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第二十三話 結果の通知
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「ごめんくださーい、郵便でーす」
ギルドに申請を出した日から三日後、オーウェン様の家に一通の大きな封筒が届けられた。差出人は、ギルドだった。
きっと薬師として認められたかどうかの審査の結果に違いない。そう思いながら、私は緊張で震える手で封筒を受け取った。
「エリンお姉ちゃん、それってこの前の結果?」
「多分そうよ。通っていると良いのだけど……」
「きっと大丈夫さ。みんなで確認してみよう」
オーウェン様に励まされながら、更に震えが強くなった手で封筒を開封すると、そこには一枚の書類が入っていた。
そこには、私の申請を承諾し、薬屋アトレの薬師として働くことを許可する旨が書かれていた。
「こ、これって……ねえお兄ちゃん! 大丈夫だったってことだよね!?」
「ああ、そうだな。おめでとうエリン」
「おめでとう~!」
審査が無事に通ったことに安心していると、喜びを爆発させたココちゃんに強く抱きつかれた。
まだ元気になってからさほど時間が経っていないのに、一体どこにそんな力があるのかと疑問になるくらい、強い力で抱きついているけど、それがココちゃんの喜びと祝福の気持ちが込められているようで……とても嬉しく感じられたわ。
「ありがとう、ココちゃん。ありがとうございます、オーウェン様。でも、喜んでばかりもいられませんよね」
「そうだな。あくまで薬師になるのは、スタートラインでしかないからな」
「今日くらいは喜んでいいと思うんだけどなぁ……それで、これからどうすればいいの?」
「ココも見たと思うが、ギルドには依頼書と、広告が多数掲載されている。そこでアトレを宣伝しつつ、薬を欲している依頼人にアプローチするのが良いだろう」
なるほど、そうなるとまずはアトレの宣伝をしてから、その後に依頼を探す形がいいかしら? その方が、依頼人と交渉してる間も宣伝ができて、効率的だと思う。
「それじゃあ、まずは宣伝からやりましょう」
そういえば、ギルドにあった依頼書や広告は、色々な書き方があったわね。どう書くのがベストなのかしら……。
「……悩んでいても仕方がない。試しに書いてみよう」
ひとまず部屋の中にあった紙と羽ペンを使って、広告用のポスターを作ってみたのだが……。
「うーん、なんていうか……少し地味じゃないかな?」
「わ、わたしもそう思うかも……」
「ですよね……」
紙には大きな文字で、薬屋アトレを開業しました、どんな薬でも調合いたします、ご連絡はギルドかこちらの住所までご連絡してくださいという旨だけ書かれた、なんとも殺風景なものだった。
別にこれが悪いというわけではないけど……自分で言うのもなんだけど、あまりにも地味過ぎて、誰の目にも止まらないと思う。こういうの書いたことがないから、どうすれば良いのか全然わからないわ……。
「もっと可愛くてカラフルにした方が良いと思う! その方が、見てて楽しいもん!」
「……楽しいかどうかはひとまず置いておいて、ココの言い分は間違っていないな。少しでも目に留まる方が良いだろう」
「それじゃあ、絵とか描いてみるとかどうですか?」
「エリンお姉ちゃん、絵が描けるの!?」
「あまり描いたことは無いけど、小さい頃に描いた時に、知り合いにとても褒められたのよ」
「わぁ~! すっごく楽しみだね、お兄ちゃん! あ、わたしのクレヨンを貸してあげるね!」
ほんの少しだけ自慢げに話しながら、私はココちゃんのクレヨンを借りて絵を描き始める。
こんなふうに絵を描くなんて、本当に久しぶりだわ。最後に描いたのはいつだったかしら……そうだ、ハウレウと一緒に遊んだ時に、ハウレウを描いてあげたのが最後だ。
その時に、ハウレウにとても絵が上手だって褒められたのよね。残念ながら、カーティス様には理解されなかったけど。
「完成しました!」
「……エリン、一応聞くが……これは何を描いたんだ?」
「犬を描いてみました。薬には関係ないですけど、あくまでこんな感じの絵を乗せるってイメージですので、なんでもいいかなって」
出来上がった絵を二人に見せると、先程までのワクワクしていたのに、なぜか二人揃って私に背を向けた。
「……ねえお兄ちゃん、わたし……あれが犬には見えない……なんかよくわからない塊にしか見えないよ……」
「俺も同感だが……あんなに自信たっぷりなエリンに、事実を突き付けるのは……」
「二人共、コソコソ話してどうしたの?」
「ワ、ワ~! スゴクジョウズダヨ~!」
「……ココちゃん、どうしてそんなに棒読みなの……?」
「キノセイダヨ~」
「こ、これはこれで趣があっていいな!」
なんか微妙な反応な気が……き、きっと気のせいよね! だって、ハウレウはあれだけ私の絵を褒めてくれたんだもの!
「そ、そうだ。俺も試しに描いてみて良いか?」
「もちろんいいですよ」
「ありがとう。それじゃあ少し待っててくれ」
オーウェン様は、私からクレヨンと紙を受け取ると、慣れた手つきで描き始めた。
何を描いているのか気になるけど、それは完成してからのお楽しみってことにしておこう。
「よし、完成した」
「早かったですね」
「二人を待たせるわけにはいかないからな。こんな感じだが、どうだ?」
見せてくれた紙には、デフォルメ調の可愛い私とココちゃんのイラストが描かれていた。それも、その道のプロが描いたんじゃないかと思うくらい上手だった。
「凄い上手……! オーウェン様って、絵の勉強をしたことがあるんですか?」
「いや、完全に独学だ。まだ幼かったココによくせがまれて描いていたら、いつのまにかデフォルメの絵を描く技術が身についただけさ」
独学でこんなに上手く描けるものなの!? これなら、お金を払ってでも描いてもらいたいって思うくらいなんだけど!?
オーウェン様って、薬しか能がない私とは違って、剣術だったり料理だったり絵だったり、色々な技術をお持ちなのね。尊敬しちゃうわ。
「お兄ちゃんの絵、久しぶりに見たけどやっぱり好きだな~! あ、もちろんエリンお姉ちゃんの絵も好きだヨ?」
「ありがとう、ココちゃん。でも私の絵じゃオーウェン様の足元にも及ばないから、ポスターはオーウェン様に描いてもらおうと思うの。色々とお世話になっていて、またお願いするのは恐縮ですが……お願いできますか?」
「もちろんだ。俺もココも、アトレの一員だからな。さて、絵は筆にするか、クレヨンにするか……どちらも捨てがたいが……」
そう言うと、オーウェン様は広告を作るのに使いそうな道具をかき集めながら、どうするか思案を始めた。
考えている姿も、とても絵になるわね……ずっと見ていても飽きなさそう……じゃなくて。せっかくオーウェン様が広告作りをしてくれたのだから、今のうちに私に出来ることを考えておかなくちゃ。
ギルドに申請を出した日から三日後、オーウェン様の家に一通の大きな封筒が届けられた。差出人は、ギルドだった。
きっと薬師として認められたかどうかの審査の結果に違いない。そう思いながら、私は緊張で震える手で封筒を受け取った。
「エリンお姉ちゃん、それってこの前の結果?」
「多分そうよ。通っていると良いのだけど……」
「きっと大丈夫さ。みんなで確認してみよう」
オーウェン様に励まされながら、更に震えが強くなった手で封筒を開封すると、そこには一枚の書類が入っていた。
そこには、私の申請を承諾し、薬屋アトレの薬師として働くことを許可する旨が書かれていた。
「こ、これって……ねえお兄ちゃん! 大丈夫だったってことだよね!?」
「ああ、そうだな。おめでとうエリン」
「おめでとう~!」
審査が無事に通ったことに安心していると、喜びを爆発させたココちゃんに強く抱きつかれた。
まだ元気になってからさほど時間が経っていないのに、一体どこにそんな力があるのかと疑問になるくらい、強い力で抱きついているけど、それがココちゃんの喜びと祝福の気持ちが込められているようで……とても嬉しく感じられたわ。
「ありがとう、ココちゃん。ありがとうございます、オーウェン様。でも、喜んでばかりもいられませんよね」
「そうだな。あくまで薬師になるのは、スタートラインでしかないからな」
「今日くらいは喜んでいいと思うんだけどなぁ……それで、これからどうすればいいの?」
「ココも見たと思うが、ギルドには依頼書と、広告が多数掲載されている。そこでアトレを宣伝しつつ、薬を欲している依頼人にアプローチするのが良いだろう」
なるほど、そうなるとまずはアトレの宣伝をしてから、その後に依頼を探す形がいいかしら? その方が、依頼人と交渉してる間も宣伝ができて、効率的だと思う。
「それじゃあ、まずは宣伝からやりましょう」
そういえば、ギルドにあった依頼書や広告は、色々な書き方があったわね。どう書くのがベストなのかしら……。
「……悩んでいても仕方がない。試しに書いてみよう」
ひとまず部屋の中にあった紙と羽ペンを使って、広告用のポスターを作ってみたのだが……。
「うーん、なんていうか……少し地味じゃないかな?」
「わ、わたしもそう思うかも……」
「ですよね……」
紙には大きな文字で、薬屋アトレを開業しました、どんな薬でも調合いたします、ご連絡はギルドかこちらの住所までご連絡してくださいという旨だけ書かれた、なんとも殺風景なものだった。
別にこれが悪いというわけではないけど……自分で言うのもなんだけど、あまりにも地味過ぎて、誰の目にも止まらないと思う。こういうの書いたことがないから、どうすれば良いのか全然わからないわ……。
「もっと可愛くてカラフルにした方が良いと思う! その方が、見てて楽しいもん!」
「……楽しいかどうかはひとまず置いておいて、ココの言い分は間違っていないな。少しでも目に留まる方が良いだろう」
「それじゃあ、絵とか描いてみるとかどうですか?」
「エリンお姉ちゃん、絵が描けるの!?」
「あまり描いたことは無いけど、小さい頃に描いた時に、知り合いにとても褒められたのよ」
「わぁ~! すっごく楽しみだね、お兄ちゃん! あ、わたしのクレヨンを貸してあげるね!」
ほんの少しだけ自慢げに話しながら、私はココちゃんのクレヨンを借りて絵を描き始める。
こんなふうに絵を描くなんて、本当に久しぶりだわ。最後に描いたのはいつだったかしら……そうだ、ハウレウと一緒に遊んだ時に、ハウレウを描いてあげたのが最後だ。
その時に、ハウレウにとても絵が上手だって褒められたのよね。残念ながら、カーティス様には理解されなかったけど。
「完成しました!」
「……エリン、一応聞くが……これは何を描いたんだ?」
「犬を描いてみました。薬には関係ないですけど、あくまでこんな感じの絵を乗せるってイメージですので、なんでもいいかなって」
出来上がった絵を二人に見せると、先程までのワクワクしていたのに、なぜか二人揃って私に背を向けた。
「……ねえお兄ちゃん、わたし……あれが犬には見えない……なんかよくわからない塊にしか見えないよ……」
「俺も同感だが……あんなに自信たっぷりなエリンに、事実を突き付けるのは……」
「二人共、コソコソ話してどうしたの?」
「ワ、ワ~! スゴクジョウズダヨ~!」
「……ココちゃん、どうしてそんなに棒読みなの……?」
「キノセイダヨ~」
「こ、これはこれで趣があっていいな!」
なんか微妙な反応な気が……き、きっと気のせいよね! だって、ハウレウはあれだけ私の絵を褒めてくれたんだもの!
「そ、そうだ。俺も試しに描いてみて良いか?」
「もちろんいいですよ」
「ありがとう。それじゃあ少し待っててくれ」
オーウェン様は、私からクレヨンと紙を受け取ると、慣れた手つきで描き始めた。
何を描いているのか気になるけど、それは完成してからのお楽しみってことにしておこう。
「よし、完成した」
「早かったですね」
「二人を待たせるわけにはいかないからな。こんな感じだが、どうだ?」
見せてくれた紙には、デフォルメ調の可愛い私とココちゃんのイラストが描かれていた。それも、その道のプロが描いたんじゃないかと思うくらい上手だった。
「凄い上手……! オーウェン様って、絵の勉強をしたことがあるんですか?」
「いや、完全に独学だ。まだ幼かったココによくせがまれて描いていたら、いつのまにかデフォルメの絵を描く技術が身についただけさ」
独学でこんなに上手く描けるものなの!? これなら、お金を払ってでも描いてもらいたいって思うくらいなんだけど!?
オーウェン様って、薬しか能がない私とは違って、剣術だったり料理だったり絵だったり、色々な技術をお持ちなのね。尊敬しちゃうわ。
「お兄ちゃんの絵、久しぶりに見たけどやっぱり好きだな~! あ、もちろんエリンお姉ちゃんの絵も好きだヨ?」
「ありがとう、ココちゃん。でも私の絵じゃオーウェン様の足元にも及ばないから、ポスターはオーウェン様に描いてもらおうと思うの。色々とお世話になっていて、またお願いするのは恐縮ですが……お願いできますか?」
「もちろんだ。俺もココも、アトレの一員だからな。さて、絵は筆にするか、クレヨンにするか……どちらも捨てがたいが……」
そう言うと、オーウェン様は広告を作るのに使いそうな道具をかき集めながら、どうするか思案を始めた。
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