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第四十三話 レオ様の意図
翌日。私は今日もレオ様と一緒に昼休みを過ごしたが、放課後は言われた通りに一人で図書室で過ごしていた。
図書室にはたまに来るけれど、シャーロットやフローラに見つかると難癖をつけられるし、周りに変な目で見られるから、あまり利用してこなかったのよ。
「ふぅ……」
一通り読みたい本を見つけた私は、本を借りて図書室を後にすると、誰かが私をつけているのに気が付いた。
恐らくだけど、シャーロットかフローラのどちらか、もしくは両方が私とレオ様のことを問い詰めて、気に入らなければまた暴力を振るおうとしているのでしょうね。
また絡まれるのは面倒だけど、レオ様を信じて言う通りにしてみよう。
えっと、このまま人気が少ない所に行けばいいのよね。それじゃあ、旧別館に行って、彼女達に絡まれたら、助けを呼びながら逃げよう。
いつもだったら、助けを呼んだり逃げたりしないで受け入れていたから、なんだか新鮮な気分ね。
「…………」
チラッとだけ後ろを見てみる。すると、物陰から金色の髪が少しだけ見えた。
あの髪は、多分シャーロットだろう。他にも金髪の人なんて沢山いるけど、私の後をつけたり隠れたりするのなんて、シャーロットくらいしか思いつかない。
前々からずっと思っていたけど、本当に二人揃って暇なのね。私のことが気に入らないのは結構だけど、こんなに早く行動を起こすなんてね。
それにしても、結構人が少ない場所まで来たのに、声をかけて来ないわね。これだと、多分レオ様の望む状況にならない。
……ちょっと煽ってみようかしら。
「レオ様、もう先に来てるかしら? ふふっ、今日はどんな話をしようかしら……楽しみだわ」
「はぁ? そんなこと、させるわけないでしょ?」
怒気を孕んだ声が、背後から聞こえてきた。そこには、腕を組んで仁王立ちするシャーロットと、苦虫を噛み潰したような表情のフローラ、そしてその取り巻き達がいた。
これはまた、随分な大所帯で来たのね。よっぽど私がレオ様と一緒にいるのが気に入らないのね。
「あなた、どうしてレオ様と一緒に登校しておりますの? それも、手を繋いでなんて……は、破廉恥な!」
「どうしてって、レオ様とお付き合いをさせてもらっているからよ」
「はぁ!? フローラが言ってたのって本当だったわけ!? ていうか、お姉様がレオ様とお付き合いとか、信じられない!」
信じられないって言われても……何も嘘は言っていないから、それ以上のことは何も言えないわ。
「そもそも、あなたとレオ様はずっと一緒にいておりませんでしたわ。なのに、どうして?」
「彼にも事情があったのよ。別に喧嘩別れをしてたわけじゃないの」
「っ……! ふざけるんじゃないわよ! 私がレオ様のことを好きだってわかってて、そんな酷いことをしたんですの!?」
何とも理不尽なことを言いながら、フローラは取り巻きと一緒に私に迫ってきた。
いつもなら、ここでまたいつものかって思って受け入れるんだけど、今回はそれではダメなのよね。あまり大きな声を出すのは得意じゃないけど……やってみよう!
「フローラ、気持ちはわかるけど……まずはそのペンダントから何とかしないと」
「そうですわね。また邪魔が入られたら、たまったものじゃないですものね」
「すうぅぅぅぅ……きゃあああああ!! 誰か助けてぇぇぇぇ!!!!」
「なっ!? 逃げましたわよ!?」
「うそっ、あのお姉様が逃げるだなんて……早く追うわよ!」
私は出来る限り大きな悲鳴を上げながら、全速力でその場から逃げ出し、人が多い本校舎の方へと走りだす。
しかし、私は運動も苦手で体力が無いせいで、本校舎に到着する前にシャーロット達に追いつかれ、捕まってしまった。
「は、離して!」
「やっと捕まえた。まったく、お姉様が助けを呼ぶのは想定外だったけど……逃げたって無駄よ。あたし、こう見えても運動も大得意だから!」
……悔しいけど、シャーロットの言っていることは真実だ。運動も全然ダメな私と違い、シャーロットは運動でもトップクラスの成績を持っている。だから、頑張って逃げようとしたところで、捕まってしまうのは避けられないのよ。
「さて、まずはさっきの所に戻って、そのペンダントを渡してもらおうかな」
「ペンダント……嫌っ! これはレオ様から頂いた大切なものなんだから!」
「あら、良いことを聞いてしまいましたわね。シャーロット、そのペンダントもあの栞の様にして差し上げたら?」
「それいいね!」
フローラの一言で、あの時のことを思い出してしまった。大切な物を、目の前で引き裂かれて……自分の体まで引き裂かれたように感じた苦しみは、言葉では言い表せない。
それと同時に、激しい怒りが湧いてきた。でも、ここで感情的になっても仕方がない。言われた通りのことを遂行し続けよう。
「はな……して! 誰かぁぁぁぁ!!」
「なによ、今日は随分としつこいわね。助けなんて呼んだって、誰も来やしないよ」
「それはどうかな?」
以前にもあった様に、どこからかレオ様の声が聞こえたと同時に、レオ様は私を助けるために割って入ってきた。
ああ、どうしよう……颯爽と来てくれるレオ様……カッコいいわ! 更に好きになってしまいそう!
「ちっ、ペンダントは光ってないのにくるなんてね、今日は色々と想定外のことが起きちゃったね」
「良いことを教えてあげよう。そういう時は、さっさと帰って家族と話をして寝るのが一番だよ。そうすると、想定外だったことなんて忘れて、次の日を迎えられるよ」
「ふんっ、そんな気遣いは無用よ! フローラ、今日は退散するわよ」
「……そうですわね。行きましょう」
シャーロットはフローラを、フローラは取り巻き達に退散の意を伝えると、揃ってそそくさと私達の前から去っていった。
「とりあえず間に合った、かな?」
「はい。どこも痛い所はありません」
「それはよかった! こっちも良い感じだし、順調さ」
「……? よくわかりませんが、順調ならよかっ――」
よかったと言い切る前に、レオ様は私のことを優しく抱きしめてきた。
この辺りは、まだ人気が少ないあたりだからいいけど、急に抱きしめられたら驚いてしまうわ。
「れ、レオ様? どうかしましたか?」
「いや……無事で良かったって思ったら、つい……ごめんよ、こんなことに付き合わせてしまって」
「いいんです。今までずっと、私のために色々してくれたんですから、今度は私がレオ様のために頑張る番です。さあ、次は何をしますか?」
「あ、ああ……今日はもう帰ろうか。アメリアも疲れただろう?」
「そ、それは……はい」
「じゃあ帰ろう!」
私はレオ様と一緒に、馬車に乗って帰路につく。
とりあえず実行をしてみたけど、結局レオ様の意図や、やりたいことがわからなかった。でも……まあいいかな。ちゃんと助けに来てくれたし、助けてくれるレオ様、カッコいいし……ふふっ。
図書室にはたまに来るけれど、シャーロットやフローラに見つかると難癖をつけられるし、周りに変な目で見られるから、あまり利用してこなかったのよ。
「ふぅ……」
一通り読みたい本を見つけた私は、本を借りて図書室を後にすると、誰かが私をつけているのに気が付いた。
恐らくだけど、シャーロットかフローラのどちらか、もしくは両方が私とレオ様のことを問い詰めて、気に入らなければまた暴力を振るおうとしているのでしょうね。
また絡まれるのは面倒だけど、レオ様を信じて言う通りにしてみよう。
えっと、このまま人気が少ない所に行けばいいのよね。それじゃあ、旧別館に行って、彼女達に絡まれたら、助けを呼びながら逃げよう。
いつもだったら、助けを呼んだり逃げたりしないで受け入れていたから、なんだか新鮮な気分ね。
「…………」
チラッとだけ後ろを見てみる。すると、物陰から金色の髪が少しだけ見えた。
あの髪は、多分シャーロットだろう。他にも金髪の人なんて沢山いるけど、私の後をつけたり隠れたりするのなんて、シャーロットくらいしか思いつかない。
前々からずっと思っていたけど、本当に二人揃って暇なのね。私のことが気に入らないのは結構だけど、こんなに早く行動を起こすなんてね。
それにしても、結構人が少ない場所まで来たのに、声をかけて来ないわね。これだと、多分レオ様の望む状況にならない。
……ちょっと煽ってみようかしら。
「レオ様、もう先に来てるかしら? ふふっ、今日はどんな話をしようかしら……楽しみだわ」
「はぁ? そんなこと、させるわけないでしょ?」
怒気を孕んだ声が、背後から聞こえてきた。そこには、腕を組んで仁王立ちするシャーロットと、苦虫を噛み潰したような表情のフローラ、そしてその取り巻き達がいた。
これはまた、随分な大所帯で来たのね。よっぽど私がレオ様と一緒にいるのが気に入らないのね。
「あなた、どうしてレオ様と一緒に登校しておりますの? それも、手を繋いでなんて……は、破廉恥な!」
「どうしてって、レオ様とお付き合いをさせてもらっているからよ」
「はぁ!? フローラが言ってたのって本当だったわけ!? ていうか、お姉様がレオ様とお付き合いとか、信じられない!」
信じられないって言われても……何も嘘は言っていないから、それ以上のことは何も言えないわ。
「そもそも、あなたとレオ様はずっと一緒にいておりませんでしたわ。なのに、どうして?」
「彼にも事情があったのよ。別に喧嘩別れをしてたわけじゃないの」
「っ……! ふざけるんじゃないわよ! 私がレオ様のことを好きだってわかってて、そんな酷いことをしたんですの!?」
何とも理不尽なことを言いながら、フローラは取り巻きと一緒に私に迫ってきた。
いつもなら、ここでまたいつものかって思って受け入れるんだけど、今回はそれではダメなのよね。あまり大きな声を出すのは得意じゃないけど……やってみよう!
「フローラ、気持ちはわかるけど……まずはそのペンダントから何とかしないと」
「そうですわね。また邪魔が入られたら、たまったものじゃないですものね」
「すうぅぅぅぅ……きゃあああああ!! 誰か助けてぇぇぇぇ!!!!」
「なっ!? 逃げましたわよ!?」
「うそっ、あのお姉様が逃げるだなんて……早く追うわよ!」
私は出来る限り大きな悲鳴を上げながら、全速力でその場から逃げ出し、人が多い本校舎の方へと走りだす。
しかし、私は運動も苦手で体力が無いせいで、本校舎に到着する前にシャーロット達に追いつかれ、捕まってしまった。
「は、離して!」
「やっと捕まえた。まったく、お姉様が助けを呼ぶのは想定外だったけど……逃げたって無駄よ。あたし、こう見えても運動も大得意だから!」
……悔しいけど、シャーロットの言っていることは真実だ。運動も全然ダメな私と違い、シャーロットは運動でもトップクラスの成績を持っている。だから、頑張って逃げようとしたところで、捕まってしまうのは避けられないのよ。
「さて、まずはさっきの所に戻って、そのペンダントを渡してもらおうかな」
「ペンダント……嫌っ! これはレオ様から頂いた大切なものなんだから!」
「あら、良いことを聞いてしまいましたわね。シャーロット、そのペンダントもあの栞の様にして差し上げたら?」
「それいいね!」
フローラの一言で、あの時のことを思い出してしまった。大切な物を、目の前で引き裂かれて……自分の体まで引き裂かれたように感じた苦しみは、言葉では言い表せない。
それと同時に、激しい怒りが湧いてきた。でも、ここで感情的になっても仕方がない。言われた通りのことを遂行し続けよう。
「はな……して! 誰かぁぁぁぁ!!」
「なによ、今日は随分としつこいわね。助けなんて呼んだって、誰も来やしないよ」
「それはどうかな?」
以前にもあった様に、どこからかレオ様の声が聞こえたと同時に、レオ様は私を助けるために割って入ってきた。
ああ、どうしよう……颯爽と来てくれるレオ様……カッコいいわ! 更に好きになってしまいそう!
「ちっ、ペンダントは光ってないのにくるなんてね、今日は色々と想定外のことが起きちゃったね」
「良いことを教えてあげよう。そういう時は、さっさと帰って家族と話をして寝るのが一番だよ。そうすると、想定外だったことなんて忘れて、次の日を迎えられるよ」
「ふんっ、そんな気遣いは無用よ! フローラ、今日は退散するわよ」
「……そうですわね。行きましょう」
シャーロットはフローラを、フローラは取り巻き達に退散の意を伝えると、揃ってそそくさと私達の前から去っていった。
「とりあえず間に合った、かな?」
「はい。どこも痛い所はありません」
「それはよかった! こっちも良い感じだし、順調さ」
「……? よくわかりませんが、順調ならよかっ――」
よかったと言い切る前に、レオ様は私のことを優しく抱きしめてきた。
この辺りは、まだ人気が少ないあたりだからいいけど、急に抱きしめられたら驚いてしまうわ。
「れ、レオ様? どうかしましたか?」
「いや……無事で良かったって思ったら、つい……ごめんよ、こんなことに付き合わせてしまって」
「いいんです。今までずっと、私のために色々してくれたんですから、今度は私がレオ様のために頑張る番です。さあ、次は何をしますか?」
「あ、ああ……今日はもう帰ろうか。アメリアも疲れただろう?」
「そ、それは……はい」
「じゃあ帰ろう!」
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