私のことはお気になさらず

みおな

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夫と妻

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「旦那様、そろそろ・・・」

 パーティーも終盤になり、カールがヴィル様に声をかけた。

 普通ならば、パーティーの終わりまで夫は残り、花嫁はこの後の初夜のために先に退出するのだけど、ここは王宮。

 グリフォン公爵邸に戻ってから、お互い湯浴みをして初夜を迎えることになっている。

 陛下は客室を貸してくれるとおっしゃったらしいけど、ヴィル様はキッパリとお断りしていた。

 私も嫌だわ。

 さすがに、イタした後に顔とか見られたくないもの。

 というわけで、パーティーは続いているけど、主役二人は退出することになった。

 ちなみに、王太子殿下とリリアはすでに退出済み。

 お父様とお母様は残っているけど、お兄様がリリアと一緒に帰られた。

 あとは適度な時間に、王宮の関係者がパーティーの終了を告げてくれることになっている。

 私はヴィル様にエスコートされて、グリフォン公爵家の馬車に乗り込んだ。

「・・・」

「・・・」

 今から戻って、その・・・ヴィル様と閨事をするのだと思ったら、妙に意識して言葉が出ない。

 ヴィル様は無口な方だから、あまり世間話はなさらないし。

 妙な静寂の中、馬車はグリフォン公爵邸に着き、私は速攻で侍女たちに部屋へと連行された。

 ドレスを脱がされ、いつもより念入りに体を洗われる。

 マッサージをされ、爽やかさの中に
少しだけ甘さのある香油を揉み込まれた。

 初夜の香油は新郎が選ぶ風習があるから、これをヴィル様がお選びになったのよね。

 ヴィル様は、こういう香りがお好きなのね。

 渡された夜着に、固まる。

 生地がシルクなのは理解るわ。
透けてはないけど、でもちょっと丈が短くない?

 そして、胸元から三つのリボンだけで留まっているというのも、ものすごく心許ないんだけど?

「ほ、他にはないの?」

「そうですね・・・じゃあ、これなんかどうですか?」

 私の専属侍女になったカミラが私の目の前で広げて見せたのは・・・

 透け透けじゃないの!
そんな痴女みたいな夜着いやよ!

「・・・そんなのしかないの?」

「初夜なんですから、こんなものですよ」

「そう、なのね。最初のでいいわ」

 リボンだけで留まっているのは心許ないけど、そんな透け透け着ていたらヴィル様にやる気満々だと思われてしまうじゃない!

 いえ。
ヴィル様と、そういうことをするのは嫌じゃないけど、がっついているみたいに思われるのは嫌よ。

 髪を丁寧に乾かしてもらい、夫婦の寝室へ向かうと、すでにヴィル様がくつろがれていた。

 どうしよう。
まだ少し濡れている黒髪も、ガウンを羽織られているけど、見える胸元も、素敵すぎて目が離せないわ。
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