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第26話 大勝利!!
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「はぁ……ユースさんに会いたいなぁ……」
最後にユースさんに会ってから一ヶ月後——私は溜息を吐きながら、ぼんやりと外を眺めていた。
ユースさん……何してるのかなぁ……会いたいなぁ……私の物語は本になるのかしら……心配だわ……そんな事を毎日のように考えながらも、しっかり執筆と勉強は欠かさず行っている。
なんか、この作品を完成させるぞ! って思いながら執筆をしていないと、一日が長く感じて仕方が無いわ。あ、でもその分マリーとたくさんお話したり、買い物をする時間を取れるのは嬉しい事ね。
「ティア様、お洗濯ものを干してきますね」
「あ、私もやるわ。ちょうどする事がなくて」
「ありがとうございます」
このままボケーッとしてても仕方がないと思った私は、マリーと一緒に外に出て洗濯を干し始める。
うーん、今日も良い天気だわ。風でパタパタと動く洗濯物を見ていると、なんだか綺麗にしてもらって喜んでいるように見えるのは私だけかしら?
「平和ねぇ……ついこの前屋敷に呼ばれたり、家の壁に落書きされたとは思えないくらいの平和っぷりね」
「平和が一番ですわ。それにしても……あれ以来、音沙汰が無いのは不気味ですわ」
「そうね。まあ気にしてたら相手の思うつぼだし、気にしないようにしましょう。話を振った私が言うのも変な話だけど」
「ふふっ、そうかもですね」
「あーっ! そこはそんな事はないですよってフォローしなさいよー! って……あら?」
マリーと楽しく話をしていると、パークスの街の方から、郵便屋さんの男性がやって来て、私達に一通の手紙を届けてくれた。
「ご苦労さまです。誰からでしょうか……あ、ティア様。ユース様からです」
「ユースさん!? 見せて見せて!」
マリーから手紙を受け取った私は、急いで手紙の封を開けると、二人で手紙の内容を確認する。
そこには……私の書いた二作目の物語の出版が決まったという事。そしてその売り上げは大反響。今まで流されていた悪い噂などに惑わされなかった読者を中心に、様々な人が買ってくれてるという報告が書かれていた。
「やっ……ったー!! 二冊目も出せるわー!!」
「おめでとうございます! あっ、まだ続きがありますよティア様」
「ほ、ほんとね」
思わず嬉しすぎてマリーに抱きついてクルクルしちゃったわ。いいじゃないそれくらい嬉しかったんだから!
「続きっと……あっ! アベル様の作品を余裕で抜いたって! むしろ私の本が出た事で、売り上げが激減してるって!」
「当然の結果ですわ。いくらプロが書いたところで、モデルがあの二人では、物語が良くてもキャラクターに感情移入できませんわ」
「な、中々ズバズバいくわねマリー」
私達の場合は、モデルとなったアベル様とニーナの事を知っているせいで、余計に感情移入がしにくいっていうのもある。それを差し引いても、自分大好き主人公とワガママヒロインというキャラは、読んでいて何なのこの人達ってなっちゃうのよね。
「なんにせよ……私達はアベル様に勝ったって事で良いのかしら?」
「それで間違いないかと。むしろ、完全勝利と言っても過言ではないですわ」
「そっか……完全勝利、かぁ……ふふっ……」
「ティア様?」
「やったやったー! あんな汚い事をする人達の作品よりも、私の大切な物語やキャラクターが認められたわ! バンザーイ!!」
もし私の物語が、アベル様達の物語に負けちゃったらどうしようとずっと思ってたんだけど、無事に勝てて本当に安心したわ。やっぱり悪が負ける運命にあるのは、現実でも同じなのかもしれないわ!
「えっと……まだ何か書いてあるわね……あっ……出版業務とその他諸々の仕事で休み返上で働いてるから、まだもうしばらくは会えないって書いてある……」
「仕事では仕方ありませんわ。会えないのはおつらいでしょうけど、次にお会いした時の嬉しさが倍になりますよ」
「マリー……」
そうよね……そうよね! 今は会えなくてつらいけど、ユースさんは頑張ってるんだから、私も頑張って耐えないと! それに、マリーの言う通り、今頑張れば次に会った時が凄く嬉しくなれるわ!
って思っても……やっぱり寂しいものは寂しい……もう私の身も心も完全にユースさんのものになっちゃってるから、少しでも会えないと寂しくて寂しくて……こんなにした責任を取ってもらうためにも、毎日仕事を無事に、そして早く終えられますようにってお祈りしちゃうんだから! 覚悟しておいてよね!
****
「ふぇ~ん……寂しいよぉ……ユースさぁ~ん……」
ユースさんから手紙を貰ってから、更に二カ月が経ち——私は窓の外から溜息を漏らす日々が続いていた。
あれから一回もユースさんに会えてないどころか、手紙もあの一通が来たっきりだ。便りが無いのは元気な証拠なんていうけど、ずっと連絡が無いとやっぱり心配になる。
それに……もう会いたいって気持ちが溜まり過ぎて、執筆にも影響が出始めてしまっている。最初は普通に書いていられるんだけど、気付いたらユースさんの事ばかり考えてしまう。
それだけに留まらず、勉強のために読書をしていても、すぐにユースさんの事で妄想を始めてしまう始末。
……自分の事ながら、ユースさんが好きすぎてちょっと引いちゃうんだけど。現実の人に恋をするのは初めてだから知らなかったけど、私って恋をするとこんなになっちゃう性格だったのね。
「ティア様、おいたわしや……」
「マリー……さ、さて! そろそろ買い物に行く時間だし、準備しましょうか!」
私の元気がない事を心配しているマリーに、なるべくこれ以上心配をかけないように、私は無理に明るく振舞ってみせる。
本当、私ったらダメね……いくら寂しいからって、マリーに心配をかけてどうするのよ。明日こそ、きっとユースさんに会えるわ。そうやって信じ続けていれば、きっと乗りこえられる!
そう思いながら出かける準備をしようとすると、玄関の戸を控えめにノックする音が聞こえてきた。
「お客様? 珍しいわね」
「私が出ますわ」
マリーが玄関を開けると、そこにはまるで貴族の男性が着るような服を着て、バッチリと身支度を整えているユースさんが立っていた――
最後にユースさんに会ってから一ヶ月後——私は溜息を吐きながら、ぼんやりと外を眺めていた。
ユースさん……何してるのかなぁ……会いたいなぁ……私の物語は本になるのかしら……心配だわ……そんな事を毎日のように考えながらも、しっかり執筆と勉強は欠かさず行っている。
なんか、この作品を完成させるぞ! って思いながら執筆をしていないと、一日が長く感じて仕方が無いわ。あ、でもその分マリーとたくさんお話したり、買い物をする時間を取れるのは嬉しい事ね。
「ティア様、お洗濯ものを干してきますね」
「あ、私もやるわ。ちょうどする事がなくて」
「ありがとうございます」
このままボケーッとしてても仕方がないと思った私は、マリーと一緒に外に出て洗濯を干し始める。
うーん、今日も良い天気だわ。風でパタパタと動く洗濯物を見ていると、なんだか綺麗にしてもらって喜んでいるように見えるのは私だけかしら?
「平和ねぇ……ついこの前屋敷に呼ばれたり、家の壁に落書きされたとは思えないくらいの平和っぷりね」
「平和が一番ですわ。それにしても……あれ以来、音沙汰が無いのは不気味ですわ」
「そうね。まあ気にしてたら相手の思うつぼだし、気にしないようにしましょう。話を振った私が言うのも変な話だけど」
「ふふっ、そうかもですね」
「あーっ! そこはそんな事はないですよってフォローしなさいよー! って……あら?」
マリーと楽しく話をしていると、パークスの街の方から、郵便屋さんの男性がやって来て、私達に一通の手紙を届けてくれた。
「ご苦労さまです。誰からでしょうか……あ、ティア様。ユース様からです」
「ユースさん!? 見せて見せて!」
マリーから手紙を受け取った私は、急いで手紙の封を開けると、二人で手紙の内容を確認する。
そこには……私の書いた二作目の物語の出版が決まったという事。そしてその売り上げは大反響。今まで流されていた悪い噂などに惑わされなかった読者を中心に、様々な人が買ってくれてるという報告が書かれていた。
「やっ……ったー!! 二冊目も出せるわー!!」
「おめでとうございます! あっ、まだ続きがありますよティア様」
「ほ、ほんとね」
思わず嬉しすぎてマリーに抱きついてクルクルしちゃったわ。いいじゃないそれくらい嬉しかったんだから!
「続きっと……あっ! アベル様の作品を余裕で抜いたって! むしろ私の本が出た事で、売り上げが激減してるって!」
「当然の結果ですわ。いくらプロが書いたところで、モデルがあの二人では、物語が良くてもキャラクターに感情移入できませんわ」
「な、中々ズバズバいくわねマリー」
私達の場合は、モデルとなったアベル様とニーナの事を知っているせいで、余計に感情移入がしにくいっていうのもある。それを差し引いても、自分大好き主人公とワガママヒロインというキャラは、読んでいて何なのこの人達ってなっちゃうのよね。
「なんにせよ……私達はアベル様に勝ったって事で良いのかしら?」
「それで間違いないかと。むしろ、完全勝利と言っても過言ではないですわ」
「そっか……完全勝利、かぁ……ふふっ……」
「ティア様?」
「やったやったー! あんな汚い事をする人達の作品よりも、私の大切な物語やキャラクターが認められたわ! バンザーイ!!」
もし私の物語が、アベル様達の物語に負けちゃったらどうしようとずっと思ってたんだけど、無事に勝てて本当に安心したわ。やっぱり悪が負ける運命にあるのは、現実でも同じなのかもしれないわ!
「えっと……まだ何か書いてあるわね……あっ……出版業務とその他諸々の仕事で休み返上で働いてるから、まだもうしばらくは会えないって書いてある……」
「仕事では仕方ありませんわ。会えないのはおつらいでしょうけど、次にお会いした時の嬉しさが倍になりますよ」
「マリー……」
そうよね……そうよね! 今は会えなくてつらいけど、ユースさんは頑張ってるんだから、私も頑張って耐えないと! それに、マリーの言う通り、今頑張れば次に会った時が凄く嬉しくなれるわ!
って思っても……やっぱり寂しいものは寂しい……もう私の身も心も完全にユースさんのものになっちゃってるから、少しでも会えないと寂しくて寂しくて……こんなにした責任を取ってもらうためにも、毎日仕事を無事に、そして早く終えられますようにってお祈りしちゃうんだから! 覚悟しておいてよね!
****
「ふぇ~ん……寂しいよぉ……ユースさぁ~ん……」
ユースさんから手紙を貰ってから、更に二カ月が経ち——私は窓の外から溜息を漏らす日々が続いていた。
あれから一回もユースさんに会えてないどころか、手紙もあの一通が来たっきりだ。便りが無いのは元気な証拠なんていうけど、ずっと連絡が無いとやっぱり心配になる。
それに……もう会いたいって気持ちが溜まり過ぎて、執筆にも影響が出始めてしまっている。最初は普通に書いていられるんだけど、気付いたらユースさんの事ばかり考えてしまう。
それだけに留まらず、勉強のために読書をしていても、すぐにユースさんの事で妄想を始めてしまう始末。
……自分の事ながら、ユースさんが好きすぎてちょっと引いちゃうんだけど。現実の人に恋をするのは初めてだから知らなかったけど、私って恋をするとこんなになっちゃう性格だったのね。
「ティア様、おいたわしや……」
「マリー……さ、さて! そろそろ買い物に行く時間だし、準備しましょうか!」
私の元気がない事を心配しているマリーに、なるべくこれ以上心配をかけないように、私は無理に明るく振舞ってみせる。
本当、私ったらダメね……いくら寂しいからって、マリーに心配をかけてどうするのよ。明日こそ、きっとユースさんに会えるわ。そうやって信じ続けていれば、きっと乗りこえられる!
そう思いながら出かける準備をしようとすると、玄関の戸を控えめにノックする音が聞こえてきた。
「お客様? 珍しいわね」
「私が出ますわ」
マリーが玄関を開けると、そこにはまるで貴族の男性が着るような服を着て、バッチリと身支度を整えているユースさんが立っていた――
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