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第四十四話 一件落着
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翌日。患者の女の子も無事に回復に向かい、事件の方もオーウェン様が片付けてくれたおかげで、もうここにいる必要が無くなった。そう考えた私達は、帰るための準備を始めていた。
「エリンさん、帰っちゃうんですか……?」
「ええ。薬師は色々お仕事があるからね」
帰る前に、色々と使わせてもらったものを片付け、自分達の荷物をまとめはじめる。
色々なお仕事……なんて言ってみたものの、戻ってギルドに顔を出したら、一件も仕事がありませんなんて言われたら、ちょっとへこむかもしれないわ。
「あの、エリンさん」
「なぁに?」
「その……今回は、色々してもらったので……ほ、報酬を……」
「前と同じで大丈夫だよ。私の仕事は、患者を治すこと。それ以外のことは、自分から率先してやったことだからね」
「でも……アンヌも皆も、納得いかないと思います!」
その部屋の中にいた、アンヌ様や数人の子供が、うんうんと頷いて同意を示した。
困ったわね……あ、そうだわ! せっかくだから、あのことを聞いてみましょう!
「それじゃあ、一つ質問に答えてくれるかしら?」
「は、はい。ぼく達に答えられることなら……なんでも答えます!」
「ありがとう。私、真っ白な花の情報を探しているの」
「白い花って、結構ありますよね? うち、何度も見てますよ?」
「普通のではないんです。花びらや茎や葉っぱまで、全部が白いんです」
端的に説明をしてみたけど、誰からも知っているという返事が返ってこない。そんな中、患者の女の子が手を上げた。
「あのねあのね、あたし知ってるよ!絵本に出てきたの! これ!」
女の子が見せてくれたのは、クレヨンで描かれた可愛らしい絵本だった。その絵本には、確かに真っ白な花で構成された花畑が描かれていた。それはまるで、純白のじゅうたんのようだった。
「何かの役に立つかな?」
「ええ、手掛かりになりそうよ。みなさん、ありがとうございます!」
さすがに絵本に描かれていた内容では、信憑性に欠けるわね。でも、もしかしたらこの絵本の作者は本当にその光景を目にして、このお話を書いたのかもしれないわ。
もしそうなら、覚えておいて損はないだろう。えっと、山奥で群生しているのね……覚えておきましょう。
「よし、俺の方は全部終わったぞ」
「わたしも終わったよ~!」
「わかりました。それじゃあ出発しましょう」
荷物を全てまとめ終わった後、出発する私達を見送るために、アンヌ様や教会の子が、全員揃って教会の入口まで来てくれた。
「アンヌ様、これから色々と大変だと思いますけど……みんなで協力して頑張ってください。あと、セシリアの教えは間違っていたんですから、ご飯はちゃんと食べてください。偏って食べないように、なるべく野菜を多く摂ってくださいね」
「はい、わかっています。先程いただいたメモに書いてある食材を、なるべく多く食べるようにします」
アンヌ様は、ポケットから色々な食材の名前や、どこで手に入るかびっしり書かれたメモを私に見せた。
このメモは、栄養失調に効く栄養素が多く含まれている食材に関して書かれている。主に私が薬草や魚といった、薬に使えて食材にもなる物を、料理に詳しいオーウェン様が肉や野菜を中心に書いたのよ。
「本当に色々とありがとうございました。教会のことは、うちに任せてください。まだまだ半人前ですけど……セシリアさんのような偽りではなく、前のシスターのような、優しくてみんなを幸せにできるシスターになって! 素晴らしい教会にしてみせます!」
「アンヌ殿なら、絶対になれますよ」
「頑張ってね、アンヌお姉ちゃん!」
「アンヌ様なら、きっとできますよ! 私……応援してますから!」
並々ならぬ決意を感じさせる、勇ましい表情をするアンヌ様と固く握手をしてから、私達は教会を出発した。
私達の姿が見えなくなるまで、ずっと手を振ってくれていたみんなを見ていたら、無事に終わってみんなが助かったことへの安心感と、別れの寂しさが合わさって、いつの間にか涙が零れていた。
「エリンお姉ちゃん、大丈夫? 悲しいなら、わたしがよしよししてあげるよ!」
「大丈夫よ。心配してくれてありがとう、ココちゃん」
「別れというのはさみしいものだが、今生の別れというわけじゃない。また会いに行こうじゃないか」
「オーウェン様……」
ココちゃんの代わりに、オーウェン様が私の頭を撫でながら、優しい声で励ましてくれた。
そうよね……会おうと思えばまた会えるんだ。変に悲観する必要は無いんだ。
「ありがとうございます、オーウェン様。少し元気が出ました」
「そうか。それならよかった」
互いに笑い合いながら感謝を伝えた後も、なぜかオーウェン様は私の頭を撫でるのをやめなかった。
……どうしよう、オーウェン様に触れてもらってると嬉しいし、とても安心感があるんだけど……さすがに恥ずかしくなってきた。
これ以上の触れ合いなんて、何度もしていると言われればそれまでかもしれないけど、ずっと撫でられていたら、誰だって恥ずかしくてドキドキしちゃうと思う。
「あ、あの……恥ずかしいので、そろそろ……」
「ああ、すまない。嬉しそうに笑うエリンを見てたら、もっとしてあげたいと思ってしまってね」
や、優しいオーウェン様らしい理由だと思うけど、できればもう少し刺激が少ない方法を取ってほしいと思うのは、私のワガママかしら……。
「いいぞお兄ちゃん! その調子でエリンお姉ちゃんを抱きしめて、ついでにもっと凄いことを……!」
「こ、ココちゃん!?」
「お前は一体何を言っているんだ……?」
「わたしのことはいいから! いけいけー!」
「もう、ココちゃんったらー!」
体中を熱くしながら、ココちゃんを叱る私の姿が面白かったのか、オーウェン様もココちゃんも楽しそうに笑っていた。それを見ていたら、私も怒ることを忘れて、自然と笑顔になった。
こうしてまた三人で笑って話せることが、とても幸せに感じられる。これからも、三人でこうして仲良くしながら、薬屋アトレを続けられればと、心の底から思った――
「エリンさん、帰っちゃうんですか……?」
「ええ。薬師は色々お仕事があるからね」
帰る前に、色々と使わせてもらったものを片付け、自分達の荷物をまとめはじめる。
色々なお仕事……なんて言ってみたものの、戻ってギルドに顔を出したら、一件も仕事がありませんなんて言われたら、ちょっとへこむかもしれないわ。
「あの、エリンさん」
「なぁに?」
「その……今回は、色々してもらったので……ほ、報酬を……」
「前と同じで大丈夫だよ。私の仕事は、患者を治すこと。それ以外のことは、自分から率先してやったことだからね」
「でも……アンヌも皆も、納得いかないと思います!」
その部屋の中にいた、アンヌ様や数人の子供が、うんうんと頷いて同意を示した。
困ったわね……あ、そうだわ! せっかくだから、あのことを聞いてみましょう!
「それじゃあ、一つ質問に答えてくれるかしら?」
「は、はい。ぼく達に答えられることなら……なんでも答えます!」
「ありがとう。私、真っ白な花の情報を探しているの」
「白い花って、結構ありますよね? うち、何度も見てますよ?」
「普通のではないんです。花びらや茎や葉っぱまで、全部が白いんです」
端的に説明をしてみたけど、誰からも知っているという返事が返ってこない。そんな中、患者の女の子が手を上げた。
「あのねあのね、あたし知ってるよ!絵本に出てきたの! これ!」
女の子が見せてくれたのは、クレヨンで描かれた可愛らしい絵本だった。その絵本には、確かに真っ白な花で構成された花畑が描かれていた。それはまるで、純白のじゅうたんのようだった。
「何かの役に立つかな?」
「ええ、手掛かりになりそうよ。みなさん、ありがとうございます!」
さすがに絵本に描かれていた内容では、信憑性に欠けるわね。でも、もしかしたらこの絵本の作者は本当にその光景を目にして、このお話を書いたのかもしれないわ。
もしそうなら、覚えておいて損はないだろう。えっと、山奥で群生しているのね……覚えておきましょう。
「よし、俺の方は全部終わったぞ」
「わたしも終わったよ~!」
「わかりました。それじゃあ出発しましょう」
荷物を全てまとめ終わった後、出発する私達を見送るために、アンヌ様や教会の子が、全員揃って教会の入口まで来てくれた。
「アンヌ様、これから色々と大変だと思いますけど……みんなで協力して頑張ってください。あと、セシリアの教えは間違っていたんですから、ご飯はちゃんと食べてください。偏って食べないように、なるべく野菜を多く摂ってくださいね」
「はい、わかっています。先程いただいたメモに書いてある食材を、なるべく多く食べるようにします」
アンヌ様は、ポケットから色々な食材の名前や、どこで手に入るかびっしり書かれたメモを私に見せた。
このメモは、栄養失調に効く栄養素が多く含まれている食材に関して書かれている。主に私が薬草や魚といった、薬に使えて食材にもなる物を、料理に詳しいオーウェン様が肉や野菜を中心に書いたのよ。
「本当に色々とありがとうございました。教会のことは、うちに任せてください。まだまだ半人前ですけど……セシリアさんのような偽りではなく、前のシスターのような、優しくてみんなを幸せにできるシスターになって! 素晴らしい教会にしてみせます!」
「アンヌ殿なら、絶対になれますよ」
「頑張ってね、アンヌお姉ちゃん!」
「アンヌ様なら、きっとできますよ! 私……応援してますから!」
並々ならぬ決意を感じさせる、勇ましい表情をするアンヌ様と固く握手をしてから、私達は教会を出発した。
私達の姿が見えなくなるまで、ずっと手を振ってくれていたみんなを見ていたら、無事に終わってみんなが助かったことへの安心感と、別れの寂しさが合わさって、いつの間にか涙が零れていた。
「エリンお姉ちゃん、大丈夫? 悲しいなら、わたしがよしよししてあげるよ!」
「大丈夫よ。心配してくれてありがとう、ココちゃん」
「別れというのはさみしいものだが、今生の別れというわけじゃない。また会いに行こうじゃないか」
「オーウェン様……」
ココちゃんの代わりに、オーウェン様が私の頭を撫でながら、優しい声で励ましてくれた。
そうよね……会おうと思えばまた会えるんだ。変に悲観する必要は無いんだ。
「ありがとうございます、オーウェン様。少し元気が出ました」
「そうか。それならよかった」
互いに笑い合いながら感謝を伝えた後も、なぜかオーウェン様は私の頭を撫でるのをやめなかった。
……どうしよう、オーウェン様に触れてもらってると嬉しいし、とても安心感があるんだけど……さすがに恥ずかしくなってきた。
これ以上の触れ合いなんて、何度もしていると言われればそれまでかもしれないけど、ずっと撫でられていたら、誰だって恥ずかしくてドキドキしちゃうと思う。
「あ、あの……恥ずかしいので、そろそろ……」
「ああ、すまない。嬉しそうに笑うエリンを見てたら、もっとしてあげたいと思ってしまってね」
や、優しいオーウェン様らしい理由だと思うけど、できればもう少し刺激が少ない方法を取ってほしいと思うのは、私のワガママかしら……。
「いいぞお兄ちゃん! その調子でエリンお姉ちゃんを抱きしめて、ついでにもっと凄いことを……!」
「こ、ココちゃん!?」
「お前は一体何を言っているんだ……?」
「わたしのことはいいから! いけいけー!」
「もう、ココちゃんったらー!」
体中を熱くしながら、ココちゃんを叱る私の姿が面白かったのか、オーウェン様もココちゃんも楽しそうに笑っていた。それを見ていたら、私も怒ることを忘れて、自然と笑顔になった。
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