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第二十八話 楽しいお話
「――悪い怪物に捕まっていたお姫様は、助けに来てくれた王子様につれられて、自分の国に帰ることが出来ました。こうしてお姫様は、王子様と恋に落ち、結婚して幸せに暮らしましたとさ……めでたしめでたし」
最後までお話を追えると、ずっと固まった様に話を聞いていたモモちゃんが、突然動きだしたと思ったら、持っていた絵本の一ページを開いた。
「モモちゃん、大切な本が破れちゃいますわよ」
「わかってる。でも……読める部分を見ると、全部間違ってない……!」
「よかった。私、ちょっとだけ記憶力が良いのです」
「この絵本を全部覚えるなんて、凄いよお姉ちゃん!」
「あなたが喜んでくれて、私も嬉しいですわ」
さっきまで敵意を剥き出しにしていた子とは思えないくらい、キラキラした目を私に向けてくれた。
うんうん、やっぱり子供はこういう顔の方が似合うわ。
「ねえねえお姉ちゃん、他のお話も知ってるの?」
「ええ。文字の勉強をする時に、絵本を教材にしたこともありましてね。その時に沢山覚えたのですよ」
「わあ、凄い! じゃあ、あれをお話してほしい! 海賊ピラートの大冒険!」
「もちろんいいですわよ。昔々、あるところに……ピラートという名の海賊がおりました……」
私はモモちゃんのお願いを快く引き受けると、ゆっくりと話し始める。
海賊ピラートの大冒険は、この国ではポピュラーな冒険物語だ。元々は小説だが、小さい子供向けに絵本にもなっている。
「――ピラートは、大海賊が残したお宝を見つけることは出来ませんでした。しかし、冒険の中で得た仲間や、多くの人との出会い。それがいつの間にか、ピラートの宝物となっておりました。ピラートはそれが自分にとって、世界一のお宝だと喜び、仲間達と一緒に、朝になるまでお祭り騒ぎを楽しんだ後、再び冒険に出るのでした――めでたしめでたし」
「凄い凄い! お姉ちゃんって歩く絵本屋さんみたい!」
「ふふっ、ありがとう」
何の役にも立たない、むしろ嫌なことを忘れられない欠陥の頭だと思っていたのに、まさかこんなところで誰かの役に立てるだなんて、思ってもなかったわ。
そんなことを思っていると、モモちゃんと同じくらいの子供達が、こちらに向かって走ってきた。
「あれ、モモちゃんだ~! 一緒に遊ぼ……あのお姉さんは誰だろう?」
「なんだよお前、知らないのかよ! ブラハルト様のお嫁さんだぞ!」
「そうなの!? わぁ~綺麗な人! モモちゃん、お嫁さんと何してるの?」
「この人にね、絵本の物語を聞いてたの! このお姉ちゃん、凄いんだよ! 絵本を見なくても、お話を何でもお話してくれるの!」
やってきた子供達に向かって、モモちゃんは興奮気味に話すと、子供達の期待で輝く目が私に向けられた。
さすがになんでもとは言えないけど……子供達の期待に裏切るのは、あまりにも可哀想だ。出来る範囲で応えよう。
「マジかよ!? 姉ちゃん、ピラートの話とか話せる!?」
「ええ、全部わかりますわよ。つい先程、モモちゃんにお話しましたの」
「すっげ~!」
「わたし達も聞きた~い!」
「もちろんいいですよ。何かリクエストはあるでしょうか?」
笑顔で優しく問いかけると、子供達の少し丸みを帯びた小さな手が、元気よく天に向かって突き上げられた。
「はいは~い! わたし、リクエストある~!」
「おい、オレが先だぞ!」
「ちょっと、あたしがお姉ちゃんに話してもらってたんだよ!」
「こら、ケンカは駄目ですわよ。ちゃんと順番に話してあげますから」
私は、元気がありあまる子供達を微笑ましく思いながら、リクエストされたお話を語り続けた。
****
――その後も子供達のリクエストに応えて、絵本になっている物語をいくつも話してあげた。
最初はモモちゃんだけだったのに、いつの間にかたくさんの子供達に囲まれてしまったけど、子供達と交流するのはとても楽しくて、いつの間にか辺りは夕方になってしまっていた。
「さて、そろそろ日が暮れてきましたし、お家に帰りましょうね」
「え~!? もっとお話が聞きたいよ~!」
モモちゃんを筆頭に、子供達は首を横に振って否定の意を示す。
私のお話を楽しく、そして熱心に聞いてくれるのはとても嬉しいけど、子供はもう帰る時間だから、しっかりと説得して帰らせないとね。
「ちゃんと言うことを聞いた子には、またお話してあげますわ」
「ホントに? 明日も明後日も?」
「さすがに明日や明後日は難しいですが……イリチェ村に訪れた時は、またお話を聞かせてあげると、お約束しますわ」
「約束だよ!」
子供達は、約束をしたことで納得してくれたようで、私に大きく手を振りながら、ぞろぞろと家へと帰っていった。
今日は知らないお話をリクエストされなかったから良かったけど、次もそうとは限らない。
子供達の期待を裏切らないためにも、色々と物語を読んで覚えておかないとね。子供達に喜んでもらえて、私の文字の勉強にもなるし、まさに一石二鳥だわ。
「随分と人気者になったようだな」
「ええ、とても光栄なことですわ……って、ブラハルト様!?」
声のした方を見てみると、近くの茂みからブラハルト様がひょっこりと顔を出していた。
ああビックリした……自然に声をかけてくるものだから、ついこちらも自然に返してしまったわ。
「もう、そんな所に隠れてなにをされているんですか?」
「ダミアン殿と話を終えて、エルミーユの帰りを待っていたんだが、遅いから迎えに来たんだ。そうしたら、とても楽しそうに子供達と交流をしていたから、隠れて見守っていた。ほら、俺が出て行ったら、折角の空気が壊れてしまうだろう?」
こんな時まで、優しい気遣いが出来るだなんて……さすがブラハルト様だわ。
「それにしても、子供達と話している時のエルミーユ、とても楽しそうに笑っていたな。見ているだけで、俺も幸せになれた」
「ブラハルト様……」
ニコリと微笑むブラハルト様に反応するように、私の胸が大きく高鳴った。それと同時に、体中が熱くなっていく。
まただ。最近、本当にこのよくわからない現象が何度も起こる。
ブラハルト様も、似たような現象が起こると仰っていたけど……一体これは何なのだろうか。
「さて、そろそろ俺達も帰るとしようか」
「……わかりました」
まだ自分の顔も体も熱くなっているのを感じながら、ブラハルト様が差し出してくれた手を取って、ダミアン様の家に帰ってくると、家の前ではダミアン様とモモちゃんが待ってくれていた。
「おかえりなさい、エルミーユ様。イリチェ村はいかがでしたか?」
「とてものどかで、素晴らしい村でしたわ。私、とても気に入りました」
「それはなによりです。よろしければ、またお越しになってください。我々は、エルミーユ様のまたのお越しを、心よりお待ちしております」
「ありがとう存じます、ダミアン様」
私は、とても歓迎してくれた皆様への感謝の意を込めて、深々とお辞儀をしてから、馬車へと乗り込んだ。
「お姉ちゃん、また来てね! 約束、忘れないでね!」
「ええ、もちろんですわ。必ずまた会いましょう」
窓の外で、一生懸命に大きく手を振るモモちゃんに、小さく手を振ると、それを合図にするように、馬車はゆっくりと出発した。
「どうだ、息抜きは出来たか?」
「はい、とても! 散歩しているだけでも癒されるのに、暖かい人達や、元気な子供達と触れ合えて、素晴らしい一日になりましたわ」
「そうか。良かったな、エルミーユ」
「はい!」
もうエスコートの必要は無いのだが、互いに離す気がないのか、繋いだままの手に少しだけ力を入れながら、大きく頷いた。
「って……ブラハルト様は息抜きできたのですか? ずっとダミアン様と、橋のことでお話をされていたのでしょう?」
「橋のことは聞いてたのか。確かにその話もしたけど、他にも楽しく雑談をしたし、なにより……」
「なにより?」
「とても楽しそうなエルミーユを見れたからね。それだけで、俺にとっては最高の息抜きさ」
「っ……!」
あ、あぁもう……この人は、こういうことを平然と言うんだから……! またあのよくわからない胸の高鳴りが起きちゃうわ!
「そうだ、聞いてくれ。さっき覗き見をしていた時なんだけど」
自分で覗きと認めてしまうんですか……。
「その時の、母性すら感じるエルミーユの楽しそうな笑顔を見ていたら、また例の高鳴りを感じたよ。本当に、これはなんなのだろうな……?」
「そうなのですね。私は、今がそれですわ」
「なんだって? むぅ、本当にこれはなんなのだろうか……」
「わかりませんけど、以前お話した通り、私たちは幸せなんですから、それでいいと思いますわ」
「それもそうだな」
繋いだ手を離すのは、まだもう少し先になりそうだ。
というより、私が話したくないというか……もう少し触れていたいような……もう、本当になんかのかしら? 実家にいた頃は、こんなのなったことがない。
いつかはわかるだろうけど、今はまだいい。今は……ブラハルト様のエスコートに、ドキドキと共に来る幸福感を楽しもう。
最後までお話を追えると、ずっと固まった様に話を聞いていたモモちゃんが、突然動きだしたと思ったら、持っていた絵本の一ページを開いた。
「モモちゃん、大切な本が破れちゃいますわよ」
「わかってる。でも……読める部分を見ると、全部間違ってない……!」
「よかった。私、ちょっとだけ記憶力が良いのです」
「この絵本を全部覚えるなんて、凄いよお姉ちゃん!」
「あなたが喜んでくれて、私も嬉しいですわ」
さっきまで敵意を剥き出しにしていた子とは思えないくらい、キラキラした目を私に向けてくれた。
うんうん、やっぱり子供はこういう顔の方が似合うわ。
「ねえねえお姉ちゃん、他のお話も知ってるの?」
「ええ。文字の勉強をする時に、絵本を教材にしたこともありましてね。その時に沢山覚えたのですよ」
「わあ、凄い! じゃあ、あれをお話してほしい! 海賊ピラートの大冒険!」
「もちろんいいですわよ。昔々、あるところに……ピラートという名の海賊がおりました……」
私はモモちゃんのお願いを快く引き受けると、ゆっくりと話し始める。
海賊ピラートの大冒険は、この国ではポピュラーな冒険物語だ。元々は小説だが、小さい子供向けに絵本にもなっている。
「――ピラートは、大海賊が残したお宝を見つけることは出来ませんでした。しかし、冒険の中で得た仲間や、多くの人との出会い。それがいつの間にか、ピラートの宝物となっておりました。ピラートはそれが自分にとって、世界一のお宝だと喜び、仲間達と一緒に、朝になるまでお祭り騒ぎを楽しんだ後、再び冒険に出るのでした――めでたしめでたし」
「凄い凄い! お姉ちゃんって歩く絵本屋さんみたい!」
「ふふっ、ありがとう」
何の役にも立たない、むしろ嫌なことを忘れられない欠陥の頭だと思っていたのに、まさかこんなところで誰かの役に立てるだなんて、思ってもなかったわ。
そんなことを思っていると、モモちゃんと同じくらいの子供達が、こちらに向かって走ってきた。
「あれ、モモちゃんだ~! 一緒に遊ぼ……あのお姉さんは誰だろう?」
「なんだよお前、知らないのかよ! ブラハルト様のお嫁さんだぞ!」
「そうなの!? わぁ~綺麗な人! モモちゃん、お嫁さんと何してるの?」
「この人にね、絵本の物語を聞いてたの! このお姉ちゃん、凄いんだよ! 絵本を見なくても、お話を何でもお話してくれるの!」
やってきた子供達に向かって、モモちゃんは興奮気味に話すと、子供達の期待で輝く目が私に向けられた。
さすがになんでもとは言えないけど……子供達の期待に裏切るのは、あまりにも可哀想だ。出来る範囲で応えよう。
「マジかよ!? 姉ちゃん、ピラートの話とか話せる!?」
「ええ、全部わかりますわよ。つい先程、モモちゃんにお話しましたの」
「すっげ~!」
「わたし達も聞きた~い!」
「もちろんいいですよ。何かリクエストはあるでしょうか?」
笑顔で優しく問いかけると、子供達の少し丸みを帯びた小さな手が、元気よく天に向かって突き上げられた。
「はいは~い! わたし、リクエストある~!」
「おい、オレが先だぞ!」
「ちょっと、あたしがお姉ちゃんに話してもらってたんだよ!」
「こら、ケンカは駄目ですわよ。ちゃんと順番に話してあげますから」
私は、元気がありあまる子供達を微笑ましく思いながら、リクエストされたお話を語り続けた。
****
――その後も子供達のリクエストに応えて、絵本になっている物語をいくつも話してあげた。
最初はモモちゃんだけだったのに、いつの間にかたくさんの子供達に囲まれてしまったけど、子供達と交流するのはとても楽しくて、いつの間にか辺りは夕方になってしまっていた。
「さて、そろそろ日が暮れてきましたし、お家に帰りましょうね」
「え~!? もっとお話が聞きたいよ~!」
モモちゃんを筆頭に、子供達は首を横に振って否定の意を示す。
私のお話を楽しく、そして熱心に聞いてくれるのはとても嬉しいけど、子供はもう帰る時間だから、しっかりと説得して帰らせないとね。
「ちゃんと言うことを聞いた子には、またお話してあげますわ」
「ホントに? 明日も明後日も?」
「さすがに明日や明後日は難しいですが……イリチェ村に訪れた時は、またお話を聞かせてあげると、お約束しますわ」
「約束だよ!」
子供達は、約束をしたことで納得してくれたようで、私に大きく手を振りながら、ぞろぞろと家へと帰っていった。
今日は知らないお話をリクエストされなかったから良かったけど、次もそうとは限らない。
子供達の期待を裏切らないためにも、色々と物語を読んで覚えておかないとね。子供達に喜んでもらえて、私の文字の勉強にもなるし、まさに一石二鳥だわ。
「随分と人気者になったようだな」
「ええ、とても光栄なことですわ……って、ブラハルト様!?」
声のした方を見てみると、近くの茂みからブラハルト様がひょっこりと顔を出していた。
ああビックリした……自然に声をかけてくるものだから、ついこちらも自然に返してしまったわ。
「もう、そんな所に隠れてなにをされているんですか?」
「ダミアン殿と話を終えて、エルミーユの帰りを待っていたんだが、遅いから迎えに来たんだ。そうしたら、とても楽しそうに子供達と交流をしていたから、隠れて見守っていた。ほら、俺が出て行ったら、折角の空気が壊れてしまうだろう?」
こんな時まで、優しい気遣いが出来るだなんて……さすがブラハルト様だわ。
「それにしても、子供達と話している時のエルミーユ、とても楽しそうに笑っていたな。見ているだけで、俺も幸せになれた」
「ブラハルト様……」
ニコリと微笑むブラハルト様に反応するように、私の胸が大きく高鳴った。それと同時に、体中が熱くなっていく。
まただ。最近、本当にこのよくわからない現象が何度も起こる。
ブラハルト様も、似たような現象が起こると仰っていたけど……一体これは何なのだろうか。
「さて、そろそろ俺達も帰るとしようか」
「……わかりました」
まだ自分の顔も体も熱くなっているのを感じながら、ブラハルト様が差し出してくれた手を取って、ダミアン様の家に帰ってくると、家の前ではダミアン様とモモちゃんが待ってくれていた。
「おかえりなさい、エルミーユ様。イリチェ村はいかがでしたか?」
「とてものどかで、素晴らしい村でしたわ。私、とても気に入りました」
「それはなによりです。よろしければ、またお越しになってください。我々は、エルミーユ様のまたのお越しを、心よりお待ちしております」
「ありがとう存じます、ダミアン様」
私は、とても歓迎してくれた皆様への感謝の意を込めて、深々とお辞儀をしてから、馬車へと乗り込んだ。
「お姉ちゃん、また来てね! 約束、忘れないでね!」
「ええ、もちろんですわ。必ずまた会いましょう」
窓の外で、一生懸命に大きく手を振るモモちゃんに、小さく手を振ると、それを合図にするように、馬車はゆっくりと出発した。
「どうだ、息抜きは出来たか?」
「はい、とても! 散歩しているだけでも癒されるのに、暖かい人達や、元気な子供達と触れ合えて、素晴らしい一日になりましたわ」
「そうか。良かったな、エルミーユ」
「はい!」
もうエスコートの必要は無いのだが、互いに離す気がないのか、繋いだままの手に少しだけ力を入れながら、大きく頷いた。
「って……ブラハルト様は息抜きできたのですか? ずっとダミアン様と、橋のことでお話をされていたのでしょう?」
「橋のことは聞いてたのか。確かにその話もしたけど、他にも楽しく雑談をしたし、なにより……」
「なにより?」
「とても楽しそうなエルミーユを見れたからね。それだけで、俺にとっては最高の息抜きさ」
「っ……!」
あ、あぁもう……この人は、こういうことを平然と言うんだから……! またあのよくわからない胸の高鳴りが起きちゃうわ!
「そうだ、聞いてくれ。さっき覗き見をしていた時なんだけど」
自分で覗きと認めてしまうんですか……。
「その時の、母性すら感じるエルミーユの楽しそうな笑顔を見ていたら、また例の高鳴りを感じたよ。本当に、これはなんなのだろうな……?」
「そうなのですね。私は、今がそれですわ」
「なんだって? むぅ、本当にこれはなんなのだろうか……」
「わかりませんけど、以前お話した通り、私たちは幸せなんですから、それでいいと思いますわ」
「それもそうだな」
繋いだ手を離すのは、まだもう少し先になりそうだ。
というより、私が話したくないというか……もう少し触れていたいような……もう、本当になんかのかしら? 実家にいた頃は、こんなのなったことがない。
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※長編版と差し替えました。2025年7月2日
※コミカライズ化が決定しました。商業化した際はアルファポリス版は非公開に致します。
※表紙イラストは猫様からお借りしています。