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第三章
世界竜との出会い
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「おいキオ、起きろ。」
「ん・・・な、なにかあった?」
体をゆすられて目を覚ます。ガロがのぞき込んでいたけど、外がまだ明るく成りきってない。夜の深い時間に寝たっていうのに、あんまり寝れてないってことだ。でも起こしたってことは何かあったってことだろう。
「あぁ、ベラルさんのテントから気配が消えた。元々気配を消すのがうまかったはずだろうが、わざわざ俺が感じ取れてた気配を消すことはない。」
「それって、どういうこと?」
「おそらくだが、世界竜に挑みに行ったんだろう。戦いたがっているようなところがあったからな。」
あぁ、やっぱりガロも感じ取ってたのか。でも勝手に一人で戦いに行っちゃうなんて思いもしなかった。そのために寝ることを提案したんだ居るか。わざわざテントまで用意して。
「それで、どうするの?追いかける?」
「・・・正直悩みどころだな。すでに戦闘が始まっているならベラルさんの加勢に行った方がいいだろうが、もし戦いになっていなくて俺たちが先に世界竜に出会うと面倒だ。」
「そう、なの?」
「キオの話をするんだろうからな。」
「あ、そっか。」
世界竜は僕が人間であるってことを知ってる。結構ベラルさんも僕がただものじゃないってことは感じ取ってるようだけど、人間だって確信的なことを喋ったわけじゃないから疑ってる段階だ。知られてどう動くのかわからない。
「それでも、俺は行くべきだと思うが、キオが不安ならば少し待機しよう。ベラルさんが戻るか、世界竜から声でもかかるかを待つ。」
「うーん、でもガロが行くべきだっていうんなら行くよ。」
「そうか。何かあったなら、必ず守り抜く。」
いつになく真剣な表情をするガロに僕も寝袋のままだったけど緊張感が出てくる。眠気は完全に飛んだ。寝袋から這い出して即座に準備を整えて、テントはそのままに霧の中にと足を踏み入れていく。
すぐ隣にいるはずのガロがちょっと見えなくなるくらいに霧が濃い。ガロが手を差し伸べてくる。つなげってことなんだろうけどちょっと恥ずかしい。ってそんな場合じゃないか。はぐれたら大変だ。
どっちにいっららいいのかガロもわかってはいないようでかなり慎重に歩いてる。そりゃそうだ、だって周りは崖になってる山頂だからね。かなり広いだろうけど、歩いてる方向によっては急に崖になる可能性だってある。
ゆっくり歩いてるせいもあってか、時間的には1時間も立ってないはずなのにかなり長く感じた。急にドシンとすさまじく大きい音が聞こえたと思ったら僕たちの周りの霧だけ消えていった。
「ようやく来たか。待ちわびた。」
「んな、で、でかい・・・」
以前見たリヴァイアサンの倍くらいのサイズはある金色のドラゴンが、しゃべるというよりも頭に直接聞こえてくるような声で語りかけてきた。このドラゴンが世界竜、輝く金色の鱗が美しい。金色なんてゴウさんのところでかなり見たけど、比べ物にならない。
「あなたが、世界竜・・・」
「ガロ、とかいったか。別にかしこまる必要はない。偉いわけではないからな。だが金角なんかと間違うなよ?角もない上に体格も違う。」
「っ!わ、悪かったといえばいいのか?」
何でガロが金角と間違えたことを知ってるの?それとも金角とは違うとガロが今思ってるのを見抜かれでもしたの?わからないけど偉いわけじゃないとは言ったけど、すごいってのは確かなようだ。
「ふ、冗談だ。金角は我に似ようと進化した存在なのだろう。我を知らぬものが間違えても仕方ない。それよりも二人でくればいいものを、余計なものがついてきたようだな?」
「そうだ、ベラルさん・・・」
「あぁ、ここにいるよ。」
世界竜が見つめる先をみれば霧から出てくるようにベラルさんが現れる。なんで隠れていたんだろう。戦いに来たってわけではない?それとも隠れてたわけじゃなくずっと探してた?
「我になに用だ?其方を呼んだ覚えはないのだが。」
「呼ばれはせずとも強敵と戦いたいという気持ちはわかるだろ?でも私はそれ以上の興味が生まれたんだ。ここでならそれを知れると思ったんだけど。」
「それを知ってどうする?」
「もちろん、いただくのさ。」
ベラルさんの目が僕のほうに向く。興味って僕のこと?まさか今ので確信を持っちゃったんだろうか。ガロがベラルさんに向けて臨戦態勢になる。崖での戦いは見てきた。あんな人と戦いたくはないんだけど。
「ベラルさん、何を言ってるんだ?キオをいただくなんてさすがに聞き捨てならない。」
「キオ君とは言ってないんだけど、まぁ目線でばれるか。本当は先にガロ、君を貰おうとしたんだけどね。」
「っ!それって何の話ですか?」
できるだけ表情は崩さないようにしたつもりだったけど、言葉が一瞬詰まった。僕じゃなくガロを欲しがったって急に話が変わってくる。別に人間がどうとかは関係ないのかもしれない。
「一度キオ君を餌にガロを捕まえる計画をしたんだけど、使ったのがダメだったね。あっけなく失敗しちゃったよ。」
「何を言ってるんだ。あれがあなたの、いや、お前の計画だった、だと?」
「そうだよ。私はこれでも貴族なのでね。キオ君はあの時副産物としての価値しかなかったけど、今は違う。手に入れれば王族は強力な力を得る。そうだろ?ニンゲンなんだろ?」
「僕は見ての通り、狼種ですよ。人間ってなんですか。」
とんでもない話をされたけど、冷静に表情も変えずにこのセリフが言えたのはずっとしてきた表情練習のおかげかもしれない。だけどベラルさんはそれに対して薄ら笑うだけだった。
「かなり頑張って訓練したんだね。普通ならわたしでも騙されるところだったが、世界竜のさっきの言葉で確信を得た。初めてがガロだったという話だろ?安心するといい、ほかの者と関係を持ち続ければガロなんて忘れられるよ。」
「貴様、キオは渡さない!」
「我は手を出さぬぞ。連れてきた其方らの責任だ。できるだけ手早く処理しろ。」
「そりゃないですよ!ってきた!」
世界竜の言葉で人間だとばれたってのに世界竜は不干渉を貫くらしい。ここあなたの土地だから争いはやめろとかそういうのもないの!?急速に向かってきたベラルさんを何とかガロが受け止めた。本格的にベラルさんと戦いが始まってしまった。
「ん・・・な、なにかあった?」
体をゆすられて目を覚ます。ガロがのぞき込んでいたけど、外がまだ明るく成りきってない。夜の深い時間に寝たっていうのに、あんまり寝れてないってことだ。でも起こしたってことは何かあったってことだろう。
「あぁ、ベラルさんのテントから気配が消えた。元々気配を消すのがうまかったはずだろうが、わざわざ俺が感じ取れてた気配を消すことはない。」
「それって、どういうこと?」
「おそらくだが、世界竜に挑みに行ったんだろう。戦いたがっているようなところがあったからな。」
あぁ、やっぱりガロも感じ取ってたのか。でも勝手に一人で戦いに行っちゃうなんて思いもしなかった。そのために寝ることを提案したんだ居るか。わざわざテントまで用意して。
「それで、どうするの?追いかける?」
「・・・正直悩みどころだな。すでに戦闘が始まっているならベラルさんの加勢に行った方がいいだろうが、もし戦いになっていなくて俺たちが先に世界竜に出会うと面倒だ。」
「そう、なの?」
「キオの話をするんだろうからな。」
「あ、そっか。」
世界竜は僕が人間であるってことを知ってる。結構ベラルさんも僕がただものじゃないってことは感じ取ってるようだけど、人間だって確信的なことを喋ったわけじゃないから疑ってる段階だ。知られてどう動くのかわからない。
「それでも、俺は行くべきだと思うが、キオが不安ならば少し待機しよう。ベラルさんが戻るか、世界竜から声でもかかるかを待つ。」
「うーん、でもガロが行くべきだっていうんなら行くよ。」
「そうか。何かあったなら、必ず守り抜く。」
いつになく真剣な表情をするガロに僕も寝袋のままだったけど緊張感が出てくる。眠気は完全に飛んだ。寝袋から這い出して即座に準備を整えて、テントはそのままに霧の中にと足を踏み入れていく。
すぐ隣にいるはずのガロがちょっと見えなくなるくらいに霧が濃い。ガロが手を差し伸べてくる。つなげってことなんだろうけどちょっと恥ずかしい。ってそんな場合じゃないか。はぐれたら大変だ。
どっちにいっららいいのかガロもわかってはいないようでかなり慎重に歩いてる。そりゃそうだ、だって周りは崖になってる山頂だからね。かなり広いだろうけど、歩いてる方向によっては急に崖になる可能性だってある。
ゆっくり歩いてるせいもあってか、時間的には1時間も立ってないはずなのにかなり長く感じた。急にドシンとすさまじく大きい音が聞こえたと思ったら僕たちの周りの霧だけ消えていった。
「ようやく来たか。待ちわびた。」
「んな、で、でかい・・・」
以前見たリヴァイアサンの倍くらいのサイズはある金色のドラゴンが、しゃべるというよりも頭に直接聞こえてくるような声で語りかけてきた。このドラゴンが世界竜、輝く金色の鱗が美しい。金色なんてゴウさんのところでかなり見たけど、比べ物にならない。
「あなたが、世界竜・・・」
「ガロ、とかいったか。別にかしこまる必要はない。偉いわけではないからな。だが金角なんかと間違うなよ?角もない上に体格も違う。」
「っ!わ、悪かったといえばいいのか?」
何でガロが金角と間違えたことを知ってるの?それとも金角とは違うとガロが今思ってるのを見抜かれでもしたの?わからないけど偉いわけじゃないとは言ったけど、すごいってのは確かなようだ。
「ふ、冗談だ。金角は我に似ようと進化した存在なのだろう。我を知らぬものが間違えても仕方ない。それよりも二人でくればいいものを、余計なものがついてきたようだな?」
「そうだ、ベラルさん・・・」
「あぁ、ここにいるよ。」
世界竜が見つめる先をみれば霧から出てくるようにベラルさんが現れる。なんで隠れていたんだろう。戦いに来たってわけではない?それとも隠れてたわけじゃなくずっと探してた?
「我になに用だ?其方を呼んだ覚えはないのだが。」
「呼ばれはせずとも強敵と戦いたいという気持ちはわかるだろ?でも私はそれ以上の興味が生まれたんだ。ここでならそれを知れると思ったんだけど。」
「それを知ってどうする?」
「もちろん、いただくのさ。」
ベラルさんの目が僕のほうに向く。興味って僕のこと?まさか今ので確信を持っちゃったんだろうか。ガロがベラルさんに向けて臨戦態勢になる。崖での戦いは見てきた。あんな人と戦いたくはないんだけど。
「ベラルさん、何を言ってるんだ?キオをいただくなんてさすがに聞き捨てならない。」
「キオ君とは言ってないんだけど、まぁ目線でばれるか。本当は先にガロ、君を貰おうとしたんだけどね。」
「っ!それって何の話ですか?」
できるだけ表情は崩さないようにしたつもりだったけど、言葉が一瞬詰まった。僕じゃなくガロを欲しがったって急に話が変わってくる。別に人間がどうとかは関係ないのかもしれない。
「一度キオ君を餌にガロを捕まえる計画をしたんだけど、使ったのがダメだったね。あっけなく失敗しちゃったよ。」
「何を言ってるんだ。あれがあなたの、いや、お前の計画だった、だと?」
「そうだよ。私はこれでも貴族なのでね。キオ君はあの時副産物としての価値しかなかったけど、今は違う。手に入れれば王族は強力な力を得る。そうだろ?ニンゲンなんだろ?」
「僕は見ての通り、狼種ですよ。人間ってなんですか。」
とんでもない話をされたけど、冷静に表情も変えずにこのセリフが言えたのはずっとしてきた表情練習のおかげかもしれない。だけどベラルさんはそれに対して薄ら笑うだけだった。
「かなり頑張って訓練したんだね。普通ならわたしでも騙されるところだったが、世界竜のさっきの言葉で確信を得た。初めてがガロだったという話だろ?安心するといい、ほかの者と関係を持ち続ければガロなんて忘れられるよ。」
「貴様、キオは渡さない!」
「我は手を出さぬぞ。連れてきた其方らの責任だ。できるだけ手早く処理しろ。」
「そりゃないですよ!ってきた!」
世界竜の言葉で人間だとばれたってのに世界竜は不干渉を貫くらしい。ここあなたの土地だから争いはやめろとかそういうのもないの!?急速に向かってきたベラルさんを何とかガロが受け止めた。本格的にベラルさんと戦いが始まってしまった。
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