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第三章
助っ人登場
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下から登ってきている猿の一匹が僕に向かってビックロックボールを打ち出してきた。他のサルたちも岩にぶつからない程度の速さで一緒に迫ってくる。そもそもで魔素纏いで防いだからって、このままだと確実に顔面からくらう。
さすがに思わず目を閉じた。岩がぶつかるまでの短い時間がすごく長く感じる。今僕にできることは何かないか。そう考えたら、手を使わずとも魔法は使える。といっても猿たちに打ち出しても、真正面だから当たるかはわからない。なら当てる先は一つしかない。
土は爆属性で防ぎやすい。できうる限りの数のボムバレットを展開してせめてもの盾とする!
「ボムバレット、シールド!」
ボムバレットの盾に岩が当たってドンドンドンドンと何度も音を立てて、大きな丸い岩が崩れ去って地面にとおち、軽く土煙が舞う。その煙に交じり正面から、さらには僕の足をつかんでたはずの二匹も地面から這い出して僕にと飛びつこうとしていた。
その猿たちが一瞬のうちにすべて輪切りにされて、紫の血をほとんど流す暇もなく消滅していった。何が起こったのかと思ったら、いつの間にか僕の正面に真っ白な毛並みの狼種の人が立っていた。
手に持ってるのは今までこの世界で見たことない剣ではなく真っ黒な刀身のまさしく刀だった。少しだけ着いた紫の血を振り払うと柔らかい笑顔で僕にと声をかけてきた。
「大丈夫かい?一人で抜け出せる?」
「え、あ、えっと、手伝ってほしい、です。」
困惑しながらもそう答えたら手を差し伸べられた。その手をつかむとグイっと引っ張られて、あっという間に地面から抜け出せた。さっきまで抜ける気もしなかったのに、痛みもなくだ。何なんだこの人・・・
「キオ!無事か!」
「あ、ガロ。うん、助けてはもらっちゃったけどね。」
「っ!あなたは、ベラルさん、なのですか?」
「一応、そうなるね。始めまして、Sランク、ガロ君。」
また柔らかい笑顔を見せるけど、ガロと同じくらいの年に見えるけどガロを君と呼ぶってことは年も上なのかな。いや、SSランクだからそう呼んでるのかもしれない。おっと、お礼を忘れてた。
「と、とにかく助かりました。ありがとうございます。」
「たしか、Cランクキオ君だね。いいよ、気にしないで。」
「あの、失礼を承知で聞きますが、ギルドの依頼で来たのですか?」
「いいや、違うよ。私は独自の判断でマジェスティックマウンテンに自分の力が必要な気配を感じてきたんだ。でも君たちが依頼を受けたようだね。よければ頂上まで同行してもいいかい?」
「それは、願ってもないことですが・・・」
「あぁ、報酬ならいらないよ。それと、そういう風に苦手な敬語もいらない。もっとラフに話してくれ。SSランクといっても別にギルドマスターでもないからえらいわけじゃないし。」
「そ、そうですか。いえ、そうか。わかった。」
ガロもちょっと困惑しながらも、その柔らかい笑顔に緊張を解いたみたいだ。でも放浪者って聞いてたけど、依頼とか受けずにほんと自由奔放に動いてるのかな。さっきのを見てもすごい人はすごい人なんだろうけど。ガロの倒してきた猿たちは素材を残すためにも10は残ってる。ガロも素材を気にしなければもっと手早くは倒せる、はずだ。
「この先にもイービルロックエイプは出る。素材集めせずに登っていこう。」
「そのほうがよさそうだな。まだ森を出たばかりなのに群がこれほど大きいとは思っていなかった。」
「もしかして中腹あたりはもっと猿の数増えるの?」
「あぁ、そうなる。」
「うわぁ・・・」
今は2群が来たから多いのかと思ったけど、ガロのこの言い方だと上の群はもっと多いってことだよね。でもベラルさんが一緒に来てくれるなら100人力かもしれない。
そんな軽い気持ちを持ちつつ3人で山頂を目指し登っていくと、すぐにベラルさんとガロが同時に歩みを止める。
「20いるね。ここは私が全滅させてもいいかな?」
「よければSSランクの実力、もう一度見せてください。」
「ふふ、それじゃあちょっと張り切っちゃおうかな。」
一瞬でその場からベラルさんが消えた。瞬間移動の魔法でも使うかの如くだ。前よりもガロの動きは見れるようになったつもりだったけど、ベラルさんのは全く見えなかった。そして20いるってことはたぶんここは次のイービルロックエイプの群れの縄張り前なんだろう。
「ここはさっきみたいに縄張り外の群れが着たりしないの?」
「ギリギリ縄張り外というよりも、もっと離れている。ほとんど歩かなかっただろ?」
「なるほど。」
そんな会話をしてたら上からゆっくり手を振って歩いてくるベラルさんの姿。え、それなりの距離の20の群れをこの一瞬で終わらせてきたってこと?これは、100人力どころか1000人力かもしれない。
「いやぁ、張り切りすぎた。これじゃあ見せられなかったね。」
「いや、あっという間に邪悪岩猿達の気配が消えた。さすがの実力者だ。」
「そういってくれると素直にうれしいよ。」
さっき見てた時よりも柔らかい笑顔がなんというか少し怖くなってきた。もしかしてガロがちゃんと気配をかんじれているのか試したりでもしたの?それともただ普通に喜んでるだけ?ちょっとわからなくなってきたかも。
さすがに思わず目を閉じた。岩がぶつかるまでの短い時間がすごく長く感じる。今僕にできることは何かないか。そう考えたら、手を使わずとも魔法は使える。といっても猿たちに打ち出しても、真正面だから当たるかはわからない。なら当てる先は一つしかない。
土は爆属性で防ぎやすい。できうる限りの数のボムバレットを展開してせめてもの盾とする!
「ボムバレット、シールド!」
ボムバレットの盾に岩が当たってドンドンドンドンと何度も音を立てて、大きな丸い岩が崩れ去って地面にとおち、軽く土煙が舞う。その煙に交じり正面から、さらには僕の足をつかんでたはずの二匹も地面から這い出して僕にと飛びつこうとしていた。
その猿たちが一瞬のうちにすべて輪切りにされて、紫の血をほとんど流す暇もなく消滅していった。何が起こったのかと思ったら、いつの間にか僕の正面に真っ白な毛並みの狼種の人が立っていた。
手に持ってるのは今までこの世界で見たことない剣ではなく真っ黒な刀身のまさしく刀だった。少しだけ着いた紫の血を振り払うと柔らかい笑顔で僕にと声をかけてきた。
「大丈夫かい?一人で抜け出せる?」
「え、あ、えっと、手伝ってほしい、です。」
困惑しながらもそう答えたら手を差し伸べられた。その手をつかむとグイっと引っ張られて、あっという間に地面から抜け出せた。さっきまで抜ける気もしなかったのに、痛みもなくだ。何なんだこの人・・・
「キオ!無事か!」
「あ、ガロ。うん、助けてはもらっちゃったけどね。」
「っ!あなたは、ベラルさん、なのですか?」
「一応、そうなるね。始めまして、Sランク、ガロ君。」
また柔らかい笑顔を見せるけど、ガロと同じくらいの年に見えるけどガロを君と呼ぶってことは年も上なのかな。いや、SSランクだからそう呼んでるのかもしれない。おっと、お礼を忘れてた。
「と、とにかく助かりました。ありがとうございます。」
「たしか、Cランクキオ君だね。いいよ、気にしないで。」
「あの、失礼を承知で聞きますが、ギルドの依頼で来たのですか?」
「いいや、違うよ。私は独自の判断でマジェスティックマウンテンに自分の力が必要な気配を感じてきたんだ。でも君たちが依頼を受けたようだね。よければ頂上まで同行してもいいかい?」
「それは、願ってもないことですが・・・」
「あぁ、報酬ならいらないよ。それと、そういう風に苦手な敬語もいらない。もっとラフに話してくれ。SSランクといっても別にギルドマスターでもないからえらいわけじゃないし。」
「そ、そうですか。いえ、そうか。わかった。」
ガロもちょっと困惑しながらも、その柔らかい笑顔に緊張を解いたみたいだ。でも放浪者って聞いてたけど、依頼とか受けずにほんと自由奔放に動いてるのかな。さっきのを見てもすごい人はすごい人なんだろうけど。ガロの倒してきた猿たちは素材を残すためにも10は残ってる。ガロも素材を気にしなければもっと手早くは倒せる、はずだ。
「この先にもイービルロックエイプは出る。素材集めせずに登っていこう。」
「そのほうがよさそうだな。まだ森を出たばかりなのに群がこれほど大きいとは思っていなかった。」
「もしかして中腹あたりはもっと猿の数増えるの?」
「あぁ、そうなる。」
「うわぁ・・・」
今は2群が来たから多いのかと思ったけど、ガロのこの言い方だと上の群はもっと多いってことだよね。でもベラルさんが一緒に来てくれるなら100人力かもしれない。
そんな軽い気持ちを持ちつつ3人で山頂を目指し登っていくと、すぐにベラルさんとガロが同時に歩みを止める。
「20いるね。ここは私が全滅させてもいいかな?」
「よければSSランクの実力、もう一度見せてください。」
「ふふ、それじゃあちょっと張り切っちゃおうかな。」
一瞬でその場からベラルさんが消えた。瞬間移動の魔法でも使うかの如くだ。前よりもガロの動きは見れるようになったつもりだったけど、ベラルさんのは全く見えなかった。そして20いるってことはたぶんここは次のイービルロックエイプの群れの縄張り前なんだろう。
「ここはさっきみたいに縄張り外の群れが着たりしないの?」
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