そこは獣人たちの世界

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第三章

イービルロックエイプ戦

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ワームとの戦いが一回あったものの、他の魔物に襲われることもなく、森を抜けると完全に山肌まで見えてきた。地面の雑草がなくなってきてたからそろそろだとは思てった。ちょっとぼこぼことしてるけど、そこまで歩きにくいというわけではないかな。
そんなことより怖いのはイービルロックエイプだ。魔素感知を地面まで広げているから、ワームのようにちゃんと感知できればいいけど。ワームと違って集団で襲ってくるから、ちゃんと場所を把握できないと地面から急にやられることになるだろうし。
何より今は夜。といっても月明りがかなり明るいのと、狼種の体のおかげで全然見えてるけど、昼に比べたら当然暗い。一日ずっと歩き詰めてきてるのもあるし、気を張っておかないと。
しばらくある山肌を歩き続ける。ちょっと上りがきつくなってきたかもしれない。だけど時折突き出てる岩以外に姿を隠せるようなところもない。イービルロックエイプが隠れてるところがあるとすれば、地面の中だろう。

「いるぞ、あのでかい岩の下だ。」

「うえ、結構遠いのによくわかるね。避けるでしょ?」

「あぁ。動いていないからおそらく寝ているんだろう。」

僕ではわからないようなかなり遠いところの岩を指さす。その下っていうことは地面の中で寝てるってことなんだろうか。とにかく下手に刺激することもない。真正面のほうだから結構遠回りしていかないと駄目そうだな。

「ちっ、またか。これだけ離れたからそれも仕方ないか。」

「そうだね・・・」

「だが集団の縄張り範囲がわかった。間を縫うように歩くぞ。」

「了解。」

だいぶ離れるように歩いてきたらまたガロがイービルロックエイプの気配を感じ取ったようだ。だけどそれでガロが大体の縄張り範囲がわかったらしい。ちょっと気を付けながら上に上にと歩き始める。
さらに別のイービルロックエイプの気配を見つけたようで、まっすぐ歩いてたのを、急に曲がり始める。ここまでまっすぐ上にと歩けていたのにと思うけどしょうがない。ただ少し明るみが増してきたことが気になる。
日が昇り始めた。もう朝か。なんて気楽に構えてたら突然あたりからキーキーとちょっと不快にも感じる猿の声が聞こえ始めた。どうやら起き始めたようだ。

「ちっ、ミスったな。こんなに早く起きるとは。しかも2群来るぞ。とりあえず上のほうに行くが、おそらく下の群れも来る。」

「えっ、そうなの!?もしかして間ぬったのまずかった?」

「どうだろうな。せめて他の群れが来ないことを願うしかない。」

そういいながらガロがポーチから抜いたのは今まで見たことない赤い刀身の長剣だった。少し短く作ってあるけど形的に多分バスターソードだろう。でもなんであんなに赤いんだろう?

「ガロ、その剣は・・・」

「俺の持つ中で一番切れ味のいい剣だ。かなり数の多い相手になるからな。仕留めるのに時間をかけたくない。雷装レッドバスター。」

まだイービルロックエイプも見えてないのに雷装を展開した。それだけやばい相手ってことだよね。それをこっちから攻めていく形になるなんて。いや、向こうも前と後ろから迫ってきてるからしょうがないんだろうけど。

「そういえば、なんで上の相手からなの?」

「当然だが、こういう場所で上をとられると戦いづらいからだ。優位に立たれにくくするにはまず上を減らすべきだな。」

「そっか。なるほど。」

そんな話をしてるうちにこっちからも向かっていったから僕の感知範囲にも気配を感じ始める。やばい、上に12匹いるな。しかもキーキーとまた騒ぎ始めてる。さっきのほど大きい声ではないようだけど。
姿も見え始める。全身茶色一色で地面と色が似ててちょっとわかりづらいやつだらだ。こっちも見つかったようでさっそく石の礫がいくつか飛んできた。いきなり先制攻撃してくるとは。決して持って投げてきてるわけじゃない。空間上から打ち出してるロックバレットの魔法だ。まぁこのくらいの量なら当たりそうなのは剣ではじけばよけきれる。
さらに近づくと、キーと一番前の猿が叫びをあげて地面に拳をたたきつけた。そこから地面から岩が棘のようにむき出しながらこっちに迫ってくる。ニードルロックの魔法かな、結構範囲が広いから大きく飛びのかなきゃいけなかった。
そこにさらに後ろの猿から大きな球体状の岩が飛んでくる。ビックロックボールってさっきのもそうだけどほんとに多彩な魔法してるな!

「ぐぅっ!んなろ!」

何とか岩を剣ではじき返しせた。大きいから重かった下と勢いだけなら僕のガンの魔法のほうがあるなこれなら。僕が岩と戯れてる隙に猿がキーキーとまた騒ぎ始める。どうやらガロがすでに二体仕留めたようだ。いつの間に。

「ダークガン!」

僕も負けていられない。ガロのほうに注目が行った隙に一番近い一匹に即座にダークガンを放つ。ギガァと叫んで倒れ込んだけど、すぐに起き上がった、当たったところが黒く変色しているのが見えた。あとは徐々に弱るだろう。

「キオ、地面にも気をつけろ!後ろのが着てるぞ!」

「えっ!?」

魔素感知は広げてたはずだけど、後方の猿の気配はまだしないと思ってた。だけど地面から10匹ほど急に地面から気配が出てくる。もう追いつかれちゃったのか!もしかして地面を潜ったほうが早かったのか?
後ろも前もはさまれたのがきつい。なんてのんきしてたら、急に足を何かがつかんだ。僕の真下にイービルロックエイプの気配が2体。前が14だったんだ。後ろも10より多いのは考えればわかったはずだ。地面の中の気配が、完全に読めなかった。

「うぐぅ!?」

「くっ!キオ!」

僕はそのまま地面に下半身を埋められてしまった。結構奥に突っ込んでたガロはさらに何匹か倒したんだろうけど、いまだに猿達とこぜりあってる。後ろの猿たちが僕に迫ってきてる。これ、やばすぎる。動けないから受け流しも何もないよ。
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