手だ。全属性を使える僕ができうる限りサポートしないと。

「森の部分で襲われないとも限らない。このあたりなら多少は安全だ。とにかく寝て英気を養え。」

「うん、わかってる。おやすみ。」

今気合を入れすぎてもしょうがない。体に疲れを残さないためにも今はとにかくゆっくり眠ろう。寝袋に包まって横になればあっという間に意識は闇に落ちた。
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