そこは獣人たちの世界

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第三章

崖狩りの魔物

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次に来た崖狩り鷹5匹はベラルさんが4匹、離れた一匹をガロが仕留めた。雷斬撃は大きかったけど、ちゃんとベラルさんから一番遠いときに狙ってて危なさは感じなかった。
でも次は一気に10匹の群れで崖狩り鷹が来た。夜になったっていうのに、鳥目とかはないんだろうか?しかも大きい個体が一匹混じってる。というか鷹ですらないよあれ、ワイバーンじゃん!

「崖狩り鷹と崖狩り亜竜が群れるなんて、初めて見たね!」

「ベラルさんも初めてか、俺もだ。」

「ちょ、どうするの!?なんかブレスしようとして売るけど!」

「私がワイバーンを仕留めてこようか。周りはよろしくね。」

そういってベラルさんは口を赤くするワイバーンに突っ込んでいった。だけどワイバーンは鷹とは違って即座に口を閉じて向かってきたベラルさんの剣を爪ではじき返した。亜竜なんて呼ばれてるけど距離あるとはいえあの速度に対応できただけやっぱやばい相手なんだろう。
だけどワイバーンはけたたましくギシャーと鳴いて少し後ろに下がる。茶色いワイバーンから何やら黒いのがかけて落ちていく。多分あれはじいた爪だ。あの一瞬で切り落としたのか、ベラルさんもすごい。

「雷斬撃!キオ、見てるだけじゃなく応戦するぞ!周りの崖狩り鷹がベラルさんを狙ってる!ベラルさん近くのは任せるぞ!」

「おっと!了解!ロックバレット!」

「追加だ!雷斬撃!」

ベラルさん近くの鷹たちに向かってロックバレットをぶちまけていく。ロックガンより威力は落ちるけど数が数だし素早くベラルさんへの目線をずらすのが目的だからこれでいい。僕の石の礫が向かっていって予想通り少し意識がづれてベラルさんに向けてた羽を石礫に向けて風で撃ち落とした。
離れた位置のにはガロが雷斬撃を放って二匹仕留めた。それを見てたのもあってクリフハンターイーグルの7匹はこっちに完全に意識を向ける。数が多いし少し距離を取られた。次のガロの雷斬撃はよけられる可能性高いな。

「ガロ、僕のロックバレットを撃ち落とそうとする個体を狙って。」

「そうか、わかった!」

「ロックバレット!」

またロックバレットを打ち出すと、今度は打ち付けた全体じゃなく、二匹だけ前に出てきて風で撃ち落とした。やっぱりいくつかを攻撃用にと残したか!でもそうやって風を出したりしたら隙だらけだ。

「雷撃斬!連撃!」

ほんとに片腕で崖を支えてる体勢で打つような威力と思えないほど大きく強力そうな雷撃斬が連発で二発も。2匹はほんの少しよけようとしてクリーンヒットとはいかなかったようで即座に消滅しなかったけど、下には落ちていった。

「キオ!来るぞ!」

残った5匹が狂ったように風を飛ばしてくる。うっすらと緑の斬撃のように見える。ウィンドカッターの魔法のようだ!魔素纏いしてるとは言え直撃はしたくない。

「ロックバレットシールド!」

石の礫を盾になるように大量展開したけど風の斬撃は結構抜けてきて、僕の毛肌を切り裂いていく。魔素纏いしてるのに、かなり痛い。これじゃあ全然自分の身も守り切れてないよ。
ほんの少し耐えてたらいつの間にか是の斬撃は止んでいた。振り向けばちょうど4匹のクリフハントイーグルがベラルさんの手によって消滅していた。もう一匹は落ちていってたから多分ガロがやったんだろう。ほんとあの短い間にクリフハントワイバーンを倒しちゃったのか。

「大丈夫キオ君?結構切り傷ができちゃったね。」

「キオ・・・」

「だ、大丈夫。痛みはあるけど薬でよくなるレベルでしょ?」

「あぁ、そうだな。だがあそこあたりに見えるでっぱりまで行かなきゃ休めないぞ?」

「う、そっか。でも結構近そうだから平気。」

3人くらいなら何とか乗れそうなちょうどいいへこみが見えてたらしいからそこを目指してたんだった。だいぶ上ってきたんだな。僕でも見えるようになったし。

「よし、がんばろうか。」

「はい。」

ちょっと痛む体に鞭打って多分50メートルくらいを上りきる。クライムピッケルにずっと体重をゆだねてきたから、こうして地面に座れるだけでもかなり休まる。

「ほら、体にかけておけ。」

「うん、ありがと。」

透明な緑色をした傷薬を腕の怪我にかける。背中にもうけたけど皮鎧は無事なようだ。切り刻まれてるんじゃないかと思ったけど、結構丈夫なもんだな。

「崖はここでやっと半分といったところか。気配は感じないけど、この先にも崖狩り鷹と亜竜がきっと出てくる。一度休んだ方がいい。」

「え、でも・・・」

「いや、休んでおけ。頂上についても休めるとは限らない。」

「うん、わかった。」

それもそうだった。頂上には世界竜がいるらしいわけで、あって即戦闘とかになる可能性だって高い。のんびり休めるとは限らない。ここでならガロもより見張りやすいだろうし、しっかり休ませてもらおう。
休むだけで寝るつもりはなかったんだけど、気づけばもう朝になっていた。薬を付けて横になったからか、疲れもあった夜だからか、横になったらあっという間に寝てしまっていたようだ。やっちったかと思ったけど、二人とも真面目な顔でおはようって言ってくれた。朝食のサンドイッチをまたベラルさんが絶賛したりはあったけど、即座にがけ登りが再開された。
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